第61話 そういう事は焦らなくても良いよね?



 現在、三条家に帰宅して夕食もお風呂も終えて部屋でぐだぐだしている



和「やっと挨拶が終わった、、、澪さん疲れたりしてない?」


澪「大丈夫ですよ。 初めは緊張していましたが、、、まさか七海さんがあんなにもお茶目な方だったとは思いませんでした。」


和「いや、俺もあんな母さん初めて見たよ。 本当に澪さんを信じてるんだと思う。」


 笑う母さんは何度も見たけど、あんなふうに年下をからかう母さんは初めてだ


 澪さんを信頼している証拠なんだろう


澪「そうですよね。 その信頼に応えられるように精進します。」


和「俺も頑張るよ。 二人で頑張っていこう!」


澪「はい!」






澪「、、、和樹くん。」


和「どしたの?」


 姿勢を正して、気のせいなのか目が少し熱っぽい


澪「もう、私たちは将来結婚する仲なのですよね。」


和「そう、だね。 改めて言われると恥ずかしいな、、、」


澪「その、ということは、将来あんなこともするんですよね、、、」


和「? あんなことって?」


澪「うぅ、、、その、新婚の二人がする、そういう行動です、、、」


和「、、、、、、」


澪「な、何か言って下さい、、、」


和「ご、ごめん。 っていうか急に!?」


 まさか澪さんからそんな話が出てくるとは思ってなかった、、、


 真面目な澪さんは積極的にそういう話をしないものかと


澪「だ、だって、燈火さんが付き合い始めたカップルは愛を確かめるためにそういう事をするって言ってました!」


 燈火さん、、、応援するだけって言ってたのに、、、


 っていうか澪さんにそういう情報を教えないでほしい


 なんとなくだけど


澪「その、少しですが燈火さんに色々と教えてもらいました。 それに私たちはまだ中学生ですが、周りの皆も既に色々しているとも言われましたし、、、遅れているのは何か嫌です!」 


 おいぃぃ!!!


 燈火さん何教えちゃってあげてるんですか!!


和「ちょ、ちょっと一旦落ち着こう?」


澪「以前にそういうことはまだ早いと言いましたが、婚約した今となっては構わないと思います! 初めてですが、和樹くんを喜ばせられると思います!」


 ダメだ話を聞いてくれない


 顔真っ赤だし、澪さんも混乱しているのだろう


 ここは少し驚かせて正気に戻さねば







澪「だから和樹くんも、、、キャッ!?」


 俺は澪さんの肩を軽く押し、ベッドに倒す


澪「、、、和樹くん?」


和「良いよ、その誘いに乗ってあげる。 さぁ力を抜いて。」


澪「え? え?」


和「どうしたの? そっちがしないなら俺が攻めるから。」


 そう言いながら澪さんに上から覆いかぶさる


 俺より少し低いくらいの身長が、今はとても小さく感じる


 そして、震えている




和「澪さんどうしたの? 震えてるよ?」


澪「あ! こ、これは、、、怖いというわけではなくて、、、」


和「嘘つかなくていいから。 ホントはそういう事が怖いんでしょ?」


澪「、、、はい。」


 消え入りそうな声で、恥ずかしげな声で、澪さんが答える


和「無理しなくても良い。 例え皆がそういう事をしていたとしても、澪さんが焦る必要なんかない。 俺たちは俺たちのペースで行けば良いんだから。」


澪「で、でも、和樹くんに愛されている証が欲しいのは本当です!」


 そんな事を思ってくれていたのは嬉しい


 でも、、、


和「震えている恋人とそういう事をするのはダメだ。 でないと『怖かった』っていう嫌な思い出が残っちゃう。」


澪「そんな! 私は和樹くんを怖がったりしません!」


和「分かってる。 でも震えながら言われても説得力無いよ。」


澪「うぅぅ、、、、」




 一拍おいて続ける


和「澪さん、以前『私があなたの分まで信じます』って言ってくれたよね。」


 澪さんに初めて想いを伝えた保健室での出来事だ


和「その言葉をかけてくれて本当に嬉しかった。 だから、今度は僕が信じる番だ。 君が自信を持てなくても、その分俺が君を信じる。」


 安心させてくれたあの言葉を、次は君に送る


和「俺は、澪さんをを愛してる。」


 軽くキスをして、耳元で愛を囁く


澪「か、和樹くん、、、」


 熱っぽかった目がもとに戻り、震えも止まっている


和「落ち着いた?」


澪「は、はい。 高ぶった気持ちは落ち着かせられましたが、その、、、」


 ? どうしたんだろ?


澪「のいていただければ、、、」


和「?、、、っ! あぁァァ! ごめん!」


 そう言えばまだ澪さんを押し倒したままだったわ!


 俺は急いで離れ、元の位置に座る


澪「いえ、私が謝らなければいけません、、、すみませんでした。 和樹くんは未来のことも考えていたのに、私は焦って目の前のことしか考えれていませんでした。」


 うん、まぁさっきの澪さんはかなり積極的だったな


 積極的すぎるくらい


澪「もう一度言わせて下さい、、、ごめんなさい!」


和「も、もう顔を上げて。 終わったことだしさ。」


澪「でも、和樹くんもその気になっていたのに止めてしまって、、、」


和「あ、あれは落ち着かせるためにちょっと強気に出ただけだよ。」


澪「、、、では、私には魅力がないのですか?」


和「そんなことない! 澪さんはとても魅力的だ。」



 演技とは言え、もう少し自分が高ぶっていたら本当に致してしまったかもしれない


 それくらい澪さんは魅力に溢れている


 整った顔立ち、小さい顔


 ウエストは細く、中学生とは思えない良いスタイルをしている


 軽くはだけた寝間着から見えるモノなんてもう、、、


 覆いかぶさっただけで俺の心臓が暴れ出すレベルだ


 自分を抑えるのに必死だったっていうのは内緒だけど



澪「、、、良かった、、、和樹くんにそう思われるのはやはり怖くないです。 むしろ嬉しいです。 先程も愛してると言われて心が跳ね上がりました。 それに最後のキスも最高でした。」


和「OK、今日はそれくらいにしておこう。 っていうか、燈火さんに教えてもらったって?」


澪「あ、はい。 修学旅行の夜に教えてもらいました。」


和「燈火さん、、、」


 次あった時は怒ろう


 危うく双方が望まない形でそういう事をしてしまうところだったのだから、キレても構わないはずだ




和「もう寝よう。 その、俺と一緒に寝ることが怖くなったりしてない?」


澪「いえ、もう大丈夫です。 和樹くんと寝ても問題ありません。」


和「そう、なら良かった。 じゃ、電気消すね。 おやすみ。」


澪「おやすみなさい、和樹くん。」







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