第17話 道中4
〜前回の簡単なまとめ〜
叫び声が聞こえたよ
〜まとめ終わり〜
「うーん、さっきの痕的にはこっちだよなぁ、道を外れて森の中に叫び声の主もしくは主達は逃げ込んだのかな?どう思う?フーリエ。」
「じゃないかな?歩いていた道をまっすぐ走っていった場所に荷物やらが散乱、斬られたような草があったし、その場に居ないってことは森に逃げ込んだんだろうね、まぁ逃げるだけなら相手の剣もこの木に攻撃が吸われるだろうし、弓も木を盾変わりに出来るだろうからね、まぁ前提としてよほど戦いが上手いか、よほど運が良いか、よほど避けるのが上手い、みたいなとこはあるけどね。」
と吾輩とフーリエは足音を立てずに速歩きをして追跡している側と追跡されている側を発見しようと追跡していた。
「お、ルーゴ、少し先が明るいし声が聞こえる、もしかしたら声の主かもしれないから足元にさらに注意をはらって歩こう。」
とフーリエは吾輩の側に来て抱えろと言わんばかりに両手を挙げていた、うん、聞きたくはないが……聞かないと進まないかな……。
「フーリエ、一応聞くが何故両手を挙げて吾輩の側に来ている?それはもしかしなくとも抱えろ、ということなのか……?」
と吾輩がフーリエに聞くとフーリエはん?みたいな顔で吾輩を見てきた、あれ?もしかしたら違うのかな?
「そうじゃが、嫌か?」
「……年齢を考えてから発言してください……。」
子供より子供かもしれない……いや寧ろ清々しい程正直だから好感がもてるわ……。
「ワシが楽をしたいからってのも勿論あるんだがワシよりルーゴの方がさっきから足音消すの上手かったからワシを肩に抱えても大丈夫だと思うし、あと単純に合図して木の上登るとき楽。」
とフーリエは吾輩に真顔で言ってきた、その顔はなんとも言えない真顔だったが、まぁ言わんとしていることはわからないでもないから協力するかな……と吾輩は決めフーリエを言われた通りに肩に抱えたあと状況が見えるようにその場に一番近い木のその背後の木に立ち隠れた、微妙にフーリエが出ているが気にせず、吾輩はその場を確認した。
その場はわりと開けており、三人と七人で対立していた、まぁ七人は追っていた側なんだろうなぁ……なんか、こう、悪そうな顔してるもん……あと七人なら逃げないだろうなぁ……相手が強くなかったらだけど……三人側は……追われていた側だなぁ、よく見たら切り傷みたいなのがあるし……。
と互いになにかを喋りだしたため肩に抱えているフーリエに対してジェスチャーを出し吾輩にもあそこの声を聞かせてほしいことをアピールし、フーリエも気づき吾輩にも三人と七人の現場の声が聞こえるようになった。
「へっようやく止まりやがったか、早くくたばるかそれとも奴隷にでもするかぁ?」
と七人側の一人が喋りだした、やはり七人側が追っていた側、悪い方のようだ、一応確認は大事だから待っていて良かった。
改めて三人と七人を見てみると三人は男二人女一人で男一人は革っぽい防具を身にまとい剣を手にして女一人は同じく革っぽい防具を身にまとい弓を手にしている、この二人は冒険者のようでチームを組んでいるようだ、あとの一人は護衛対象かなにかだろう。
七人の方はみんな昔っからのテンプレみたいな盗賊な格好を各々それぞれ違っているがしている、が一人、先程喋っていた奴だけ武器が違い、他六人が手斧やナイフなのに比べてこの一人だけ腰に剣を携えている、この七人の上らしい、仮として頭と呼んでおこう。
「くたばるならくたばるで後々の装備品が売れるし奴隷になるなら奴隷になるで男も女も良い働き手になるからなぁ。」
と頭が言うと後ろにいる六人も同調するようなことを言った。
「んなこと言われて、はいそうですか、とは言えないなクズがっ!」
「そうよ、はいそうですか、なんて言えるわけないでしょうが、どちらにしても私たちに得が無いでしょうが!」
と声を発したのは三人側の冒険者二人組みだ、よく見ると男の方は獣人、犬……狼……よくわからんが獣人のようだ、もう一人は人間か……まぁそこは良いんだが、おや?動くかな?フーリエが吾輩の頭を叩いてきて知らせてくれた。
