第6話 ダークエルフの村 観光①
〜前話の簡単なまとめ〜
ダークエルフの村について村長にあったら昔の知り合いだった。
〜まとめ終わり〜
「そういうわけで朝の……まぁ早い時間でお互いに起きたんだが……大丈夫か?」
「あっったまいっったい……なんでお前は平気なんだ?生前は全く飲めなかっただろ?」
と、彼女ことフーリエが水を飲みながら尋ねてきた。
昨日、彼女がご飯を作ってくれて食べ、酒を出してきたので色々話していたらフーリエが先に寝たので吾輩も寝て、今起きたところだが……、
「起きてスグの言葉がそれか……で質問に対しては吾輩は食事は取れるには取れるがあくまでも嗜好品みたいな扱いだから味も判るには判るが口に入り咀嚼したり、飲み物に至っては口に入れただけで魔力に変わってしまうんだ。」
と、吾輩は昨日酒のツマミと出されて残っていた干し肉をフーリエに見えるように上の奥から数本の歯を消し、中が見えるようにし干し肉を噛み切った。
「うわ、ほんとだ、噛み切った先の干し肉がすぐに消えた……味が判っているのが不思議だな……。」
と、彼女が確認したあと歯をもとに戻し、
「味が判るのは確かに不思議なんだよな、触感はわからなくもないけど、まぁ吾輩は食べ物飲み物が変換した魔力に味があると勝手に考えているが、まぁ判らん。」
「まぁ良いんじゃないか?それがなんであれルーゴはルーゴなんだからな。」
と、彼女は頭が痛いからであるか少し引きつった笑顔でこちらを見てきたので吾輩も頷き返した。
「村長ー!来ましたよー!」
「来たー!」
と、家の外から声が聞こえ窓から見てみたらエルとルインが居た。
「フーリエ、外にエルとルインが居るんだが?」
と、聞いたらフーリエは頭が痛いのだろうがなにかを思い出そうとしていて、数秒経ちはっとして、
「あー、そうだ、ルーゴ、お前さん観光したいんだろ?私が案内しても良いんだが少しやることがあるんでね、昨日飯作る前にエルに案内を頼んだんだ、お前さんだって顔を知っている者に案内された方が良いだろ?」
と、言われて吾輩はたしかに、と、思いながら、
「たしかにそうだな、一応あと三人ぐらい顔は知っているが、まぁ、エルやルインの方が良いな。」
と、言ったら彼女は頭痛に耐えていたのだろう、引きつった顔で笑った。
「村長ー、入りますよー!」
「入るー!」
と、入口付近から聞こえてきた。
「村長ー、部屋入りますよー、ってお酒くさいっ!」
「わー、くさい!」
「うるさいぞーお前たち、今から換気しようと思っていたんだ。」
と、三人が言い争っている時に家の窓を呪いで開けた。
と、急に窓が開いて三人とも、とくにフーリエが驚き少し考えていたが、
「お前さんか?ルーゴ、窓を開けたのは?」
「そうだが……?」
と、答えてまた少し考えたあと、
「いや、ありがとう窓を開けてくれて。」
と、彼女は答えたあと、
「エル、ルイン、ルーゴ……って言ってもわからないか?まぁこちらの方を案内してあげてくれ、私は昨日も言ったが少し用事があるからよろしく頼む。」
と言った。
「判りました村長!」
「わかったー。」
と、二人が返事したあとに吾輩達三人は外に出た。
「ということで昨日は自己紹介をしていなかったのでまずは吾輩の自己紹介を……吾輩はルーゴ、生前の名前の略称で本名は長いからルーゴで頼む。」
と二人に対して自己紹介を行った。
「わかった、ルーゴ、私は昨日め紹介したがエルだ!そしてこっちは……」
「ルイン!」
と、ルインは名前を言ったあと吾輩の元に走ってきた。
「あっ、ルイン!」
と、エルがルインを捕まえようとしたが、
「大丈夫だよ、とくになにかされるわけでもないからね、昨日も大人しかったし。」
とルインが吾輩の外套の裾を引っ張ってきたので快く許した。
「ということで、始めてダークエルフの村に来たんだが、エルさん、この村にはなにが見どころなんだい?」
