第7話 ダークエルフの村 観光➁

〜前回の簡単なまとめ〜

 

 魔樹園に行ったよ


〜まとめ終わり〜



 ということでちょっと問題はあったが魔樹園をあとにした吾輩とエルとルインは門から外に出て魚の養殖場がある道を歩いていた。


「まぁ色々あったがとりあえず村の外に出て来たな。」


「そうだな、魚の養殖場は村の外近くにあるんだ、この前も実は養殖場あたりにルインと行った帰りに少し遊びに離れたらあいつらに襲われたんだ。」


 と、話しながら歩いていると、


「あ、よーしょくじょー!」


 と肩車していたルインが指を指した先を見てみると回りを柵に囲まれいくつかに区切られた池らしきものが見えてきた。


「あれが養殖場、かな?」


 と、吾輩が尋ねてみたら、


「そうだ、あれが私たちが作った魚の養殖場だ!」

 

 と、エルはこちらに振り返り後ろ向きに歩きなが

 ら言ってきた。


「ここでは魚の成長速度を上げるために魔力で練った餌を魚にあげて安定した供給を保っているんだ、だから……。」


 と、エルが先に養殖場の入口から入ってルインを肩車した吾輩が入口から入った途端、池の至る所からバシャバシャと魚が飛び跳ねたりして吾輩は、


「うおっ。」


 と言い、上のルインもびっくりしたらしく、ビクッとしたのが判った。


「ははは、そうなんだ、餌に魔力を練っているから魔力が高い者が入ると魚が飛び跳ねたりするんだ、それにしてもこんなに魚が飛び跳ねるとは……やっぱりかなり高い魔力持ちなんだなぁ……。」


 と、エルが言っているときルインは驚いたままだったみたいで動かなかったので肩車の状態を維持しながら腕を外し浮かしルインの肩を揺さぶったところでルインがハッと正気に戻ったのでそのまま腕をルインに預けたままエルの案内を受けた。


「ということで改めてここが養殖場だ、全部で八つの池で管理していて魚が食べられんだ。」


 と池の近くに行って説明してくれた。


「ふむ、確かに魚一匹一匹に魔力があるのが感じられるな、育ちが早そうだ。」


 と吾輩が池に近づくたび魚の跳ねの勢いが増してきて本格的に精神的に参ってきそうになり、また、上の吾輩の腕を弄っていたルインも最初のうちは気にはしていなかったようだがだんだんと跳ねの勢いが増すにつれガタガタとしてきたのでどうしたものかと考えた。


