14話 おかえり


 アルマのお墓のダンジョンにて。


エデンは忙しなくユリが転移していった辺りを歩き回っていた。


明るく送り出したはいいが落ち着かない。ユリはいつ帰ってくるのだろうか。アルマをどうやって助けるのだろうか。それ以前に二人は無事なのだろうか。


考えれば考える程心配事は尽きない。


『エデン君、見ててあげるから気分転換に温泉にでも行ってきたら?』


挙動不審過ぎたのか、ダンジョンのボス青龍が心配して声をかけてくれる。


「ありがとう。でも、いつ帰ってくるかわからないしもう少し待ってみるよ。」


『そう…』と青龍は引き退る。


青龍には悪いが自分が一番に迎えたい。それに彼女達の安否を確認するまでとてもこの場を離れる気持ちにはなれなかった。


そのように待っていると金色の光に包まれユリが過去から転移してくる。地面に倒れる寸前で抱き止める。


「っと。ユリちゃん、おかえり。」


彼女は朦朧としている。外傷は見られない。魔力切れのようだ。


「……大丈夫?」


彼女は力なく自分を見つめている。ぱくぱくと言葉を話そうとするが声にならない。疲労のせいだろうか。


「いいよ無理しなくて。頑張ったね。今はゆっくり休んで?」


彼女の手が頬に触れる。その手を覆うように握る。


「大丈夫。君が起きるまでそばにいるよ。」


彼女は安心したように笑い目を閉じた。


そのまま規則的な息遣いとなる。寝てしまったようだ。その体を抱き寄せる。


「…おかえりっ…アルマっ…!」





 ユーキはモンペンと瓦礫と化したスコールの神殿跡に到着した。


あの手紙に押されていた足跡は待ち合わせを意味している。アリスの黒い霧は凶悪だ。そのアリスを人里に行かないように誘導していた者がいた。アリスに追われているために彼女はダンジョンに帰ることができなかったんだろう。


「ここにいるんだろ。」


呼びかけると瓦礫の影から白い猫が顔を出す。恐る恐るとこちらの様子を伺っている。その様は半年ぶりに人に会い甘え方を忘れた猫だ。


--おかえり!いつにも増してちんちくりんだな!


モンペンも声をかける。白い猫は駆け寄り泣きながら飛びついてきた。


「おかえり、ユリ。」


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