第5話 ダークエルフの村➁

〜前話の簡単なまとめ〜

 

 道中色々あったがダークエルフの村についた


〜まとめ終わり〜



「と、いうことで色々あったがダークエルフの村に到着したな。」


「到着!」


 と、肩車していたルインが手を挙げてバランスを崩しそうになったのを戻しつつ吾輩は言った。


「色々案内したいが先に村長のところに行ってほしいとのことだからついてきてほしいんだが……」


「あぁ、判った。」


 と、エルの言葉を聞きながら塀の上側を見ていた。


 結構強めの結界が張られていて並大抵な魔物では入られないし、張った術士のレベルも相当高いものだと判った。


 と、見ていたらルインがトントンと頭を叩いたと同時に


「おーい、こっちだ!」


 と、エルが少し離れた所で呼んでいたのをルインが知らせてくれた。


「あー、判った!」


 と、返事したあと、


「ありがとうルイン。」


「ん。」


 と、感謝をしたあと、足早にエルのところにむかった。


 エルのところについた後この村の村長の場所にむかっている時にまわりを見ながら歩いていたが、外から見ていたよりもだいぶ大きな村、というより町だなと感じた。


「思っていたよりも大きい村だな、村というか町というか。」


「あぁ、昔聞いたことあるけどこの大陸にいるだいたいのダークエルフはここにいるらしいからな、だからかなり大きくなったって村長が言ってた。」


「なるほど。」


 と聞きながら生前、冒険者の時にパーティーを組んでいたダークエルフが居たなぁって思い出した。


「と、言っても多分もう二百とは言わないがかなりの年数前だからなぁ……」


「ん?どうした?」


「?」


「あぁ、いやこっちの話、気にしなくて大丈夫。」


 独り言を聞かれていたらしくエルとルインに心配されてしまった。


 パーティー組んでいたダークエルフは職業〈賢者〉で吾輩の腰上辺りぐらいの身長ぐらいしかなかったんだよなぁ……。


「お、あそこが村長の家だぞ!」


「村長の家!」


 目つきがちょっと悪く、黒い色眼鏡をしていて、服装も黒色の物か対象的な真っ白な服しか着なくて、


「村長の家についたぞ!村長!」


「ついた!」


「おー、エル、ルイン、ついたか。」


 そうそう、こんな結構高めな声で、だいたい煙管を吸って、い、る?


「ようこそ、お客人、ダークエルフの町に。」


 吾輩、魔王になってから驚くことなんて無くなっていたが久しぶりに驚いた……さっき思い出していた昔の仲間が目の前にいればそりゃ驚く。


「ん?どうしたお客人?私になにか?」


 と、言われて出た言葉が、


「おー、久しぶりフーリエ。」


 と、言ってしまい、そこで正気に戻り凄く恥ずかしくなった……。


「んー?お客人、どこかでお会いしたことが?すまないが骨系の魔族とは知り合いはいないはずだが……?」


 まぁそんな反応にはなるよな、会ったことがあるのは生前だし、死後魔物から魔王になる間には骸骨で骨格じゃ個人はさすがに判らないよなぁ……。


「そうだな、さすがに判らないよな……『呪いの収納』、『呪装』」


 と、収納から聖天騎士の鎧を出し、呪装と言う呪文で鎧を素早く身に着けた。


「これで良いか、外套の上からだから少し変だが……久しぶりだな、フーリエ、いや、フーリエ・ル・エースワール。」


「!?私のフルネームを!?まさか……いや……『あなちひかっなそのかる《わたしにあったことあん》』?」


「『かか、かんど《ああ、あるぞ》』。」


 と言ったと同時に鎧を脱ぎすぐに収納に入れ、エル、ルインの方を見たがよくわからないみたいな顔をしていた、対象的にフーリエは目を見開いていた。


「……エル、ルイン、お客人を連れてきてくれてありがとう、話が終わったら呼ぶから外に行っていいよ。」


「わかりました、村長、ほらルイン行くよ。」


「ん。」


 と、ルインが吾輩に手を振ってきたので振り返した。


「もくきにどしす、もうのひあさんほさ?《もう一度聞く、ほんとに判るのか?》」


「かか、あさん、やさちぬさっなさうなうはそのばかとびだ。《ああ、わかる、昔使った簡単な言葉遊びだ。》」


 と返事をしたらフーリエは立ち上がりこちらまで来た。


 顔は泣きそうな、不思議そうな、怒ってそうな、そんな不思議な表情をしていた。


「いったいどうしてそうなった、と、言いたいが久しぶりと言おう、ルーゴ。」

 

