幕間
幕間 ユリとエデンと謎のダンジョン①
ある日のこと。
「ユリ、何処にいくつもりだ?」
ユリが身支度を整えていると、ユーキに声をかけられた。
「これからエデンさんと二人でダンジョンの攻略に行くことになってました。」
「今すぐ断れ。」
「えっ、でも約束しちゃいましたし。菓子折りまでいただきましたし。」
部屋の隅に隠れるように、モンペンが菓子折りである煎餅をボリボリと食べている。
「買収されてんじゃねぇ。」
えっ!弟も食べたかったのか?悪いな!
「そういうことだから。悪いね、ユーキ。」
ユリからユーキが離れた隙をつくように、突然エデンが転移してきた。
「わあ、エデンさん!?びっくりしました!」
「驚かせてごめんね。迎えにきたよ、ユリちゃん。それじゃ行こうか。」
「待て、勇者!」
ユリはエデンと転移し攻略する予定のダンジョンへ向かった。
ユリとエデンは白く綺麗な造りのダンジョンへ到着する。ユリに不思議な力がわいてくる。
「あれ?なんだか力が湧いてくるような。」
「そうだろうね。ここは能力が入れ替わる特性があるから。僕の『魔法』と『筋力』と『体力』はユリちゃんにいってるはずだよ。」
「え、それじゃ今私魔法が使えるんですね!?よーし!」
さっそく魔法を使ってみる。青い魔法陣が光り、ユリの体が宙に浮いた。
「わぁぁぁ!凄い!私、飛んでます!嬉しい!」
「楽しそうで何よりだよ。あっ、あまり高く飛ばないでね。僕がユーキに殺されるから。」
二人は遊びながら先へ進んだ。
しばらく進むと、二人の前に魔物が立ち塞がる。
エデンが剣を構えようとするがなかなか持ち上がらない。
「う!?おっも!?なにこれ!?なんか人間を手に持ってると思われる程重いんだけど...!?」
この時、エデンはユリの能力に入れ替わっており、『筋力E』『体力E』の雑魚になっていたのだった。
「あはは...わたしの能力あまり舐めない方がいいですよ...。ほんと雑魚ですから。」
ユリは魔法で魔物を追い払うことにした。
『炎!』
ドガン!
目の前に巨大な炎柱が現れる。魔物は慌てて逃げていった。
「す、すごい威力...!びっくりしました!」
「僕の青い魔法陣ってなかなかコントロールが難しいんだよね。ここでは攻撃系の魔法はできるだけ使わない方がいいかも。」
「そ、そうですね。」
青の魔法陣は破壊の力であるため攻撃系の魔法は制御が難しい。ダンジョンの建物を破壊しかねない力だった。ここでは攻撃系の魔法は使わないことにした。
二人が先に進むと大勢の魔物でひしめく空間に辿り着く。
「こんなにたくさん...あまり相手にしたくありませんね...。」
「うーん、そうだねぇ。」
ユリは魔法使いの知識から姿を消す魔法があるのを引き出す。
「透明になる魔法を見つけました。これで隠れながらここを通り抜けましょう!」
「...うん、やってみようか。」
二人は魔法で姿を消し魔物の前を通る。魔物は特に気づいている様子はない。
「今のところは大丈夫そうですね。」
「うん、これなら戦闘は避けれそうだね。」
しかし、エデンは天然だった。魔物の足を誤って踏んづけてしまう。
『ぎゃあああああ!』
「あ、ごめん。」
エデンが足を退けると別の魔物の尻尾も踏んだ。
『ピギャァァァアア!』
「ご、ごめん!」
魔物達はユリ達に気づき襲いかかってくる。
ユリはエデンの筋力と体力で颯爽とその空間を通り抜けた。エデンは息切れをしながらノロノロと走る。
「ゼェゼェ...なにこれ...。2時間くらい全力疾走したと思われる程きついんだけど...。」
「エデンさん危ない!」
満身創痍なエデンへ魔物が火を吹く。ユリは敵の炎を魔法の鏡をつくり反射させた。魔物は自分の攻撃が跳ね返り怯んでいる様子である。
「良かった!うまくできました!エデンさん今のうちに!」
「...ありがとう、助かったよ。技を反射するなんてそうできることじゃないよ。それもアルマの記憶?」
「あ、はい。そうなんです。アルマさんの記憶から教えてもらいました。」
「...そうなんだ。あ、ユリちゃんそこ通ったら危ないよ!」
足元の床がガコンと沈み罠が発動する。ユリに向かって射られた矢をエデンが凄まじい反射神経で掴み止めた。
「わ!?危なかった!ありがとうございます!相変わらず凄い反射神経ですね!」
「いつも矢みたいに突っ込んでいく女の子がいるからね。それよりお願いがあるんだけどいい?」
「なんですか?」
「今ので腕の筋肉がいっちゃったみたい...。手に力が入らないんだ...。回復してくれないかな...?」
エデンの右腕はだらんと力なく垂れている。『筋力E』の腕は矢の衝撃に耐えられなかったのである。
ユリはすぐに回復魔法を唱えエデンの腕を回復させた。ユリとエデンはそのように連携して、ダンジョンの奥へと進んでいったのだった。
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