第15話 道中2
〜前回の簡単なまとめ〜
フーリエと次に行く街を決めた。
〜前回のまとめ終わり〜
「そういえばフーリエ、亜国家ルズにはなにがあるんだ?」
と吾輩は腕に抱えられ上機嫌なフーリエに尋ねた、まぁ村から外に出ていないって言ったって村に来た商人から色々話を聞いているだろうから多少なりと詳しいだろう、そうでなくてもなにか知っているだろう、と吾輩は期待をした。
「いや、あの、なんじゃ、すまん、ぜーーーんぜん知らないしわからん、わかっているは国名とだいたいどんな風な国なのかぐらいで、そんな有名地とか観光地とかは知らん、というかそんときは興味も無かった。」
とフーリエは吾輩の方を向きながら悪びれるでもなくむしろ堂々しながら吾輩の質問に返事をした、まぁ良いかなぁ、期待はしていたが知らないなら仕方ないとは思うし着いてからの楽しみという考え方も出来るからね、まぁ良いか良いか……。
「納得はしたがもう少し悪びれてほしかったなぁ……。」
と吾輩は言いながらフーリエを腕に抱え直し、手を外し浮かした後、フーリエの頬を両方から軽く痛くないように引っ張った、面白い顔だなぁ……。
「ひ、ひはくははいへほひゃへへ(い、痛くはないけどやめて)、はほはへふひはふ(顔が変になる)。」
とフーリエが言ってきたので吾輩は両手からフーリエの頬を離した、離した後のフーリエの頬は少し引っ張りすぎたか少し赤かった。
「痛かった……、まぁとにかく、詳しくはワシも知らないしほんとに興味も無かったんじゃ、あの時は村を維持するのも大変だったし、別に村の外のことを聞いたとしても興味あるとしたら大陸全体的なことで国一つの中のことまでは気にかけるまでは興味無かったからなぁ……。」
とフーリエは吾輩に抱えられながら浮いていた吾輩の片手をいつの間にか捕まえていて手にある関節という関節に合わせながらパキパキポキポキと解体していた、うん、別に痛くも痒くもないんだが……ないんだが凄く複雑な気持ちにはなるな……綺麗にパキパキポキポキされてバラバラになるな吾輩の左手……。
「ワシもな、もうかれこれ長いことあの村から出ていないし外の情報といったら聞いたことだけ、まぁそれでも良かったけどお主が再びワシの前に現れて今旅行中って言われたらワシも行ってみたいな、みたいな気持ちが出てきたんだ……、またお主と旅が出来るとは思っていなかったからこれでも吾輩嬉しいしありがたいと思っているんじゃぞ。」
とフーリエは吾輩の方を向いてニコッと笑いながら言ってきた。
そうか、良い話だなぁ、ただその手にある吾輩の右手が無かったらもっと良かったんだろうなぁ……と吾輩は思った、こういう時表情筋無いのありがたいね変な表情にならないから。
フーリエは吾輩の左手を限界までパキパキポキポキバラバラにした後右手を見つけ右手もパキパキポキポキバラバラにしながら先程の台詞を吾輩に言ってきた……先程も言ったが別に痛くも痒くもないんだが……ないんだがやっぱり複雑な気持ちにはなるなぁ、あとせっかく吾輩も感動するようなことを言ったのに片手間で吾輩の右手をバラバラにするのはよしてほしかったなぁ……まぁ良いか……良いのか?
「それはそれとして……フーリエ、結構歩いて大きな道には出たには出たが、北に行く道がまだ見えないんだが……なにか知らないか?」
と吾輩はフーリエの方を見て聞いてみた、フーリエは吾輩の右手をバラバラにしながら遠くの方を見ているようだ、おー、しっかりしている。
「ふむ、ルーゴよもう少し歩くと看板と道が三つに分かれているから多分そこまで行ったら多分北、というか目的地方向で良いはずだ。」
とフーリエは吾輩の右手をバラバラにしながら吾輩に言ってきた。
「ふむ、なら良いんだが、もうだいぶ歩いていて全然北に行くような道が無かったから聞いてみたが、あるなら良かった。」
吾輩はフーリエにそう言いながら自分自身でも確認しようと【先見の呪い】で見てみた、確かに看板があったが吾輩にはそこまでしか見えなかった、やっぱり使い勝手が悪いなこの呪い。
「にしてもルーゴよ、森の外はこんなにも平和なんじゃなぁ……いやまぁあの森自体瘴気があったからわりと危険だったってのもあるにはあるんだが……ここは全然そんな気配もないの。」
とフーリエは無邪気に吾輩に言いながらバラバラにした左手と右手でなんかしていた、具体的には今は左手と右手のそれぞれの指をそれぞれ逆の手に付けているんだが……せめて指の位置は同じに付けてほしいんだが……なんで左手親指が右手小指の位置にあって右手小指が左手親指の位置にあるんだ、妙に気持ちが悪い……。
「んー、まぁあの森は瘴気があって危険だし来れるのも限られているから正直例外として、ここは大きな道で歩いている間や今もざっとは見ているが道の舗装もしっかりとされているみたいだし道の遠くには森はあるが近くには木が転々と生えているだけで隠れられる場所もそんなに無いようだし、あとは多分冒険者あたりが定期的にここら辺で狩りかなんかしているから魔物もここら辺には居ないんだろうな、だから平和なんじゃないかな。」
と吾輩は右手左手の指を入れ替え終えて満足しているフーリエにそう言った。
「なるほどのー、確かにそう考えるとそんな気がしてきたわ、いやー、長いこと戦いや闘いから離れると駄目になってしまうなぁ、気を引き締めないといかんな。」
とフーリエは吾輩の右手左手をまたバラバラにし始めながらケラケラ笑いながら答えた、ただ眼は笑ってはいなかった感じで吾輩はそれを見て少し安心と懐かしさを思い出した。
「お、ルーゴよ、ようやく看板が見えてきたぞ!」
「そうだな、なんか妙に長い距離だった気もするが、これもまた一興か。」
と吾輩とフーリエは互いに顔を見合わせながら言った。
「ルズは……こっちじゃな。」
「みたいだな。」
と吾輩とフーリエは看板を見てルズの方向を見た。
「そりじゃ。」
「行きますか。」
「「北へ、ルズへ!」」
吾輩とフーリエは北に曲がりルズへの道を進みだした、あと何日かかるんだろうか、それもまた一興か。
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