10

 綾香が一人ダイニングキッチンで料理をする午後七時半。浜田の指導するサッカー部を調査するため体験入部で部活動をこなす海一の帰りに合わせて夕飯の支度をしていた。


 リビングにあるテレビの音量を上げラジオのように聞きながら、ダイニングテーブルに小さなサラダを出していく。

 テレビは音楽番組を流していて、フライパン片手に綾香が流行りの曲に合わせて気持ち良さそうに歌っていた時。


「外まで聞こえてるぞ」


 気づけば見たことのない部活動ジャージ姿の海一がダイニングテーブルのところまで来ていて、綾香は「ぎゃっ!」と尻尾を踏んづけられた猫のような鈍い悲鳴を上げてしまった。


「年頃の女子が悲鳴に濁音を使うなと何度言ったら分かるんだ。キャにしろ、キャ」


「あ、あんたいつ帰ったの?!」


 誰も居ないと思っていたところに突然声をかけられて、綾香は口から心臓が飛び出しそうだった。


「さっき裏口から帰ってきた」


 だから玄関の扉が開閉する物音がしなかったのか、と納得しつつも綾香はこう文句を言った。


「それはそうと、ちゃんと大きな声で『ただいま』って言ってくれないと帰ったのかわかんないわよ。アンタって、私が帰ってきても『おかえり』とか全く反応示さないわよね?」


「後者はともかく、前者はお前が大声で歌を熱唱してなければ済む話じゃないのか?」


 ゴチャゴチャ恥ずかしいことを引き合いに出してうるさい奴、と綾香はもう一発まくし立ててやろうかと思ったけれど、今日はやめた。

 このあと海一に謝らなければならないことがあるので、少しでも自分の分を良くしておきたいのだ。


 綾香は努めて作った笑顔で話を逸らす。


「ま、まぁとにかく夕飯にしましょ。すぐ食べる? シャワーとか、着替えとかしてからでもいいけど?」


 綾香が珍しくそんな気の回ることを言ってくるので、海一は不審に思い眉をひそめた。


「とかく綾香に限っては、俺に親切な時ほど何か嫌な予感がするな」


 海一は瞬時にSSの任務の時の顔になって、腕を組みあごに手をやってじぃと綾香を観察する。


「やっ、やぁねぇ。別に何もやましいことなんてないわよ」


「俺は“やましい”なんて一言も言ってないんだが」


 綾香はわざとらしいまでの作り笑いでその場をかわし、海一が二階の自室で部屋着に着替えてくるまでの間に食卓を用意した。


 そして楽な格好に着替えた海一がリビングに戻ってくると、海一は綾香が妙ににこやかだった理由を嫌でもすぐに理解できた。


 食卓を見つめ言葉を失くしている海一に、綾香は脇からぎこちない笑顔でニコッと微笑みかけた。


「さ、さあ、夕飯食べましょ」


 別に綾香の料理が壊滅的に下手だとか、見栄えが悪いとかそんなことはない。家事が苦手と自負していた割にはメニューもしっかりしているし、見栄えもいい。


 では海一が何に絶句しているかと言うと。


「これが、“夕飯”、か?」


「そ、そうよ、“夕飯”よ」


 綾香が示すテーブルに乗る料理は以下の通り。

 こんがり焼けたトーストに、バターとジャム。ハムを添えた目玉焼き。プチトマトの乗ったサニーレタスのミニサラダ。デザートにはフルーツヨーグルト。


 パンチがない夕飯、というかこれは。


「俺にはどう見ても“朝食”にしか見えない」


「そうよね……私もそう思いながら作ってたわ……」


 ハハッと乾いた笑いを挟みつつ素直に認める綾香に、海一はため息混じりに「理由は」と問った。


「それがね、私この間日曜にスーパーに行ったじゃない? お菓子とかケーキとかいっぱい買い込むのに夢中で、今日の夕飯の材料買うのすっかり忘れてたの。今日の夕方に帰ってきてから材料がないことに気づいて、ヤバイと思って冷蔵庫にあった材料でどうにかしたのよ」


