IF もし、〇〇が魔王だったら


・もし、気の早い『マイ』が魔王だったら


一行が魔王の正体について議論している。


(魔王であることは隠さないとな。)

「私が魔王だ!」


エデンとユーキは音速でマイに剣を突きつけた。


魔王は捕らえられ、世界は平和になった。



・もし、自信のない『ボドー』が魔王だったら


ある日のこと、ボドーがユリに尋ねる。


「君を殺してもいいかな?」

「嫌です。」


ある日のこと、ボドーがエデンに尋ねる。


「この街を破壊してもいいかな?」

「ダメでしょ。」


魔王はいつまでたっても破壊、殺戮を行えない。世界は平和なままだった。



・もし、器用な『ユリ』が魔王だったら


(勇者一行もユーキも器用SSな私の敵ではありません!器用に正体を隠しつつ、隙を見て暗殺してしまいましょう!)


「セクハラされやすいって、つまり隙だらけってことですよね。」

「なんだと。」


ユーキはユリにデコピンをする。


「が!?」


魔王は器用なことに誰にその正体を知られることもなく討伐され、世界は平和になった。



・もし、天然な『エデン』が魔王だったら(ディーン様なし)


「さて、今日はこの街を爆破しとこうか。」


街全体に青い魔法陣が光る。エデンは街の中央にいる。


魔王は自滅し、世界は平和になった。



・もし、やさぐれた『ユーキ』が魔王だったら


勇者一行が魔王と戦闘を繰り広げている。


「ぐっ!剣も魔法も使えるだと!?」


マイとボドーが息を切らしながら後退する。


「お前らの性格では俺には勝てない。諦めるんだな。」


「ほう...。随分と、気が早い言葉だな!!」


自分を棚に上げたマイがそう叫び突っ込むと魔法による透明な防壁があったらしく、それに顔面を強打した。


「ぶ!!」


「マイ!?く...!俺が倒すからな?俺が倒していいな!?」


ボドーがユーキに蹴りを放つ。


「だめだ。」


「わかった!...ぐわ!?」


ボドーは素直に攻撃を止めた瞬間、逆に蹴り飛ばされていった。


ユーキは膝をついている二人に向かって剣を振りかぶる。その背後にユリが器用に立ち回り不意打ちを仕掛ける。


「!」


「雑魚だからって私を放置したことがあなたの敗因です!」


ユリの拳に魔力が溜まっている。


ユリが手を開くとぽんっと小さい火の玉が現れた。ブラフである。その隙にマイがユーキに攻撃を仕掛ける。


ボドーはボーとしていた。


しかし、ユーキはそれがユリだと認識すると、無視して振り返っており、マイと、ついでにボドーを剣で叩き伏せた。


「う...!?」


「ぐあ!?急になんだ?俺、今は何もしてないぞ!?」


「お二人とも!!そ、そんな!なぜ魔法も雑魚だとわかったのですか!?」


「誰がお前の修行をみたと思ってんだよ。」


「...ぐはっ!!」


ユーキである。その言葉は地獄の修行を思い起こさせ、ユリの心を深く抉った。ユリは行動不能となった。


三人はユーキを前に地面に跪き、戦闘不能となっている。


そこに勇者エデンがのうのうと現れる。


「遅くなってごめん。道に迷っちゃった。」


「はよ来いや」という視線を浴びせてくる三人を横目に、エデンはユーキと対峙する。


「終わらせてあげるよ、魔王。」


「できるものなら。」


エデンが強い踏み込みで瞬時に間合いを詰め、剣を叩きつける。ユーキは素早く反射しそれを受け止めた。


二人の激しい攻防が続く。


「君、なかなかやるね...!」


「勇者...ッ!靴紐、ほどけてるぞ。」


「え、教えてくれてありがとう。うあ!?」


足元を見た瞬間、エデンは体当たりされ突き飛ばされた。地面に受け身を取ったところに、立ち上がる間もなく剣が突きつけられる。


「終わりだ、勇者。世界を守るには馬鹿すぎだ。」


「...くっ。僕の靴、今日は紐じゃないんだけど!?」


勇者一行では、特に知恵比べで敵わず、魔王を止めることはできなかった。世界は崩壊に向かった。



・もし、素直な『モンペン』が魔王だったら


魚んめぇぇぇ!走るの楽しーーー!


魔王は自分の役目を忘れ、自由に幸せに暮らしたとさ。めでたしめでたし。







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