第19話 道中6 戦闘2

〜前回の簡単なまとめ〜


六人倒したよ


〜まとめ終わり〜


「俺が鍛えて大抵の相手には遅れをとることがない六人のフォーメーション、技を力まかせとはいえ破るとは……お前ほんとに何者だ……?」


と頭は吾輩に対して質問してきた、と言われても吾輩の出す答えは今のところ先程と変わらないのだがな。


「言っただろ?吾輩は三人視点で言うなら助っ人、お前たち視点で言うなら死神、つまり弱きを助け悪を倒す正義の味方、というところだ。」


と吾輩が答えると頭はチッ、と舌打ちをし、鞘に戻していた剣を抜き構えた。


「正直に答えないとは薄々思っていたが本当に正直に答えないとは……まぁそれはどうでも良い……武器を構えないのか?でなければ……直ぐに斬られて死ぬぞ?」


と吾輩に言ってきた、そういうことを言うとは、優しいのか優しくないのか、まぁこんなことをしているんだ優しくはないだろうし、まぁ自分の腕試しなんだろうなぁ。


「武器が要るか要らないかは吾輩が決めるし、とりあえずはこの鎧と拳で十分。」


と吾輩はその場に立ちながら頭に返答した。


「結構、ならお前は……死ぬだけだ!」


と頭は言い、上半身を重力に任せ、身体の角度が良い角度まで倒れたとき地面を蹴り飛ばし身体の重心をいかした速い速度で吾輩の間合いを詰めて吾輩の足元付近についたとき地面の蹴り上げ、腰の運動、腕力、この三つによりかなりの速度で剣による斜めの斬り上げが吾輩にむかって行ってきた。


「うおっ!?速いには速いが対応出来ないわけじゃないな。」


「っ?!」


吾輩は斬り上げにより上がってきた剣をその場から右脚を動かし上半身を軽く仰け反らせ、吾輩が考えうる最小限の動きでその攻撃を躱した、躱したことにより頭が驚いているようだがすぐに判断したようで躱されたと判ると斬り上げによる反動を活かしながら吾輩から距離をとった。


「お前……ほんとに何者だ?今のが俺の最速でないにしろそれでもかなりの速度と威力の斬り上げ……さっきのそこに居る小僧は間違いなく深手以上だしそんじゃそこらのやつらじゃ対応も出来ない俺の斬り上げを……お前……何者だ?」


と頭が聞いてきた、まぁ確かに自分の最強ではないにしろかなり自信がある一撃だったのだろう、速さもかなりだし頭の言うとおり後ろにいる冒険者では躱すのによほどの目か運がないと厳しいだろうとは思う、だが吾輩は魔王だし死んでも聖天騎士だったからなぁ……あのぐらいなら……まぁ躱せるかなぁとは思う……、というか躱せないと後で、というか今すぐにでも後ろのフーリエが笑って吾輩のことを煽りたおすだろうからなぁ……躱せて良かった躱せて良かった。


「お前さんは他人に名前を聞くときには自分から名前を名乗ると教わらなかったのか?と言っても吾輩もそんな場で育ったわけじゃないしそういった情報は本から得ていたわけだからなぁ、まぁそうだなせっかくだから吾輩の生前の名前、で良いか、名乗らせてもらおう。」