 と、言われ吾輩の名前を覚えていたのかと驚きつつも、


「あぁ久しぶりだな、フーリエ、吾輩はルーク・ルス・ルール・ルレイン・ルート、略してルーゴ、と、この名前を言うのも久しぶりだな。」


 と、返答し、お互いに笑った。


 そしてお互いに向き合いながら椅子に腰をかけた。


「ほんとに久しぶりだなルーゴ、まずはなんと言うか……随分と変わったな……そりゃパーティーで別れてからもう百と十、二十年ぐらい経って確かに人族は死ぬだろうが……まさか魔族になっているとは……なんだ?スケルトンメイジか?リッチか?」


「あぁ、久しぶりだな、もうそんなに経っているのか時間感覚が鈍ると曜日感覚は判るが年数まではわからなくなってくる……あぁいや違う種族は魔王だ、魔王。」


 と答えたらフーリエの手から煙管が落ちたのが見えたので顔を見たらなんとも言えない表情をしていた。


「ま、魔王?いったいパーティーで別れてからなにが……?」


 と、言われたので事故から魔物、魔物から魔王になった経緯を簡単にざっくりと説明した。


「はぁ?!滑落で死んだ!巫山戯んな!パーティー別れてから全く話を聞かなくなったから死んだかどっかでのんびりしてるんだろうとは思っていたがそんなダサい死に方を……。」


 と、魔法を使って投げられた煙管を額部分に当てらられた、わりと痛い。


「まぁ、それは置いといて、ということはあれか?最近話題になっている勇者に負けた三人の魔王の一人ってこと、か?」


 と、言われて吾輩は項垂れてしまった……、まさかこんなに知られていないとは……。


「お、おーい、ルーゴ、ルーゴ、どうしたー?」


「あ、あぁいやうん大丈夫、多分大丈夫……それも説明する……。」


 と、言ってしまったので自分の扱いがどんなものか説明したとたん、


「ぷっはははははは!ほんとは四体いる魔王が三体だけだと勘違いされて勇者や人間側に忘れられていたのか!ははははっ!」


「もう笑わないでくれ……知り合いの魔王に言われたときもショック受けたのに今度は恥ずかしくなってきた……。」


 凄く恥ずかしい……凄く恥ずかしい……。


「にしてもよくここまで来たな、まぁたまたまだったんだろうが、遠かっただろ?」


「あー、うん、いや、あー、聞きたいがもしかして森を出たことは?」


「ん?いや?元々冒険者なのは知ってるだろ?村長なのは名ばかりだから私は普通に森の外に出るが?」


「あー、うーん、えーと、なら今吾輩が向いている方向が北だとして南や南東方向には?」


「あー、あっちは駄目だね、出て少しの範囲は大丈夫だがその先に行くには瘴気が強す、ぎ……まさか……?」


 と、首をグギギとなりそうな動きでこちらを見てきたので怖いなぁと思いながらも、


「あぁ、そっちのほうに吾輩の城が、あるんだ……あと瘴気も吾輩の呪いで出している……。」


 と、行った途端彼女はこちらを向いて、


「ありがとう……本当にありがとう……ここら辺りに瘴気があるおかげで我々はとくに不便なく、安全に居られる、ありがとう……。」


「まぁ、気にしなくても良い、それにエルとルインが襲われてしまったのは吾輩が旅行に行くという理由で勝手に呪いを解いてしまったからだ、こちらこそ身勝手に解いてしまってすまない……。」


「まぁ、それは、仕方ない、のかな……はぁ、まぁ良いありがとうとだけ最後に言っとくよルーゴ。」


 と彼女は再び煙管を咥えだした。


「ところでルーゴよ、この町には何をしに?一応さっきも聞いたには聞いたが私も一応村長なんでね?もう一度聞く。」


 と、彼女は殺気を含めた声で問いかけてきた。

 

 おー、良い殺気だな、と思いつつも、


「ほぅ、魔王に対して殺気をもって質問とはさすが『賢者』、死に急ぐか?」


 と、殺気を持たず威圧のみで質問を返してみて彼女を見てみたが、彼女は表情を変えてはいなかったが汗をかき始めていた。


「あぁ、刺し違えることも考えている。」


 と、彼女が無理に返答してきたので自分の威圧を解いて大きく息を吐き、


「大丈夫だフーリエ、ほんとにたまたまここに来て、観光をするだけだ。」


 と、答えたら彼女も緊張が解けたのか大きく息を吐き煙管を咥え、


「なら安心だ。」

 

 と、こちらを見て笑った。


「今日はもう遅く、そろそろ夜だからここに泊まっていってくれ、飯……も出す、が……。」


 と、言われたので、


「あー、大丈夫大丈夫、飯は食えないこともないから一緒に頂くよ。」


「そうか。」


 と、お互いに笑った。


 さて、今日泊まったら明日は観光だ。

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