「その冷蔵庫にあった材料は俺が明日の朝食で使おうと思ってたやつだな。夕飯を一回分スキップした気分だ」


「もう冷蔵庫すっからかんよ。あはは、ごめんね」


 引きつった笑顔でこの場を乗り切ろうとする綾香に、海一はもう何を言う気もなれず、片手で額を支えるしかない。


「まあ、とりあえずこの件については後回しだ。今日は早めに共有したい情報が多々ある」


「私もよ」


 海一にそう言われて綾香は深くうなずいた。

 二人は夕飯だけれど朝食のような夕飯をとりながら早速話し合いを始めた。


「とりあえず最初に、今日の帰りのことを報告しておくわ。海一の読みはドンピシャ、帰宅途中に冬間を待ち伏せしていた不審な男がいたわ。ヤクザっていうか、チンピラとか不良みたいな、柄の悪い男の人。私が姿を現したら何もせず去っていったけど、あの感じだとこれまでにも冬間をつけていたことがあるんだと思うわ」


 トーストにバターを塗りながら綾香がそう述べてみせると、海一は「やはりか」とわずかに目を細めた。


「でね、私、実は昼間に学校でその柄の悪い男の人を見ているかもしれないの」


「どういうことだ?」


「三時間目の社会の授業の時。担任の先生に資料室から日本地図を持ってくるように言われて、いいチャンスだと思って学校内をウロウロしてたの」


「ああ、廊下中に響き渡る声で探されてたあれか」


 案の定ばっちり聞こえていたか、と綾香は顔が熱を持つのを感じた。咳払いをしてなんとか話の軌道を戻す。


「人の声が聞こえて、正面階段の踊り場の窓から外を覗いたの。そこには理科の寺崎先生と、先生に迫ってる三人の男の人たちがいたわ。さっき言った感じの柄の悪い男の人たちよ。真上からコッソリ見ただけだから顔は確認できなかったけど、冬間を待ち伏せしてたのもその中にいた内の一人なのかもしれないと思うの」


 綾香は合い間合い間に咀嚼をしながら言葉を続ける。


「風が強く吹いてて所々しか聞こえなかったんだけど、『ここには来ないでくれ』とか『そんなことを言える立場なのか』とか『返さないほうが悪い』とか言ってたわ」


「それは十中八九、違法な借金の取立てじゃないのか?」


「やっぱりそう思う? 私もそんな気はしたわ。あの寺崎先生が、まさかねぇ」


 サラダを口に運びつつ、海一は宙を見やった。


「まあ、大人になれば金銭のトラブルの一つや二つあってもおかしくはないだろう。だが、その借金取りらしき連中が冬間もマークしているというのが理解できない。まさか冬間と寺崎には血縁関係があるのか?」


「前に私が冬間に兄弟のことを訊いた時、お姉さんが一人いるとだけ言ってたわよ。あんまり触れられたくない話題みたいだったけど」


 それは日曜のスーパーの帰りに中庭に忍び込んだ際に聞いたことだ。


 今度は海一が気になる話を口にする。


「今朝、俺が一人で登校していた時。校門近くの塀の陰に見慣れない不審な車がとまっていたんだ。黒のセダンで、中には誰か乗っているようだったがスモークがきつくてよく分からなかった」


「もしかして、それって寺崎先生の所に来てた柄の悪い男の人たちの車?」


「そう考えると辻褄が合うな。姿をひそめているようでその存在はしっかり見せているのも、寺崎へ圧力をかける方法の一つなのかもしれない」


 綾香は「ふうむ」とトーストを一口食べた。


「結局その車は教頭が追い払ったようだ。生徒たちも不審がっていたしな。一応車のナンバーは控えたから、今SS本部に所有者情報を調べてもらっているところだ」


 恐らくそういった反社会的団体関係のものであることは確実そうだが、と最後に付け加えた。


「深夜の職員室に忍び込んだ時、教頭先生のパソコンからデータを持ってきたじゃない? それによると浜田先生が会計の報告書や資料を作って、教頭先生が最終チェックをしてるってことだけど、教頭先生はどんな感じなの? 疑わしい?」


