名前出していいですか
「え、確認したいんですけど」
「はい」
「私って存在するんですか?」
「ふふっ」
「いやだってたぼさん、あ、名前出していいですか?」
「いいですよもう」
「たぼさんが今サイゼリヤの椅子と机で小説書いてるじゃないですか。『どないやねん』っていうやつ。私はそれを見てるんですけど『どないやねん』に私が登場するのってよく考えたらおかしくないですか」
「? いや別にサイゼでリアルタイムで書いて君に読ませてるから別に合ってるやん」
「でも明らかに私がまだ喋ってないことも書いてますよね」
「まあそれはフィクションなんである程度は脚色していきますよ。それはインタビュー始める時に言ったこととして、裁量は僕にあるって」
「違いますよ。嘘書いてるじゃないですか。人の話聞きながら嘘書くのって頭おかしくなりません?」
「いやどうかな」
「だってたぼさんこれから私の高校時代の話を書こうとしてますよね? 私が高校時代に恋愛小説を書こうとしたことがあって、当時付き合ってた彼氏に見せたら酷評されたから書くのやめたって話。私それ言ってないですよ?」
「まあ、言ってないね。ここまで読み返してみてもまだ高校時代に行き着いてない」
「なんで言ってないのにたぼさんが知ってるんですか」
「まあどうかな」
「この後の話の流れで私にサイゼでカウンセリングみたいなことして、また恋愛小説を書かせようとしてますよね。『どないやねん』ってタイトルにさせて。中にたぼさんも登場させたら面白いと思ってますよね」
「ようわかったな」
「要は『どないやねんイチ』の中にたぼさんイチと私イチが存在していて、その私イチに『どないやねんニ』を書かせて中にたぼさんニと私ニを出演させようとしてるってことじゃないですか」
「おー全部言ってくれんねんな」
「合ってますかね? わかんないですよもう。それで次はたぼさんニが『どないやねんサン』を書いてたぼさんサンと私サンを出すんでしょ。延々とサイゼのインタビューシーンを繰り返し、語り手が交代するだけで前に進まへん」
「まあ、ループものとか好きやから」
「遡ると私は『どないやねんゼロ』でもサイゼにいないとおかしいと思うんですけどでも私サイゼでインタビュー受けてないですよ。存在しないじゃないですか。どうなってるんですか」
「どないやねん」
ここからたぼさんも一人称私にして、私とおんなじ関西弁使ってごちゃごちゃな小説、私の初恋と高校時代と大学時代が交差するどないやねんシリーズゼロからサンを書いてるらしい。たぼさんのことは一応尊敬してたのに私を勝手に使ってゼロから高校時代とか作り上げられたらさすがにちょっと。
でも今回たぼの名前を出して、次は君が書き手に交代して前には進んでるやんちょっと。
次回から普通に戻しません?
戻しましょう。はい。
そもそもなんでそんなに恋愛小説に執着してるんですか。
秘密。
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