プロローグ 2
人類にとっては、間違いは付きもの。
トライアンドエラーなんて言葉があるくらいだ。
だけど個人的にこの言葉は好まない。
なぜなら失敗の先に必ず成功があるとは限らないし、またその失敗が必ずしもプラスになる事ばかりではないから。
世の中には、取り返しのつかない失敗が必ずある。
アースエイジング作戦によって、太平洋深海に設置された地震兵器は一掃された作戦は成功下かのように思われた。
しかし訪れた、あるいは突きつけられたというべきかもしれない。
作戦後の結果は、人類の思惑とは全く違う方向へ時代を進めてしまう。
太平洋の最深部まで効果があるよう沈められたクォーク爆弾は、地震兵器だけでなく地球そのものに影響を与えていた。
核融合に対し約8倍の威力を持つとされるその威力は、人類の想像を遥かに超えていた。
クォーク爆弾使用後50分で太平洋沿岸の国々は、地上50メートル時速120キロの津波が到来、各国に差異はあれど国土の数%を失った国が多数、人的被害は地震兵器と同等もしくはそれ以上でもあった。
そしてもっとも想定外だったのは、地球への影響だ……それは地球の自転への影響。
爆発の衝撃により自転の速度が弱まり、一日が24時間から25時間になった。
それにより重力にも若干の影響もあった。
ただこれは簡単な事ではなく、長い年月過ごした環境が変わる事への反応は大きなものだった。
それは人類の歴史に無い、未知の出来ごとばかり。
歴史にない病気の発生、精神錯乱、犯罪増加。
そして人体への影響は、それ以外にもあった。
それは特殊能力(アビリティ)の発現。
アビリティの代表的なものは、肉体活性。
それは自分自身の身体能力を一気に押し上げるもので、更には自身で肉体のピーク年齢に長期間とどめる事が出来るというもの。
これらは人々の生活に有益をもたらすものとされ、ポジティブアビリティと呼ばれた。
このポジティブアビリティ発現は、R社の技術使用による、成長速度の遅延治療を行った者達に多く見られた。
反するように逆の能力もまたあった、人類が進化に必要不可欠だったものを扱える能力。
ただそれは端から見れば攻撃性が高く、殺人・強奪等の犯罪に使えるものばかり、これらをネガティブアビリティと呼んだ。
アビリティ発現後、人類の日常は変わった。
ネガティブアビリティ発現者による被害件数は爆発的に伸びた。
それは発現者の肉体に影響するところがあり、その能力を使い他者に影響を与えないと、本人の肉体へ病気を生み出すというリスクがあった。
治療が可能なものもあれば困難または不可能なものもあり、唯一の回避方法はアビリティを使用した犯罪をするしかなかった。
人口に置けるポジティブの発現者は35%、ネガティブは20%、アビリティ無発現者は約半数の45%、ちなみに能力の無発現者はフラットと呼ばれる。
旧暦2026年、人類は少しだけ遅くなった地球の回転の中で、さまざまな能力を持った人々とともに、生きていく事になる。
世界は未曾有の事態に団結を決意し、新たな世界の到来に新暦を制定、真創歴と名付けた。
世界政府機関は、ポジティブ発現者を統括しネガティブ発現者の大規模討伐を実施、旧暦2027年、真創歴2年、歴史に残る種の尊厳保持に置ける戦い『二種間戦争』が行われ、大多数のネガティブ発現者が殺された。
世界はポジティブ発現者の力に頼り、治安維持の一切を任せ平和維持庁を設立。
彼らの存在を『ジャスティス』と呼んだ。
生き残ったネガティブ発現者は『バニッシュ(追放者)』と呼ばれた。
たった1時間増えただけの世界は、新たな世界ではなく、全く別の世界だった。
人類は願っている、元の世界へ戻る事を。
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