「昼休みに職員室に居た教師に話を聞いたんだが、教頭はとても厳格な人物らしい。ミスや失態には容赦なく怒り散らすそうだ。他の教師が話しているのも聞いたが、“鬼の教頭”の異名を取るとか」


「うわー。私、そういう人絶対ムリ。超苦手」


 ウゲッと顔をゆがませる綾香の所感を黙殺し、海一は話を続ける。


「しかし、人望がないというわけではないらしい。仕事が出来て非常にまじめな人物ということは間違いないようだ」


「海一は教頭先生を見てどう思った?」


 綾香の問いかけに、海一は軽く視線を上にやって考えた。


「近くで少し挨拶をしたくらいだが……厳格さもまじめさも確かに感じたが、今思い返してみるとそれ以上にプライドが高そうな印象があったな」


「プライド、ねぇ」


「あくまで俺の主観に過ぎない。あまり参考にするな」


 そう言って海一が目玉焼きに手をつけると、綾香はまた新たな話を始めた。


「そうだわ。三時間目に学校をウロウロしてた時ね、気になることがもう一つあったの」


 綾香は食事する手を止め、昼間の出来事を思い出しながらわずかに眉をひそめた。


「借金取りらしき柄の悪い男の人たちに迫られてる寺崎先生を踊り場から隠れて見てた時、一階から足音が聞こえてきて私とっさに理科室に逃げたの」

「肝試しの時に行ったあそこか。二階の特別教室が入っている左端奥の」


「そう。大きい薬品棚で死角になる場所に隠れてたんだけど、どうやらその足音の主は隣の理科準備室に入ったみたいなのよ。理科室の扉は厚いし重いしで音がくぐもって聞こえて、距離感がつかめなかったからあんまりよく分からなかったんだけど。でもそのあと、理科室から理科準備室につながるドアの覗き窓を見てみたら、物音はするのに人の姿はないの」


 その状況を思い出し不思議そうに首をかしげる綾香に、海一が尋ねる。


「どうして理科準備室に入ったと判断した?」


「え? んー、二階の左側の特別教室は理科室と理科準備室しかないし、私が隠れてる理科室に来てないって地点でまず理科準備室に行ったと思ったわ。あと、小さくカチャカチャって鍵を開ける音がしたのよ」


「それもまたおかしな話だな。綾香が理科室に入れたということはそこには鍵がかかっていなかったんだろう。そして理科室内から理科準備室につながるドアに鍵がかけられていないことは肝試しの時に確認済み。理科室を経由したら簡単に理科準備室内に入れてしまうのに、わざわざ廊下に面した側の理科準備室の入り口にだけ鍵がかかっていたというのか?」


「それは私もおかしいと思ったの。でも近くには他に入れる部屋はないし……」


「肝試しの時に薄暗い中で見ただけだが、あの並びには廃教室があっただろう。そこに入った可能性はないのか?」


「それは私も見たけど、外から二重に板が打ち付けてあるのよ。一応手で押してみたけどダメ。中には入れないと思うわ」


 そうか、と海一は口を閉ざした。


 海一の頭の中で思考がめぐる。鍵の管理をしている可能性が最も高いのは、学校唯一の理科教師・寺崎。だが足音がした時外で絡まれているのを綾香が見ていたのだから、足音の主は寺崎ではないのだろう。


 黙り込む海一に、ふと綾香が訊いた。


「ねえ、そういえば気になってたんだけど。冬間に『今日の帰りは特に注意しろ』って言ったのは浜田先生なんでしょ? なんで浜田先生は、冬間が危ないかもしれないって知ってたのかしら?」