「生前?」


と頭が気にしていたが吾輩は気にせずにその場で両手を身体前に広げ頭に聞こえるように名乗りをあげた。


「吾輩の生前の名前はルーク・ルス・ルール・ルレイン・ルート、職業は聖天騎士、今では名も無いただの戦士だ。」


と吾輩が名乗ると頭は剣を構えながら吾輩に対して名乗りをした。


「俺の名前はトーズグ・ラージガ、職業は赤騎士、今はただの盗賊だ。」


「ほぅ、赤騎士、身体能力が特化している職業か……なるほど、しかも盗賊の前は騎士だったと言っていたからそこでだいぶ練り上げられているのか……。」


「そう、だっ!!」


と頭、トーズグは右脚で地面を蹴り吾輩の前まで一気に来て剣を振り上げそしてかなりの速さで振り下ろしてきた。


「もらった!!」


「ふむ、速いにはやはり速いがでもこんなものか、吾輩のレベルが生前より高くなっているのか、それとも他のレベルが生前より低くなってしまったのか、よくわからんな。」


と吾輩はトーズグが振り下ろしてきた剣を左手の親指と人差し指で挟むように止めた。


「んなっ?!」


「ふむ、赤騎士だと言うから期待していたのだが……まだ本気ではないのか?なら……。」


と吾輩はトーズグの剣から指を離しそれと同時にトーズグが防御しやすいように反応出来るであろう速度で胸部目掛けて蹴りをいれた。


「っ?!ッ!!」


とトーズグはまず剣から指を離されたことに驚き、次に指を離されたと同時に蹴りをいれてきたことに驚いたようだった、蹴りはしっかり防げたみたいだったのでまだ大丈夫だと思う。


「どういうつもりだ?」


とトーズグは剣を構えなおし吾輩に質問してきた、まぁ単純に吾輩の今のレベルが知りたいだけ、と答えても良いのだろうが、それはそれで良くないな、と自制した。


「なに、自分の本気を出す前に死ぬことになったら死んでも死にきれないと思ってな、お前に本気を出すチャンスを与えようと思ってな。」


と言いながら吾輩は【呪いの収納】から剣を取り出した、銘も無い量産品の剣だがこのぐらいでちょうど良いだろう。


「吾輩も剣で相手をしよう。」


「……なら行かせてもらう……。」


と言うとトーズグは剣を腰に構え腰を少し落とし前傾姿勢になった。


「……【縮地】っ!」


とトーズグはスキルを発動すると吾輩の目の前から消え常人では目で追えない速度で吾輩の剣を持っていない右手斜め後方に移動していた。


「【切断】!」


と言い攻撃を仕掛けてきた、【切断】のスキルは剣の腕が高ければ高いほど斬れる物が凄くなっていく、最初は木とか石とかだがある程度の腕があれば鉄鎧ぐらいは簡単に斬れる。


「ふむ、まぁ悪くはない攻撃だし剣の腕も結構良いな、加工前ミスリルぐらいなら両断できそうな感じだが、まぁ、だが、うん、結局吾輩の答えは自分の今のレベルがよくわからないまま、ということだけだったな。」


と吾輩は本気で斬りかかってきたであろう【切断】を繰り出してきているトーズグの横を歩きながらトーズグの横を通過しトーズグが【切断】を振り終えた時にはトーズグの背後に立っていた。


「お前……ほんとに何者、だ?」


とトーズグが言いながらこちらをむこうとした時、トーズグは己の違和感に気がついた。


「あー、悪いな、結局吾輩の答えは有耶無耶だしそちらは本気で来てくれたのに吾輩は全然本気じゃなくて……いや……ほん……も……。」


先程まで戦っていた相手は前にいるがだんだんと視点が下がっていく、相手が大きくなっていくように視点が下がっていき、また、相手の声もだんだんと小さくなっていっている、となにか顎に衝突し衝撃によって仰け反ってようやく判った。


「いやー、まぁ吾輩なりの生命の取り合いの本気に敬意を評して痛み無く殺してあげたからそれで終わりということで。」


なるほど、痛みはないが自分は相手に首から分けられて死んだのか、と、トーズグは思ったあと、目の前が暗くなった。


「んー、まぁ結局わからんかったなぁ。」


と吾輩が言っていると後ろからフーリエが来てその後を3人が歩いて来て計4人がこちらに近づいてきた。


「終わったー?」


とフーリエが吾輩に近づいてきた後に尋ねてきたので吾輩は剣を【呪いの収納】に収納しながら返事をした。


「終わったよ。」


「そうか、まぁ見ればわかるけど3人来るけど、とりあえずどうする?」


「うーん……成り行きでいいんじゃない?」


「それもそうだな。」


と吾輩とフーリエはむこうから来ている3人を見ながら会話をした。


さて、3人がどうでるか、考えてから動こう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

疲れた呪いの魔王は旅行中 馬頭牛頭 @GozuMezuGozuMezu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