第17話 最近の若い子はよく分らんな…(ほぼ同年代)

「断る」


「なんで⁉︎」


 提案を即座に切り捨てたら驚かれた。


「なんではこちらのセリフだ。なんで了承されると思ったんだよ」


 妹(仮)の目には驚いたが、なんでそこからあんな提案がでるんだよ。


「そこは了承しようよ!同類に絆されて「しょうがないなぁ」って頷こうよ!」


「意味分からん」


「ぐぬぬ…!そうだ!お兄さん今いくらもってる?」


「金か?五万くらい?」


 買い溜めするつもりだったので多く持ってきたが、ろくに買えなかったのでそれくらいはある。


「よし!お兄さん!ウチに来てご飯作ってくれたら五万でいいことしてあげる!」


「さようなら」


 いきなり何を言い出すんだこいつは。最近の若い子はよく分からんな…。大して変わんないと思うけど。


「待ってよ⁉︎なんで帰るの⁉︎」


「当たり前だろうが!援交したいならさっきのおっさん相手にすればよかっただろ!」


「いや、あのおっさんは好みじゃないし。あと初めてがおっさんなんて嫌だし。」


 援交って好みで相手選ぶんだっけ?そして初めてなのかよ。ますます意味分からん。


「さっきから意味分からんのだが?何のつもりだ?」


「えーっと、正直に言いますとお金がないので援交にチャレンジしようと思ってました。夜の公園で一人でいれば誰か声かけてくるかなーって思ってたらさっきのおっさんが釣れました。だけど好みじゃなかったので断ろうとしたらしつこく言い寄ってきて困ってるところにお兄さんが来ました」


「ふむ。それで?」


「お兄さんは同類っぽいし、割と顔が好みなのでお持ち帰りしようかと」


「さようなら」


「だから待ってー!」


 歩き出そうとしたら後ろからしがみつかれた。おい、やめろ。


「かわいい妹がおっさんの餌食になってもいいの⁉︎」


「自分から食べられにいこうとしてんだろ。あと妹じゃねぇ」


 俺の妹は咲夜一人だ。


「こんな可愛い子の初めてがたった五万と手料理だけで貰えるんだよ⁉︎なにが不満なの⁉︎」


「自信満々だな。あと大きな声で初めてとか言うんじゃありません」


 確かに見た目はいいな。いかにも遊んでそうな服をきているが、栗色のセミロングの髪はサラサラだし顔も整っている。


「だからって手を出したら捕まるだろうが。金がないなら親に泣きつけ」


 そう言ってやると俺から手を離してポツリと言った。


「…親は事故で死んじゃったし」


「へー。なら親戚がいるだろ。それに遺産もあるんじゃないか?」


「軽い!普通そこは同情するとこでしょ⁉︎」


「同情してほしいのか?」


 そう言ってやると先程までの勢いは消えてまた薄っぺらい笑顔を貼り付けた顔で俺を見てくる。


「いいえ、何も知らないくせに同情なんてしようものなら本気でキレてるとこですよ」


「ならいいだろ」


「ふふっ、いいねですねーお兄さん。気に入りました」


 そう口調を変えて薄っぺらい笑顔で言ってくるこいつはどんな人生を歩んでいるのだろうか?興味ないけど。


「そこは興味持ってくださいよ…」


 そう溜め息を吐かれてもな。


「まあいいや。お兄さん、お金ないのは本当だからご飯だけでも作ってくれない?」






 薄っぺらい笑顔に濁った目をした少女は軽い調子でそう言った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る