「俺がそれを聞いたのは、浜田が人目を避けるような場所に冬間を連れていって二人で話している時だった。冬間は全く話さず、浜田は必死に何かを訴えている感じだったがうまく伝わっていない様子だったな」


「なんて言ってたの?」


「こちらも強風で聞こえづらかったんだが大体、『お前も気をつけたほうがいい、何があるか分からないぞ』とかだったな。断片的だが『冬間も見ただろう』『あんなことを』といった言葉も聞こえた」


 それらの言葉だけでは何が問題になっているのか推理するのは難しそうだった。


 綾香は頭を使いすぎて疲れたのか、一度深く息をついた。食事をする手はすっかり止まってしまっていた。

 一方海一は話しながらも食べ続け、気づけば完食間近である。


「とにかくだ。会計を担当している浜田。借金を滞納しているであろう寺崎。この両者はなぜか知らないが冬間を通じて関係していることが分かってきたな」


「そうね……。それに、浜田先生が冬間のところに借金取りたちが行くかもしれないって知ってたってことは、少なくとも浜田先生は『寺崎先生の借金』と『冬間と寺崎先生のつながり』について知っていたってことよね。っていうことは、浜田先生と寺崎先生はただの同僚以上に何かつながりがあるんじゃないかしら」


「借金の話となると、朝に借金取りたちの車を追い払ったであろう教頭も、あれは寺崎のもとに来ている連中だと気づいているのかどうかが気になるな」


「教頭先生って失敗事に怒り狂う人なんでしょ? 違法な所から借金して、しかもそれを返せなくて学校にまで来られちゃうなんて、もしバレてたら寺崎先生まともに教師生活送れないんじゃないかしら」


 綾香と海一の脳裏に、生徒になめられきっている寺崎の哀れな姿が浮かぶ。


「とりあえず、浜田が何か重要なことを知っていそうなのは確かだ。これからもっと調べてみることにしよう。浜田が顧問をつとめるサッカー部にも、今日丁度体験入部に行ったしな」


 海一はそう言って食事を終えると、自分の食器を持ってキッチンへ向かった。

 綾香は食べ遅れた分を取り返すように慌てて手を動かし始める。


「んあっ、そういえばアンタさっき帰ってきた時、見たことないジャージ着てたわよね? あれどうしたの?」


 ふと思い出した綾香の疑問に、皿の汚れを水で流しながら海一が答える。


「サッカー部のものだそうだ。浜田に『今日からお前もサッカー部の一員だ! これをやる!』と渡された。普段もなかなか堅物生真面目で面倒臭いが、顧問をしている熱血モードの時もかなり面倒臭いぞ」


