第2話 さぁ、旅行に行こう

〜前話の簡単なまとめ〜


 勇者しょうじきどうでもいいやつが知り合いの魔王三人に勝ったらしく人魔族間で和平が結ばれ一応平和になったらしい。吾輩しゅじんこうは存在すら知られていなかったらしく無駄に疲れたので旅行を勧められたので旅行に行こうとしている。


〜まとめ終わり〜



「と、いうことで旅行に行くことにしたのだが……」

 

 吾輩は立ち上がり部屋にある大きめな姿見の前に行き全身を見回した。


「さすがに和平が結ばれ一応平和になって人間領に自由に行けるって言われても全身骨且つ一部部位が無いままは……さすがに人間領歩き回れないよなぁ……魔族領ならこれでも良いんだろうけど……」


 吾輩の身体は魔物になった頃からすでに骸骨で魔王になった頃には身体の色々な部位の骨が無くなっていた。


「一応吾輩の呪文【呪いの蘇生カース・リバイブ】で蘇生は出来るし魔力はあるから全身肉体まで蘇生出来るだろうけどあれ試したことないから自分に試すのは抵抗あるんだよなぁ……」


 吾輩は部屋をウロウロし色々考えてみた。


「【呪いの蘇生】を自分に使ってみてもいいけどさすがに怖いなぁ……野生の動物とかも呪いでこの辺りには居ないしなぁ……【呪いの祝福カース・ブレッシング】は確かに色々便利だけど肉体を蘇生するまでにはいかないし……【呪いの幻想カース・ファントム】は……確かに肉体があるようには見えるけど触られたりしたら判ってしまうからなぁ……うーん……」


 そのままブツブツと独り言を言いながらウロウロしていた時


「そうだ、物置扱いしている宝物庫、あそこ何年?何十年?使ってないけどなにかあるかもしれないから見てみるか。」


 と、考えにいきついた。


 そして一人に対して無駄にデカい城を歩き宝物庫に行き着いた。


「すでに筋肉も無いし動く時は魔力で骨動かしたり浮いたりして動くから魔力切れない限り疲れはしないけどやっぱり一人に対して無駄にデカいなこの城……まぁそんなことは置いといて宝物庫についたな。」


 無駄に豪華な扉の宝物庫の扉を開け中に入った。


「さて、いったい何年使っているかもう覚えていないが埃は全然無いな、だいぶ前に城に【呪いの掃除カース・クリーン】使っていたからわりと綺麗だ。」


 宝物庫の中には生前から魔王になるまでに集めた色々な物がわりと整頓されて置かれていた。


 魔法のスクロール、魔導書、貨幣の詰まった宝箱、剣や槍等の武器や防具、良い値段がしそうな装飾品等色々な物があった。


「さて、なにか魔法の道具系で肉体を蘇生出来るものは無いかな?まさか死後に呪いを極めて魔王になるとは思っていなかったけど生前は肉体もあったから肉体を戻す魔法の道具があっても良いとは思うんだが……」


 そこから吾輩は宝箱を開けたり、棚を見たりと肉体の再生に関係しそうな魔法の道具を探した。


 だが


「うーん……解呪や状態異常を治す道具、体力を一定時間戻したり魔力回復薬、止血薬とかはあるけど肉体を戻す道具は無いか、結構長い間収集していたつもりだけどやっぱり魔王になったあとに収集していなかったからかなぁ……」


 ガサガサと色々探しながらブツブツ呟いたあとその場を離れた。


「生前に着けていた鎧やら魔物自体に集めていた外装とか奥の方にあったはずだからそれで考えてみるかな……」


 そう言ったあと奥の方にある置き場の方に移動した。


「あー、色々あるな。生前、と言っても何年前だか忘れたが、職業、聖天騎士の鎧がある、あの時は悪くはなかったなぁ……死因は滑落でイッパツポックリだったけどねハハハ……にしてもこれを着ても良いけどさすがに目立つよなぁ……」


 ちょっと考えたあと他にも見てみて


「これは……普通の鎧だけどちょっと足りない部分があるし……これは?うーん……布切れ……うーん服もボロッボロだなぁ……」


 と、色々見てみては考えて見てみては考えていた時ふと目についた物があった。


「うん?これは……かなり長めに丈がある黒いコート、と、中は……白い、燕尾服……?なんだこの組み合わせは……なんでボロッボロじゃないんだ?あー、最初から魔法で直るようになっているのか……ちょっと着てみるか……」


 と、言い白い燕尾服を着たあと丈が長い黒の外套を羽織った。


「ほう、吾輩結構背が高いのだが良い感じに着れるな、肉の部分は魔力で浮かせられば良いし黒い外套で隠せるから良いな、あとは足は……革の黒い靴が一緒にあったからそれを履けば良いか、手も白い手袋が一緒にあったからそれで良いとして、あとは顔だなぁ……」


 下から首あたりまで骨が目立つところは隠せたが頭部はどうしようもない気がしてきた。


「【呪いの幻想】で隠しても良いけどバレた時怖いからなぁ……」


 色々考えに考えたがその結果


「顔ぐらい良いか、このままで。」


 と、いった結論になった。


 ということで白い燕尾服、黒い外套、白い手袋、黒い革靴を身に着けたあと姿見を見た。


「おー、良い感じに着れているな黒と白で少し変で外套は良いにしろ中が燕尾服ってどういうことかと思うが……まぁ全身良い感じに骨が隠れているし良いか。」


 その場で一回転したあと鏡で顔を見て


「頭部だけはどうしようもないなぁ……頭部甲冑被る訳にはいけないししょうがないよな、まぁ頭部はひび割れたり部分欠けしたりしてないからだいぶマシなんだけどな……」


 と、いうことで服は決まった。


「持っていくものは……一応聖天騎士の鎧と魔剣二振りだけ持っていけば良いか【呪いの収納カース・ストレージ】で入れていけば良いし。」


【呪いの収納】にそれらを入れたあと宝物庫を出た


「そうだ、服に【呪いの祝福】かけておくか。」


 そんなことをしたりしたあと玉座に戻ったあとに


[旅行に行ってきます、用がある方は他の魔王に頼んで連絡ください]


 と書き置きを残したあと城の門まで行った。


「さて、旅行に行く前に、城に【呪いの祝福】、【呪いの掃除】、【呪いの呪い】を重ねがけして、ここら一帯の呪いを解くか。」


 そう言い指を鳴らすと、城周りのにあった嫌な気が一気に無くなり城自体には少し嫌な気が漂い始めた。


「さて、服装良し、城に対する呪い良し、城周りの呪い除去良し、もう出る前にやることは無いね。」


 そう言ったあとに軽く伸びをしたあとに浮かずに肉も付いてない脚で歩き始めた。


「さて、旅行の始まりだ。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る