「エルで大丈夫だ、そうだな、とりあえずどんな物が見たいんだ?やっぱり珍しい物やこの村で大切な物とかか?」
と、言われたので吾輩は考えた。
「あー……。」
そう、考えていなかった……言われてみたら確かに観光とひとくちに言っても色々ある……さて、どうしたものか……。
「ちなみに私のオススメは魔樹園だな、私たちは見慣れているが、他の種族には珍しいブラックチェリーが育つんだ、昨日食べなかったか?」
なるほど、果樹園みたいなものか、確かにそういうのを見に行くのも良いな。
「なら魔樹園を見に行きたい、案内を頼む。」
「判った!」
と、エルが歩きだしたので吾輩はルインと歩く速さを併せついていった。
歩くにあたって村、というか町を色々キョロキョロしながら見ていたら、
「やっぱり珍しいのか?こういった一種族の町って?」
と、エルが聞いてきたので、
「いや?そんなことは無いな、吾輩は生前、ドワーフのみの地下都市や人間だけ居住権がある都市、獣人国もあったし、死後は、魔族側で名前通りだがゴーストだけで町を形成しているゴーストタウンもあったからなぁ……かく言う吾輩は城に一人だけだったが……まぁ一種族の町や都市はそんなに珍しくはないね、一応宿屋はあったし。」
と、吾輩は言ったあとに、
「だけど生前にフーリエに聞いていて知識としてはあったが、実際にエルフやダークエルフとかの村や町や都市には他の種族が泊まるような宿屋は無い、って聞いていたがほんとに無いんだな、と、キョロキョロしていたんだ、酒場はあるんだな。」
と、言った。
エルはこれまで大して意識していなかったのかキョロキョロしたあとに、
「あー、そうだな、言われてみたら確かにそういったものは無いな、まぁ理由は察してはいるんだろうけど……。」
「まぁね、昨日の
と、ルインが肩車をして高いところから見てみたいのだろう、こちらに両手を挙げて来たので魔力を使い両肩から腕を外しルインを抱き上げ肩車をした。
「あとはそうだな、これは場所が場所だからあれだが魚が売られていたことかな、森の中で近くに海も川も無かったはずだから不思議だなと思ったな。」
とルインが頭を撫でているのをよそにエルに尋ねた。
「あぁ、それはここ最近、と言っても三、四十年前だが、魚の養殖に成功したんだ。」
と、エルはこちらを向きながら答えた。
「そこも後で案内しようか?」
「そうだな、気になるから頼む。」
と、吾輩の城のことや吾輩が魔王だということとか基本吾輩のことを色々話をしながら魔樹園に向かっていった。
「というわけでここが魔樹園だ!」
「魔樹園ー!」
と、案内されたのは等間隔に綺麗に並びよく手入れがされているのがわかる果樹園もとい魔樹園だ。
「さっきも言ったがここでブラックチェリーが作られていてブラックチェリーは普通に食欲にされたり、お酒に使われたりされてたりするぞ。」
「ブラックチェリー好きー。」
と園の中に入りながら説明してくれた。
「へー、なるほど、良い黒みだな、ん?他にもなにか作っているのか?」
「と、言うと?」
と、エルがこちらを見てルインが頭の上でブラックチェリーを食べているのを見て人(?)の頭の上で食べるのは……と怒ろうとしたのを咎めようとしたのを吾輩が気にしなくても良いとジェスチャーしたあと、
「いやなに、魔力の流れ、というか塊かな?が、ここを含めて4つあるから別の果実を作っているのかな、と。」
と、聞いたらエルは、
「あー、そうだな、ここの魔樹園では四つ育てていて、大部分はこのブラックチェリー、あとは普通のリンゴ、ブドウ、あと四本だけ魔呪種を作っているな。」
「ほー、魔呪種か。」
魔呪種は生前に使った、また、食べたことがある果物で呪とついてはいるが別に呪われるわけではない(まぁ、少量毒が入っているが大量に食べなければ良い)、食べると少し苦味があるが魔力がしばらくの間回復し続ける、という便利な果物だ。
「育てるのが難しいっていう魔呪種、さすがダークエルフだな。」