 普段他人の気性にあまり関心を示さない海一がここまで言うということは、相当面倒臭かったのだろう。きっとあのジャージも無理矢理渡されたに違いない。


「って、ジャージ貰っちゃったってことは、明日からサッカー部に行かなきゃならないってこと?」


「だろうな。今日の部活終わりに明日の朝練の時間もしっかり教えられた」


 うんざりだと肩を落とす海一だったが、嘆いても仕方がないと流石に切り替えは早い。


「まあ、いずれにせよ浜田は調べないといけない人物の一人だ。せいぜい周囲の人々からでも情報を仕入れてくる」


「んー、頑張ってねー」


 ようやく食事を終えた綾香がデザートのフルーツヨーグルトを食すスプーンをくわえながら、軽すぎるトーンで海一に応援の言葉を投げた。

 だが海一は言う。


「頑張って、じゃなくて、お前こそ頑張れ」


「何を?」


 キッチンに食器を運んできた綾香がキョトンと海一に小首をかしげる。


「これから俺が部活に出てしまうということは、その間の調査及び冬間の護衛はお前が一人でやらないといけないということだ」


 当然だろう、とばかりに海一にさらりとそう言われる。


「え、えぇ~」


 先程の話し合いだけでも相当頭を使って弱っており、そこに更に疲れるようなことを言われて綾香はうなだれるしかなかった。


 海一は軽く肩をすくめてみせる。


「一人ではどうしようもないくらいピンチな状況になったら連絡しろ。気が向いたら行く」


「そこは“気が向いたら”じゃなくて“絶対”来てよね」


 綾香は海一をギロリと睨みつけた。


「はーあぁ。生徒たちが夜な夜な忍び込んで肝試し出来たり、鍵が壊れてたり解錠番号が筒抜けだったり、しまいには借金取りまで? この学校ってホントにどうなってんのかしら」


 そう深くため息をついた綾香が洗い物をしようと大きく袖をまくった時、なんと海一が「俺がやるから」と言ってきた。


「……え、どしたの? 私が見てない間に頭強く打った?」


 自分の相方の滅多に見ない献身的な態度に、不気味さを覚える綾香。思わず彼を見つめる目に力が入ってしまう。


「頭を強く打ったくらいじゃお前のために尽くそうとは思わない。そうだな、何かのきっかけで記憶を失ってまっさらな人間になったら、もしかしたら尽くすこともあるかもしれないな」


「ていうかそれ、もう今の海一ではないじゃない」


 不満げに冷たい視線を送ってくる綾香に、海一は洗い物を始めながらさらっとこう言った。


「で、俺が洗い物をしてやるから、綾香は駅の反対側にある大型スーパーに行ってこい。自転車は無いから徒歩で」


「はぁっ?! なんで?!」


 突拍子も無い提案に仰天して声がひっくり返りそうになりながら、綾香は目を見張った。窓の外はもう真っ暗。民家も街灯もほとんどない。おまけに駅だって結構な距離があるのに、その反対側だなんて。


「さっきお前が自分で言ってただろう、冷蔵庫の中はもうすっからかんだと。明日の朝食はどうするんだ。この時間帯にやってるスーパーはもうあそこしかないから、責任持って買い物してこい」


「えぇーっ。それに関してはさっき『ごめんね』って言ったじゃないー! なんならその話題はもうあれで終わってたでしょ?!」


「冗談抜かすな。俺は『この件については後回しだ』と言ったはずだ。俺は明日の早朝からわざわざ浜田にしごかれに行くんだぞ。朝に何も食わなかったら到底体が持たない」


 海一は綾香に視線すら向けず、手元の洗い物を手際よく片付けている。


 綾香は行くのが本気で面倒で、思ってもいないことを努めてしおらしく言ってみた。


「私みたいなカワイイ女の子が夜道を一人で歩いてたら、不審者に遭遇しちゃうかもしれないわよ~?」


「返り討ちにして警察に突き出して表彰状でももらってこい」


「そういえば、学校の理科室付近って霊感がある人が近づくと何か感じるんですってー。夜道ってオバケとか出そうで怖いじゃなーい?」


「いわゆる霊感など『何か感じる』といった類の正体のほとんどは埃や塵など空気中のごく小さな不純物質が人がその空間に立ち入ったことにより発生する風などによって舞い上がった際に肌などを刺激し起こるのであり産毛などの体毛が多い長い等の条件を満たす人物はより空気の刺激を受けやすいため霊感が強いと自負するのはイコール体毛が濃いと自らふれてまわっているようなもので……」


「あああもういい! もう分かったから黙って!」


 洗い物の手を一切止めないまま、句読点もブレスも一切無しでマシンガンのように小難しい言葉を浴びせられ、先にギブアップしたのは綾香だった。嘘だか本当だか分からないが、海一が話すと全て真実のように聞こえてしまうから不思議だ。


 観念した綾香は自室で普段着に着替えると、諦めのにじんだ声で「いってきまぁす」と夜の長い旅に出た。

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