第10話 ダークエルフの村 観光④

 〜前回の簡単なまとめ〜

 

 ダークエルフの民芸品を見に行ったよ。


 〜まとめ終わり〜



 民芸品を見終わったあと吾輩たち三人はエルの案内のもと訓練所がある場所に歩いていた。


「もうそろそろで訓練所に着きますよ!」


 とエルがこちらを向いてきたので吾輩は手を振って返事をした。


 エルの言葉通り少し歩いた後柵に囲まれた場所が見えてきた。


「着きましたよ、ここが訓練所です!」


「くんれんじょー!」

 

 とエルとエルの方にルインが走っていきながら言った。


「おー、広いし色々あるな。」


 と吾輩は訓練所を見て返事をした。

 

 木剣や木槍で訓練するであろう人に似せた木人形や弓用の的、あとは対人用の広い場所があった。


「おー、エルと客人か、村長から来ることは聞いていた。」


 と話かけてきた男には見覚えがあった。


「あ、ルイさん!」


 とエルが手を振りながら言った。


「そうか客人には名前を言ってなかったな、俺はルイという、この前はすまなかった、でこっちが。」


 とルイが訓練していた相手であろう、こちらも見たことがあった。


「ルニだ、すまなかった、最後に。」


「ルサだ、我々の勘違いだったが森の瘴気が消えていて気がたっていた、すまなかった。」


 と三人に謝られた。


「改めて吾輩はルーゴだ、いや大丈夫だ、気にしなくても良い。」


 と吾輩は返事を返した。


「ということでルーゴさん、ここが訓練所です、どうですか?」


「いやすごいな。」


 とエルが聞いてきたので吾輩は返事をした、と、いつの間にかルイが木剣と木槍を持ってきていた。


「ところでどうだ?我々と一戦交えてもらえないか?」


 とルイ、ルニ、ルサが生き生きとした表情でこちらを見てきた。


「えっと……。」

 

 とエルの方を見たらエルも生き生きとしていた。

 と、


「がんばって。」

 

 とルインが吾輩に言ってきたので吾輩も肩をすくめ、


「わかった、なら剣を貸してもらおう。」


 と言いルイから剣を借り、広い場所に移動した。


「さて、と、まぁ吾輩の力は知っているから三人でも構わないが、どうする?」


「ならそうさせてもらおう。」


 とルイ、ルニ、ルサはそれぞれが離れ吾輩を囲んだ。


「とりあえず始めたいが、一応ルールだけは決めておくか、武器は何でも良いが木剣、木槍の二種類だけ、魔法は身体強化のみ、そちらはこちらを殺す勢いで来ても良いが吾輩は致命傷は無し、とこんなもんかな?」


「ルールは判ったが殺す勢いで良いのか?こちらはハンデをもらっている気がしないわけでもないが……。」


 とルニが尋ねてきた。


「まぁ一回その気で吾輩はやられたがね、まぁ訓練でも手合わせなら本気で対峙しないと相手に失礼だしなにより……。」


 と吾輩はそこから威圧を纏い質問をしてきたルニの方を向き答えた。


「お前たち三人の前に立っているのはこれでも魔王だ、本気で来ないと保たないぞ?」


 と言ったあと威圧を解き元々正面にいたルイの方に向かい合った。


「いや四人です!」


 と真後ろから声が聞こえてきたから吾輩は少し驚いた後後ろを見るとエルが剣を持っていた、ルインは離れて座っていた。


「私も一緒にやらせてもらいます!」


 とエルがこちらをキラキラした目で見てきたのでルイの方を見たら、苦笑いし、ルインの方を見たらこちらに気づいたらしく吾輩に親指を立ててきたので吾輩も腹をくくった。


「わかった、ルールはさっきのとおりだ、開始は……そうだなこのコインを弾いて地面についたら、でコインはそっちが弾いて良い。」


 と吾輩はルイにコインを投げ渡した。


「了解した、準備は?」

 

 とルイが吾輩に聞いてきたので、


「いつでも。」


 と吾輩はルインを除く四人に届くように威圧を発した。


「っ、判った……。」


 と言ったと同時にルイはコインを弾き、そして地面についた。


 まず吾輩に挑んできたのはルニとルサの二人だ、二人は身体強化で脚力を格段に上げ吾輩左右見える視界から一回消え、


「その首。」


「貰った!」


 とルニは吾輩の左前から首を、ルサは吾輩の右後から首を狙ってきた。


「良い狙いだがお互い同じ場所を狙うのはイケないなぁ、しかも太刀筋が綺麗すぎるどこを狙っているか判ってしまう。」


「「な?!」」


 と二人とも同じ驚き方をしていた、それもそうだ、今首を狙われている吾輩もいるがルニ、ルサの二人の背後にいるのも吾輩だから二人は混乱しているのだろう。


「これは幻覚?」


「っ、いや違うルニ!この真ん中の、動いてるし二人の剣を止められた、分身だ!」


「残念だが少しだけ違う、吾輩も身体強化しか使ってないし吾輩三人いるがこの三箇所を移動し残像を作っただけだ、今止めたその残像はもう消えるはずだ、ほら。」


 と行った後二人の剣を止めた吾輩の残像は消えた。


「ということで二人は退場だな。」


 と二人になった吾輩と吾輩の残像で背後から木剣を首に回し二人に敗北を促した。


「これは……仕方ない私たちの負けだルサ。」


「そうだなルニ。」


 と二人は負けを認めルインがいる方に離れていった。


「さて、次はルイ、貴方だな。」


「ゆくぞ!」


 とルイは身体強化を使ったあと吾輩の前から姿を消し、吾輩の前に現れ真正面から剣を振ってきた。


「もらっ?!」


「駄目だねそんなにわかりやすく来ちゃあ……騎士じゃないんだから相手の命を取り合うならもっと邪悪にやらないと。」


 と吾輩はルイの腹に蹴りを相手のスピードに乗せながら蹴り入れた。


「ぐっ、駄目だな参った。」


 とルイは言った。


「さて最後はエル、か。」


 とエルの方を向いたらエルは真っ直ぐこちらに向かってきていた。


「ルーゴさん、いきます!」


 と剣を振りかぶり振り下ろしてきた。


「まぁ仕方ない、最後だけ見せよう聖天騎士の技を……。」


 と吾輩は振り下ろされた剣を後ろに避けた後、振り下ろされた剣を巻き込むように切り上げた。


「っ?!」


 エルは急に砂埃が起こり戸惑ったがその後すぐに止まった。


「参りました……首に剣を突きつけられて木剣も粉々にされては負けを認める以外出来ません。」


「まぁそうだな、とりあえずこれで四人とも満足したか?」


 と吾輩はエルの首から木剣を離しつつ周りに声をかけた。


「「「「大丈夫、私たちの負けですよ。」」」」


 と四人綺麗にハモった声を吾輩は少し笑ってしまった。


 と、離れた所にいたルインが吾輩の元まで来てしゃがんでと促されたので吾輩がしゃがむと、


「すごかった!」


 とルインが言ってくれたので吾輩は


「ありがとうね。」


「だけどなんかずっこかった。」


「は、ははは……。」


 と苦笑いして返した。


 少し休んでいたルイ、ルニ、ルサがこちらに歩いてきたので吾輩は立ち上がった。


 さて、次はなにがあるんだろうか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る