第57話 帰りのバスも重要だよね?




校長「えー、これで修学旅行は終わるわけですが、当初の目的である親睦をーーー」



 デジャブ、、、


 なんなの? 校長は長い話をしなきゃクビになるの?


 せっかく楽しく終わってるんだから短くしてくれよ、、、



校長「ーーーでは、話足りないですが時間が押しているのでここまでとします。」


 やっと終わったぞぉ、、、


 まぁ、この長い話が終わっても帰りのバスも一人なんで寂しいんですけどね?


 嗚呼、澪さんに会いたい、、、


 そんな暗い気持ちでバスに乗る


 一番後ろの席っと、、、




澪「お待ちしていましたよ。 後ろの席で一人なのはやはりひどいですね。 待っている時も寂しかったです。」


 あれ? 澪さんに会いた過ぎて幻覚が見えるようになってしまったのか?


 ハッハ、だとしたら重症だな


 だけど、幻覚でも澪さんに逢えてよかった、、、



澪「と、遠い目をしています、、、私はここにいますよ? あなたの婚yーー」


和「ストーップ!! 何を言おうとしてるんですか! 内緒って約束したでしょ!」


澪「だ、だって、和樹くんが頑なに認めないから、、、」


 うぅ、、、確かに強く言い過ぎたけど涙目になられるのは、、、



和「ごめん。 言い過ぎたよ。」


澪「なら構いません。 あ、バスが出発しますので座って下さい。」


和「変わり身早くないですか!?」


 もしかして泣き真似?


澪「和樹くんは純粋ですね。 悪い女の子に騙されないように気をつけて下さい。」


和「先程騙されたばかりなんですが、、、とにかく座ります。」


 澪さんは窓側、俺は車内側の席に座る




澪「それで和樹くん。 私は少し怒ってます。 せっかく和樹くんのバスへ来たのに、居ないことにされて悲しかったんですよ?」


和「それについてはごめん。 澪さんが居るとは想像もしてなかったから、、、」


澪「確かに、連絡していなかった私にも責があります、、、すみませんでした。」


和「俺も、いきなり大声なんて出してごめん。」


澪「いいえ。 たとえ少し怒っていたとしても、私も軽率な行動でした。 ごめんなさい。」


和「いやいや俺がーー」


澪「いえ、私がーー」



 なんてやり取りをしていたら、いつの間にかお互いに笑っていた


澪「フフ、お互いに譲りませんね。」


和「そうだね。 じゃあお互い様ってことで。」


澪「そうしましょうか。」


 そうして、またお互いに笑った




 落ち着いたので、さっきからずっと聞きたかったことを質問する


和「それで、澪さんはどうして此処に?」


澪「理由は一つしかないじゃないですか。 和樹くんに会うためですよ。」


和「How?」


澪「お父さんが校長先生の旧友で、多少の我儘は聞いてくれたみたいです。 他の先生にも話は通しているので、私が此処に居ても問題はありません。」



和「澪さん、、、俺のこと好きすぎでしょ。」


澪「っ!」


 だってねぇ、俺の隣の席を取るためだけに父親を使って校長を説得


 他の先生方にも連絡してるとか完璧すぎて怖い


澪「それは、、、その、、、そうですが、、、」


 でもやっぱりカワイイ


 しかも俺のためにそこまで頑張ってくれたってのも可愛すぎる


 おまけに恥ずかしがってモジモジしてるとことか好き!



和「でもありがとう。 澪さんのおかげで帰りのバスが幸せになったよ。」


澪「、、、その、私こそ、帰りも和樹くんと一緒にいたかったので、、、」


 カワイイ




男子共「今度は間近でイチャイチャを見させられるのか、、、ハァ。」








 そんなこんなで現在、隣に彼女がいる状況でバスに揺られている


 そしてその彼女は俺の肩に頭をのせている


 電車で一度あったから2回目とはいえ、慣れないな、、、


澪「すー、すー、」


 しかもあの時は電車の音で聞こえなかった寝息が、今はバス内が静かだから自分の耳元で囁かれる


 、、、疲れてるはずなのに全く寝れない、、、




 ベッドでは先に寝てしまうので、寝顔をまじまじと見たことはあまりない


 、、、うん、やっぱり綺麗だ


 パッチリとした目、長いまつ毛


 整った形の良い鼻、口紅を塗っていないはずなのに赤い唇


 改めて思う、澪さんは綺麗だと


 それに勉強できるし運動できるし多才だし、、、




 何度思わないように決めても、どうしても考えてしまう


 『





 完璧な彼女に勝てる要素が見つからない


 無いと信じたいが、いずれ澪さんに捨てられてしまうかもしれない


 俺より何倍も良い男が現れ、澪さんを奪っていくかもしれない



 、、、怖い


 どうしたら彼女に呆れられないだろうか


 どうしたら俺は彼女につり合えるだろうか


 どうしたら、彼女と共に生きていけるのだろうか


 いや、彼女と一緒にいる事自体が間違『和樹くん?』




 え?


 さっきまで寝てたはずじゃ



澪「私が好きなのは和樹くんです。 他の誰かを好きになったりしませんし、和樹くんを好きじゃなくなったりしません、、、むにゃ」


和「、、、?」


澪「信じて下さい。 私は、和樹くんを愛していますから、、、すー、すー、」





和「、、、澪さん?」


 、、、ね、寝てる!? 寝言?


 び、びびびびっくりしたあぁぁぁぁ!!


 寝言か! 器用過ぎる!


 寝言の内容もタイミングも完璧だ!


 こんなところまで多才を発揮しなくても!




和「、、、フフ。 でもありがとう、澪さん。 こちらこそ愛してる。」


 寝ていても俺を元気づけてくれる彼女が好きだ


 俺が不安になってしまうのも、彼女が好きだからだ


 そうだ、彼女は俺を愛してくれている


 ならば、どれだけつり合っていなくてもその気持ちに応えなければいけない



澪「うぅん、、、和樹くん、頭を撫でて、、、すー、すー、」


和「了解。」


 ご要望どおりに頭を優しく撫でてあげる


 こんなちょっとしたことでも、お互いを支え合える


 ーーあぁ、本当に大好きだ




和「愛してるよ、澪さん、、、」






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