第62話 遅刻しかけたら走るよね?




和「嗚呼、昨日の俺何やってんだろ。」




 どうも汐入和樹です 


 朝起きて一番の声がそれです


 なぜなら昨夜の騒動で柄にもなくカッコつけてしまったからです




 でも言い訳をさせてくれ


 、、、澪さんが可愛すぎた!


 昨日の澪さんは甘えてた?のかは分からないが、積極的だった


 普段なら話さないであろう話題を澪さんから話しだし、目も熱っぽく、俺は彼女を抑える裏で理性も抑えるので必死だった


 俺も冷静になっておらず、カッコつけた挙げ句に押し倒して耳元で愛を囁いた



和「うっ、ぐぅぅ、、、、、」


 思い返せば思い返すほど胸がイタくなる


 こっ、これが厨二病、、、なんて恐ろしいんだ!


 自分には全く似合わないことを平然とやってしまう


 そこにシビレもしないし憧れもしないぞ



澪「すー、すー、」


 おまけに相手が隣で寝てるってのもキツイ


 ところで俺でさえこんなにも苦しんでいるのに、澪さんはどうなるんだろ


 もしかしたら覚えてないかも、、、いや、絶対覚えてるよな


 あんな出来事があったんだ


 必ず記憶に残っているはず


 だとしたら隣に俺が居るのはマズいだろう


 となると俺がすべき行動は、一刻も早くベッドから抜け出すこと!



 、、、なのだが、澪さんが腕を抱きしめて寝ているから起き上がれない


和「さて、どうするかな、、、」


 不幸は続けて起こるというが、今日は普通に学校がある日だ


 そろそろ準備をしないといけない


 、、、澪さんには悪いが、無理やり抜かせてもらおう


 そーっと、そーっと、


澪「んむぅ、ぎゅ〜〜。」


 ハァ、どうして計画は上手くいかないのか


 というか『ぎゅ〜〜』って、、、起きてるんじゃないの?


和「澪さん、起きてる?」


澪「ふへへ、かじゅきくん、だめでしゅよ、、、」


 寝ているらしい


 、、、俺は夢の中で何をしているんだ?




和「澪さんごめん!」


 もう時間が迫っているので悪いが無理やり抜かせてもらった


澪「ふへ? かじゅきくん、にげたらだめでしゅよぉ。」


和「うわぁぁ!」


 ゾ、ゾンビみたいにベッドを這って追いかけてくる!


 は、早く部屋をd『つかまえました』


 オワッタ












和「澪さん急いで! 遅れちゃう!」


澪「うぅぅ、すみません、、、」


和「今出ればまだ間に合うから安心して!」


澪「はい! 最速で終わらせます!」



 現在、俺と澪さんは過去最速で学校へ行く準備をしている


 何故急いでいるのかは君たちのご想像に任せるとして


 とにかく現在進行形で急いでいる


 朝食を軽く済ませ、着替えて身だしなみを整えている最中だ



澪「終わりました!」


和「よし出発!」


 準備を終えた俺達は走りながら学校へ向かう


 今なら軽口をしながらでも間に合いそうだ



和「まさか澪さんがあんな行動に出るとはね、、、」


澪「言わないで下さい。 あの時は甘えたくて仕方がなかったんです。」


和「それは可愛いな。」


澪「、、、褒められているのか幼く見られているのか、、、」


和「さぁ、どっちでしょうか?」


澪「むぅ。 修学旅行後も和樹くんのからかいが止まりません。」


和「こっちだって。 澪さんが可愛くて毎日ドキドキしてる。」


澪「っ! 、、、これは天然のパターンですね。」


 ? 走ってるから風で聞き取れなかった


 最近重要なところを聞き逃してるような気がするんだよな、、、











誠「おはよ、和樹。 今日は遅かったね。」


和「ハァ、ハァ。 まぁ、諸事情あってな。」


 俺と澪さんの頑張りの結果、なんとか間に合った


 おかげで少し息が荒いのはご愛嬌で


健「また三条さんか?」


和「『また』って何だよ、 『また』って。」


健「お前の変化って大体三条さんが起点だろ?」


誠「確かに。 三条さんと出会ってから和樹は変わったし。」


健「嗚呼、あの頃の和樹はもういないのね、、、」


和「だから変わってないって言ってるだろ、、、あと健翔キモい。」


誠「それは同意する。」


健「グッハァ!」


 友1は胸を抑えて痛がるフリをする


 ところで、どうして皆は俺が変わったって感じるんだ?


 あいも変わらずネガティブなのに、、、


 まぁ、澪さんと出会ってから幸せになったってのは認める


 彼女のおかげで、毎日がドキドキして楽しい


 でも楽しい分、彼女とのスペックの差を感じて萎えるんだけどな


 、、、はぁ、有能な人間になりたい


 だから一学期の期末テストは本気で取り組も


 せめて順位が一桁に入るぐらいの結果を出せたら良いな、、、



先生「はい、今日からテスト期間です。」


クラス「えぇ〜〜〜〜」


先生「修学旅行があったからってたるまないように。 それじゃあテスト範囲を配ります。」


 前から回されてきたテスト範囲が書かれたプリントを見る


 、、、めんどくさそうな範囲だ


 ここ紅明中学校は市立と言えども、勉強のレベルが高いことで有名なのだ


 なので中2の期末と言えども簡単ではない


 例えば、一般なら連立方程式の範囲となる数学が、もう図形の証明まで入っている


 これは澪さんの教えてもらわないと、、、




健「なぁ、テストがダルくなってきたんだけど。」


 放課後、健翔が話しかけてきた


誠「まだテスト勉強始めてもないのによく言えるね。」


健「だってよぉ〜、旅行が終わってすぐに期末だぜ!?」


和「まぁ気が緩むのは分かるが、、、」


誠「和樹は心配してないの?」


健「してないに決まってんだろ、こいつは。 どうせ三条さんに教えてもらったりするんだろ?」


和「、、、なんで分かったんだ?」


健「まぁ最近の和樹の行動から簡単に分かるな。 それよか良いなぁ〜、だって学年一位に教えてもらえるんだから。 俺も教えてくんねぇかなぁ。」


誠「うん、羨ましいね。 恨めしいね。」


 ちょっ、こいつらの視線が急に痛いんだけど



和「でも澪さんは厳し目に行くらしい、、、あの澪さんが厳しく教えるんだぞ? 想像してみろ、、、」


誠「、、、一転して怖くなりそうだね。 ドンマイ和樹!」


健「お、俺はやっぱ一人で勉強するわ。 頑張れよ!」


 手のひら返しがスゴい


和「、、、サンキュー。」




 いやしかし学年一位の人に教えてもらえるのなら安心できる


 、、、でも澪さんの負担になりすぎないだろうか?


 勿論彼女のことは信頼している


 彼女が言ったのならば、面倒はきちんと見てくれるだろう



 でも澪さんは?


 最近の澪さんはブレーキがかからなくなってる


 以前の冷静さが無くなっているというか、、、


 俺を教えることに集中して、自身の勉強が疎かになったりしないだろうか?


 婚約者の俺が重荷になって澪さんの邪魔をしてしまうのならば、教えてもらう案は考え直さなきゃ



 、、、帰ったら話してみよう











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