第13話 陰キャにとってカラオケは拷問
ボウリングの後はファミレスでお昼。この人数だしすぐに入れるか疑問だったが、西条が予約していたらしい。細かいところまで気の利く奴だ。でもドリンクバーでクソ不味ドリンクを作って俺に飲ませたことは許さん。
昼食の後はゲーセンに行き、その後カラオケ。実に学生らしい休日の過ごし方だ。
「そろそろ日も暮れてきたから一旦お開きにするか」
そう西条が提案するもまだまだ遊び足りないのか不満の声を上げる者もいた。
「えー、私はまだ遊びたーい」
「明日も休日だしまだいいんじゃない?」
「一旦って言ったろ。まだ遊びたい人達はその人達で集まって遊びに行けばいい」
西条がそう言えばまだまだ遊びたい奴等は町に繰り出して行った。俺?もちろん帰りますが。
帰宅組に一声かけてから家に向けて歩き出す。今日は久々に長いこと遊んだ。数年前までは毎日のように幼馴染達と遊んだものだが、それも過去の事。
「ねぇ、今日は楽しかった?」
帰宅する俺に着いてきた藤林がそう聞いてくる。まだ遊びに行こうとする奴等から誘われていたが帰宅するようだ。まあ女子が日が暮れてまで遊んでいるのはよろしくないだろう。遊び行った女子?知らんな。
「そこそこ楽しかったな」
「そ、そう。ならよかった…」
正直に言うと楽しいと思えたのは最初のボウリングくらいだったが。ゲーセンはともかくカラオケは拷問だ。歌うことが嫌いな人間にとってカラオケは苦痛でしかない。陽キャはその辺が分かってないよね。
せっかくの休日に俺は何をしているんだろう?明日は一日中引きこもろう。
久しぶりに蓮夜と遊ぶことができた。今まで遊びに行こうと誘っても断られていたが、今日は西条君が強引に連れ出してくれた。カラオケはともかく、他ではそれなりに楽しんでいるようだったので遊びに行くことに対して抵抗が少なくなったりはしていないだろうか?可能性は低いと思うけど今なら誘いに応じてくれるかもしれない。
そう考えるけれどやはり断られるのが怖い。でも動かなければ距離は縮まらない。
だが…でも…。考えが堂々巡りするうちに自分の家の前まで来てしまった。
「じゃあな。おやすみ」
蓮夜はそう言ってあっさりと帰路に就いてしまう。昔ならもっと話してから別れるのに…。
過去と現在の違いに悲しくなる。だがその悲しみがこのままでいたくないと背中を押した。
「ねえ蓮夜、明日も休みだしどこかへ遊びに行かない?」
「悪いが今日一日で疲れた。明日は一日家で休むことにするわ」
私の覚悟は2秒でぶった切られた。部屋に戻ってから泣いた。
今日も私たちの距離は縮まらない。
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