第58話 修学旅行って家に帰っても面白かったりするよね?



先生「はーい後30分で学校に着きまーす。」


和「ぅうん、、、もう着くのか?」


 バスのスピーカーから流れる先生の報告で目が覚めた


 澪さんは隣でスヤスヤと眠っている


 そろそろ起こしたほうが良いな


 じゃないとまた寝言で凄いことを言いそうだ



和「澪さん、起きて。 起きないとイタズラしないよ?」


 言ってることは滅茶苦茶だけど、


澪「ふぇ?、、、イタズラ、してくれないんですか?」


 ほら起きてくれた



和「そうだよ。 早く起きてくれないと、澪さんにあ~んなことやこ〜んなことが出来ないじゃないか。」


澪「あ、あ~んなこと? 分かり、ました。 今起きますから、イタズラ、してくださいね?」


 そう言って目をこする澪さん


 カワイイかよ


 、、、やっぱ寝起きの彼女って可愛い



和「起きた?」


澪「はい。 それで、何かあったんですか?」


 今回は自分が言ったことの記憶がないらしい


 聞いていたのは俺だけだったし、わざわざ伝えなくても問題ないな


和「後30分で到着するらしいよ。 準備しておいたほうが良いかも。」


澪「了解です。 改めて、起こしてくれてありがとうございます。」


和「いやいや、彼女を起こすのは彼氏の特権っていうか、、、」


澪「そうなんですか? なら、イタズラしてくれても良かったんですよ?」



 う、う〜〜ん、、、


 してやったり顔で言うのも可愛いんだけど、寝言がねぇ、、、


 伝えるべきか伝えないでおくべきか、、、


 よし!



和「そう? なら次はイタズラさせてもらうね。」


 伝えないでおいておこう


 澪さんの名誉のために


澪「? むぅぅ、、、」


和「ど、どうしたの?」


 急に澪さんが不機嫌になった


澪「いつもならここで焦る和樹くんを見られるはずなんですが、、、」


 まぁ、澪さんのあの寝言を聞いてたから少しだけ勝ってるからね


澪「、、、もしかして私、また寝言で何か言っちゃいましたか?」


和「いや? 何も言ってなかったよ。」


澪「そう、、、なんですか、、、」


 ぐっ、、、


 彼女に嘘を付くというのはキツイものだ


 だけど澪さんのためだからな、、、


澪「なら構いません。 それでは片付けをしましょう。」


和「そうだね! そうしようそれが良い。」




澪(、、、和樹くんが怪しいです。 やっぱり私何かしちゃいましたね。 でも和樹くんの言動に変化はありませんし、問題ないでしょう。)


 彼女がそんな事を考えていたことは、この時の俺は全く知らなかった











先生「それでは修学旅行が終了しました。 もう辺りは暗いので、保護者の車で安全に帰って下さい。 じゃあ解散!」



 矢継ぎ早に投げられた諸連絡を聞いた後、3組の澪さんとまた合流した


和「秀和さんは何処に居るかな?」


澪「連絡してみますね、、、あ、少し遅れるみたいです。」


和「そっか。 じゃああそこのベンチで少し待とう。」


澪「良いですね。」


 そうして俺たちはベンチに座る




澪「、、、修学旅行、楽しめましたか?」


和「勿論。 澪さんは?」


澪「私も楽しめました。 これも和樹くんが一緒に居てくれたおかげです。」


和「その言葉をそっくりそのまま返すよ。 俺の方こそ、澪さんが居てくれたから楽しむことが出来た。 ありがとう。」


 これは本音だ


 澪さんが隣りにいてくれるから、何でも最高に楽しめる


澪「私の方こそ、ありがとうございます。」


和「澪さん、、、」


 ヤバい


 まだ学校なのにキスしたい



 、、、結局我慢ができずに、ゆっくりと顔を近づける


 澪さんも目を閉じ、キスを許してくれる


 そのまま唇をーー 


秀「いや〜、待たせたね。 すまない、道が混んでいた、よ、、、」


和「、、、、、、」


澪「、、、、、、」


秀「、、、、、、あ~、その、なんだ。 僕は気にせずにどうぞ?」


和・澪「「できるわけないじゃないですか!!」」









 現在、澪さんの家に帰ってきている


 俺も澪さんもお風呂に入り、お土産を渡すためにリビングに来たのだが、、、



楓「あなた、それはダメ。 良い雰囲気の二人を邪魔しちゃダメなのは重々承知しているはずでしょ?」


秀「、、、はい。」


楓「私たちも邪魔されちゃ興ざめでしょう? それをやられた澪たちはどんな気持ちだったのかお分かり?」


秀「はい、申し訳ないと思っています。」


楓「たとえ偶然だとしても、その後テンプレのように『自分を気にせず』は、言ったらダメよ。 あなたならもっと上手い返しが出来たはずでしょ?」


秀「、、、はい。 浅はかでした、、、」



 も、もう止めたげてぇ!


 そこには楓さんが秀和さんを説教するという地獄絵図が待っていた


 筋肉質な秀和さんが説教されているというのはシュールな光景だけど、楓さんの言葉が核心をついているので秀和さんがみるみる萎えている



澪「はぁ、またですか。」


和「またなの!?」


澪「えぇ。 普段のお父さんはしっかりしていますが、先程のように稀に抜けることがあって、その度にあの光景を見させられています。」


 意外だ


 秀和さんは気さくで話しやすいけどしっかりしているってイメージだったから




楓「反省した?」


秀「はい。 以後気をつけます。」


楓「次あったら承知しないわよ? あ、澪たちじゃない。 お土産?」


澪「えぇ。 テレビ通話の時に話した八つ橋です。」


 ちょ、そのまま日常会話に!?


 凄ぇな三条家、、、


 ちなみに、秀和さんは背を丸めたままお風呂に入りに行った


 、、、頑張って下さい、秀和さん


楓「ありがと。 今日はもう遅いから明日食べましょう? 修学旅行の話を聞きながら、ね。」


澪「分かりました。 私たちも寝ましょうか。」


和「そうだね。 気づかなくても疲れが溜まってるかもしれないし。」





楓「あ、ちょっと二人共待ちなさい。」


 部屋に向かおうとしたら、楓さんが引き止めてきた


和「どうしましたか?」


楓「決まってるじゃない。 婚約の後のことよ。 いつ結婚するのか、ウェディングは何処でするのか、とか決めることがたくさんあるから、それも明日話し合ってもいいかしら?」


澪「勿論です。」


和「俺たちも明日話したいと思っていましたから。」



 それらのことは既に帰りのバスで相談済みだ


 婚約という重大な出来事を、俺たちは軽々しく扱ったりしない


 二人の将来のために両方の保護者との話し合いは必須だし、


 それに明日は俺の母さんの所に行って婚約の報告をしなきゃいけない


 澪さんは一瞬不安そうな顔をしていたけど、すぐにいつもの笑顔に戻っていた


 何があっても、認めさせよう



楓「そう。 なら大丈夫ね。 安心したわ。 これからも二人で頑張るのよ?」


和・澪「「はい。」」


楓「いい返事ね。 それじゃあ、おやすみなさい。」


和・澪「「おやすみなさい。」」









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