「いくぞ……合わせてくれ……。」
「判った……。」
と二人が小声で合図をして直ぐに行動に移した、女が弓を二本放った後、男はそれに合わせて頭に突撃した、実に息が合っているように思った。
「ぐっ?!なっ?!」
吾輩は見ていたが頭は結構やる、矢を一本避けた後来た一本を剣で払い男の攻撃を剣で対応した。
「矢でこちらの動きを制限してそれに合わしてこちらに突撃をしかける、とても良い動きで冒険者としては銀か金に成り立てかは判らんが俺には届かないな、今は盗賊だが俺は元は騎士だったからなぁ、そのぐらいの併せ技ぐらいなら対処でき、るっ!」
と頭が男と女に言い、男の受けた剣を弾き男の身体を蹴り飛ばし女の位置、元の位置より少し遠い位置まで後退させた。
「かっ、は。」
と蹴り飛ばされた男は蹴られた位置を押さえていたが目線は頭をしっかり見ていた。
「まぁ良い、どちらにしてもお前たちの攻撃は俺には届かないということだ、さぁ大人しくしとけ。」
と頭が言うと手で合図を出し後ろの六人が動き出した。
「ぐっ……かっ……。」
「っ……。」
男の方はまだ回復しきれてないし女も弓じゃ六人はなぁ……、と思い肩のフーリエを軽く叩いた。
「ん?どうする?ルーゴ?」
とフーリエは聞いてきたので吾輩は【呪いの収納】から鎧を身に瞬時に装着しフーリエに返答した。
「どうするって言われても……まぁ助けるしかないでしょうが、このまま見捨てても目覚めが悪いし、フーリエ、吾輩の声をあの三人に届けてくれ。」
と吾輩は肩のフーリエに頼んだ。
「ぐっ、もう少し時間があれば……。」
「大丈夫、私が少し稼ぐわ……。」
その意気は大変に勇ましくとても素晴らしいがそのままじゃ無理だ、この声は魔法に乗せてお前たち三人に飛ばしている、今からそちらに入り助けるから絶対に動くなよ、わかったら頷いてくれ。
「今のは……?!」
「もしかして、聞こえた?!」
と男と女は互いに顔を見合わせたあと、頷いた。
「お前らなにこんな状況で目線をこっちから外しているんだ?舐めてるのか?」
と頭がイライラしているのか語気が強くなり言った時、襲っている三人の背後からそいつは現れた。
その場に居た者は皆一瞬それに注目した、身長はかなり高く、その場の灯りや月の光により橙にも青にも見える流線的な独特な鎧、騎士に見えるが剣や武器の類いは身につけておらず闘うために来たのではないのか?と訳がわからなくなる、肩に何故かいるエルフ?も現れたそいつに比べたらかなり小さいが夜の雰囲気からだろうか眼鏡の反射程度しか顔のことがわからないがとても不気味な感じがした、そしてその二人は三人を背後にし七人の前に立った。
「何なんだ……お前たちは……。」
と頭が吾輩たちに質問してきた、まぁ急に現れたらそういう質問しかないよね、だけど先ずは確認からしよう。
「聞きたいが、こういった場合あっちを殺すとどうなる?」
と吾輩が後ろにいる二人に聞くと二人は一瞬びっくりしたようだったが直ぐに気を切り替えた。
「こういった場合は大丈夫です、正当防衛が成立していますし、組合のルールにも則っています。」
「はい、大丈夫です。」
と二人から話を聞いていると頭はイライラしだしたのか語気を強くして吾輩に質問した。
「だから、お前たちは何なんだって聞いているんだ!!」
と吾輩とフーリエに聞いてきたので吾輩は肩にいるフーリエをおろした。
「フーリエ、三人を頼む、一応。」
「判った。」
とフーリエに頼んだあと頭を見たらまたイライラしているようなので質問に答えることにした。
「そうだな、三人視点で言うなら助っ人、お前たち視点で言うなら死神、さて命を刈り取られる準備は出来たか?」
「ほざけ!野郎どもやるぞ!」
頭の号令で他六人が動き出した。
さぁ、戦闘開始だ!
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