ビデオメッセージなんて見るもんじゃない大抵悪い知らせだ


「何言ってるんだ?」


 突然現れた女子小学生が核爆発を起こすなんて、信じられるわけがない。


「だからぁ、アタシのご機嫌を取ってくれないと、身体の中で核分裂連鎖反応が連続して起きて爆発するってことですよ、お兄ぃさん♡」


「いやいや、人間の身体で核分裂が起きるなんて聞いたことないし、あり得ないだろ」


 ゴジラじゃあるまいし。


「アタシが人間だなんて、いつ言いましたか?」


「は?」


「アタシは、お兄ぃさんのパパが勤めている研究施設で極秘開発されて実験兵器なの♡」


「……そんな馬鹿な話があってたまるかよ」


「お兄ぃさんは人間が段ボ―ルで送られてくると思うの?」


 そりゃそうだ。ぐう正論。それが出来るとしても半裸の黒タイツおじさんしかいない。


「まぁ、どうせ信じてくれないだろうから、お兄ぃさんのパパからビデオメッセージを渡されたんだよ」


 彼女は背中に背負っていたランドセルからスマートホンを取り出して、僕に見せた。


『……やぁ。この動画を見ているということは、私の実験が失敗したということになると先に言っておこう』


 疲弊に満ちた顔でゆっくりと語るのは、見間違えようがない、俺の親父だ。


『私が会社で行っていたのは、知能を持った次世代兵器とエネルギー源の開発だ。恐らく、この動画を見せている幼女、それが私の生み出した存在だ』


 それに合わせて幼女がニコニコと手を振る。可愛い顔して兵器なのか。


『彼女は人間でいう心臓の部位に核融合炉を持ち合わせている。それが彼女の生命維持装置であり、兵器でもあるということだ』


 カメラを手に持って、顔がアップで映る。額からは汗が滲み出て、強張っている表情が良く分かった。


『頼む、彼女を止めてくれ。オマエに人類存亡の命運がかかっているんだ!』


 そこでノイズがかかり、ビデオメッセージは途切れた。



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