「もしかしてルーゴさん、気づいていないんですか?」


 とエルが言ってきたのでなんのことかな、というふうに首をかしげると、


「ルーゴさん、今朝家を出る前から魔力が溢れ出ているんですよ、昨日会った時はほとんど感じられなかったのが今日はかなりの量溢れ出ています。」


 と言われ、あぁ、なるほど、となった。


「もしかしなくてもそれのせいで魚が?」


「はい……。」


 と言われ吾輩はすぐに自身の魔力を引っ込め始めると魚の跳ね上がりがだんだんと少なくなっていき始め最終的に魚が静かになっていった。


 魚が静かになったあと上のルインの様子を伺ってみると放心していた。


「あらら。」


 と吾輩はルインが持っていないもう片方の腕でルインを担ぎ上げ地面に降ろした後、ルインを軽く揺すると、


「はっ……!」


 と、気がついた。


「怖かった……いつもはもう少し大人しい……。」


 と言われたので、


「すまなかった……。」


 と謝った後ルインが元に戻した片腕を引っ張ってきたので一緒に歩くことにした。


「魚が落ちついたところであれですが、餌やりやってみますかー?」


 と、いつの間にか遠くにいたらしく餌と思われる物が入っているであろう籠らしき物を持ってきた。


 餌に魔力が籠もっているのであろう、エルが向こう側から走ってくるのにあわせて魚が跳ね上がってくるので一種の感動を思いつつも吾輩、そしてルインも、


「「うわっ……」」


 とお互いに声に出てしまい、お互いに顔を見合わせ笑った。


 エルがこちらについた時、魚は跳ね上がるのを止めていた。


「ここの池の魚は餌やり大丈夫です、是非やってみてください、やり方は普通にあげても大丈夫ですが魔力を餌に与えてからやるとすごいですよ。」


 と言われ餌が入った籠を渡された。


「私もやってみたい!」


 とルインが言ってきたので吾輩は屈み餌を取りやすい場所まで持っていきルインに餌やりをさせてあげた。


「えいっ。」


 とルインが餌を投げると魚が水面付近でバシャバシャしだし餌を食べているのが判った。


「さっきも言いましたが魔力与えるとすごいんですよ、ほいっ。」


 とエルが餌を手に取り魔力を餌に与えたのだろう、その餌を池に投げると先程のルインの時とは違いかなり魚の餌への食いつきが違い水面付近はエラいことになった。


 うわぁ……と吾輩が見ていると、


「どうですか、凄いでしょ!」


 とエルが言ってきたので、


「そ、そうだな……。」


 と吾輩が返事をした後、ふとルインが静かだな、と、感じたのでちらっと見てみると、


「……。」


 黙っていたがどうやら自分の時と反応が違うのがあまり良い気分ではなかったみたいで少しむくれていた。


「ル、ルインさーん?」


「……。」


 あぁ、駄目だな、と思ったので吾輩はルインの肩を軽く叩いてこちらを向かせたあと、ルインの目の前で餌に魔力を込めてあげた。


「うおっ……。」


 とエルが吾輩の手を見て声をあげたり、魚が跳ね上がるのをよそに、


「はい、ルイン、魔力を込めたから魚にあげてみ?」


 とルインに餌の籠を渡した。


「……うん……。」


 とまだ少し不機嫌だったが吾輩の手にあった籠を手に取って池側に向かった。


 ルインが池にだんだんと近づくたび魚が生き生きとしだしてルインは途中でビクッとしたが餌を投げ入れられる距離に近付き、


「……えいっ……。」

 

 と餌を投げ入れ、餌が池の上を行き落ちてくる途中、魚が跳ね上がり空中で餌を食べた。


「!!!!」


 とルインが驚きつつもウキウキしながらこちらを向いてきたので、


「良いよ、どんどんやりな。」


 と言ったらウキウキしながら池に再び向き合いながら餌をやった。

 ルインが餌をやっているのを見ているとき、


「ルーゴさん、貴方ほんとに凄いですね……魔力あんなに込めて……。」


 とエルが訪ねてきたが、


「ん?そんなに込めていたか?まだまだかなり余裕はあるが……まぁ確かに凄い量だった、か、な?」


 と吾輩がルインの方を見ながら返事をしながらエルの方に向くと、うわぁ信じられない、という表情をしていたのでそんなにかな?と思いながら再びルインの方を向いた。


 しばらくして餌がなくなったのもあるのか満足したのもあるかルインが満面の笑みで帰ってきたので、


「どうだった?」


 と吾輩が聞いたら、


「楽しかった!」


 と笑いながら答えてくれたので良かった、と思った。


「ということで養殖場でしたがルーゴさん、どうでしたか?」


 と養殖場を出た後エルが聞いてきたので、


「あぁ、生前でも見たことなかったから良かったよ。」


 と吾輩が答えたあと、


「楽しかったー!」

 

 と肩車をしていて機嫌がなおったルインもそう答えた。


「今日はちょっと途中で予想外な事が起こってしまったのでこれまでですが、明日一日あれば観光出来そうなところは回れるので楽しみにしてください。」


「あぁ、判った。」

 

 とエルの言葉に返事をしたあと村に三人揃って帰路についた。

 

 明日の観光、どんなものが見られるだろうか楽しみだ。

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