第14話 エデン①
勇者一行は勇者エデン、剣士マイ、格闘家ボドー、魔法使いの四人パーティだった。
剣士マイは、気の早い性格から、約束をすると1時間前には待機していたり、敵を見つけると一目散に突っ込むところがあった。
格闘家ボドーは一拍遅く、彼が喋ると会話に支障をきたした。みんなが戦いに駆け出す中、構えたまま突っ立っていた。
勇者エデンは大事な剣を忘れてきたり、お金を計画性なく使い次の日の食費に困る等、度々ドジなことをしていた。マイとボドーは強いのに優しく天然な勇者が大好きだった。
そして、魔法使いは個性が強すぎる三人にとって影のまとめ役となっていた。
魔王討伐を目指す中、楽しく冒険をしていた。
最強の彼女が死んでしまうなんて誰も思いもしなかった。
ユリが自分に剣を向けているエデンに尋ねる。
「どうしてですか?」
「その青の魔法陣は魔王の力だよ。」
「どういうことですか?」
「魔法の才能は魔法陣に反映する。才能のない人は赤、才能のある人で緑。青色の魔法陣は魔王が扱う破壊の力だよ。」
「ユリ...君は魔王なのか?」
マイが険しい表情で尋ねる。
「...。」
ユリは答えられない。
(私の持ってるこの魔法陣は危険な力なんですね...。なんでそんなものが...?私は魔王じゃないですよね...?わからない...。)
「最近各地で青の魔法陣の目撃情報があった。『アクアランド』のメテオール、リンちゃんを襲った魔物、『フレスコ』のダークドラゴンの召喚、そしてこの『ソル』の国でも、君がやったんだよね?」
「...。」
「心当たりない?とても危険な力なんだ。このままではたくさんの人が死ぬことになる。」
「...。」
「ごめんね。『勇者として』はその力を放置することはできないんだッ...!」
突然の強い声に顔を上げる。エデンはとても苦しげな表情をしていた。
(エデンさんは何も悪くない!自分の役割を果たそうしてるだけなのに...。本当に優しいですね...。)
「わ、たし...」
言わなきゃ。
「わたしが...」
これ以上みんなを苦しめたくない。
「私がやりました。」
瞬間、マイが剣を抜きユリに突っ込んだ。ユーキがユリの前に立ちそれを受ける。
「すまない!仲間に剣を向けたくはなかった!」
「仲間じゃねぇ!」
マイの早とちりに突っ込みをいれながらも応戦する。遅れてボドーも参戦する。
「いいんだな?戦っていいんだな?」
動きに迷いがあるのに突きは鋭い。独特なテンポにユーキは翻弄される。
そんな中、ユリはその場で動かないでいた。
ユーキ達の横を抜けてエデンがユリに近づいていく。
「言い残すことはあるかな?」
ユーキはマイとボドーの攻撃で動けない。
「一緒にいられなくてすみません。」
ユリは精一杯笑った。
ばくっ!
一瞬の隙をついて、モンペンがユリを咥え、『ソル』の領地外の森へ全力で走った。
ユリはモンペンの嘴からぶら下がりぽかんとしている。
何故かエデンもぼんやりと固まっていた。
「エデンどうした!?」と、マイがそれをみて声をかける。
「え、いいんだよな?違うのかな?」と、ボドーも止まる。
その隙にユーキは『身体強化』の魔法で身体能力を強化しモンペンを追った。
「エデン、大丈夫か?」
マイがエデンに駆け寄る。エデンははっと我に帰る。
「ごめん...考え事してた...。」
「なぜいま!?」
マイが驚く。
「大丈夫。彼らならきっと答えを見つけるはずだよ。」
エデンはモンペンが消えていった先を見つめる。
「あれ?あれ?」と、ボドーはひとり状況が飲み込めずキョロキョロと周囲を見回していた。
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