「まぁさっきも言ったが四本だけだし、なんなら一個しか採れないってこともあるからだいぶ育てるの難しいけどね。」
「へー、やっぱり難しいんだなー、ん?」
と、頭をルインが叩いてきたので、
「どうした?ルイン?」
「ん、あれ。」
と、ルインが指を指した方を見るとなにかが走ってきているのが見えた。
「んー?あれは……。」
「ん?あれは……黒狼の群れか!」
と、エルが言うのでよく見たら確かに黒狼だ、黒狼はゴブリンや普通のスライムみたいな扱いでよく初心者向けと言われている魔物で確かに強くはないのだが、それは単体の時だけでゴブリンもスライムも黒狼も複数体いるだけで上位冒険者を殺す。
ゴブリンは知恵があり武器を使ったり徒党を組んだり簡単な罠を使い、普通のスライムは群れはしないが複数体いると脚をとられ自らの体を使い敵を窒息させる程度の知恵があったり、黒狼は群れを作り連携をとったりする、いくら初心者向けと言われても上位冒険者も普通は警戒する相手である。
「いつもこの魔樹園には黒狼が来るのか?」
と、エルに聞くと、
「あぁ、森にも餌は勿論あるがここの果物は魔力が加えられているからそれが狙いでよく来るんだ、だいたい柵外から来るんだ……。」
ん?と、吾輩は不思議に思い、
「この村は確か結界が張っているはずだ、それは吾輩が昨日聞いて確認したり実際に見た、あのぐらい強かったらいわゆる初心者向けの魔物なんて入ってこないはずだが……?」
と、聞いたら、
「すごーく恥ずかしいんだが……柵の下に穴作って入ってくるんだ……。」
と言ったので声を出して笑った。
「なるほどね、下か、確かに下は見なかったな、ハハハ。」
と笑ったらルインが頭をペシペシと叩いてきたので笑うのをやめた。
「さすがに村全体を土から上は可能でも下は難しいと村長が……いつもなら柵外に見回りが居て反応するんだが……見回りが見逃したみたいだ……っ。」
と言っていたら黒狼が吾輩たちのまわりを囲んだ。
「っ、囲まれた、ルーゴさん、ルインを。」
と、エルが言ってきたので、
「いやいや大丈夫大丈夫、吾輩の側に居なさい。」
と、吾輩がエルの肩を掴み側に寄せると、
「さて狼どもよ、魔王の前だ、絶望に満たされ死ぬが良い。」
と吾輩はエルとルイン以外、黒狼に対して殺気を超えた死の威圧を放った。
と同時に黒狼たちはこちらからわかるような汗というか涎というか汁という汁を額や口からダラダラと流し背後に居た一頭が倒れたのを最初に時間差はあるがバタバタと倒れていった。
ルインには見せたくなかったので外した二つの手で目を隠していたので今はうっとおしがられている。
エルはというと、
「いったいなにが……ルーゴさんが魔法を?」
と聞いてきたので、
「いや違う違う、ただの威嚇だよ威嚇。」
というとエルは疑問符が頭にいっぱい出ているようで考えていた。
と、
「んー、んーーー!」
とルインが手をパシパシ叩いてきたので外した。
「あぁルインごめんね。」
「ん、ちょっとうっとおしかったけど大丈夫。」
と言われて吾輩は安心した。
「ということでこれで魔樹園は終わりかな?」
と、考えているエルに尋ねてみた。
「ん?あ、あぁこれで魔樹園は見終わったかな、黒狼は……入口のやつらに頼むか……。」
と言っていたのをよそに吾輩とルインはブラックチェリーを食べていた。
その後、エルが魔樹園の入口の見回りに黒狼の死体処理を頼んでいたのをブラックチェリーをまだ食べているルインがお姫様だっこを所望されたので吾輩はルインをお姫様だっこしつつ見ていた。
報告が終わったのであろうエルがこっちを見て一回驚きつつもこちらに走ってきた。
「おまたせしましたルーゴさん、では次は先程言いました養殖場に行きましょうか。」
と言われた。
さて、次は養殖場らしいがどんな物が見られるだろうか。
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