第12話

 《マリアside》……




「ハイハイ!! ごちそうさま!!」

 親友の和泉レイラは苦笑いを浮かべた。



「フフ……」私は青く澄んだ空を見上げた。

 

「まさか、ノアの浮気しようとした相手が、親友のレイラだったとはねえェ……」

 ひと筋の飛行機雲が青空にいろどりを添えていく。



「このことは、ノア君にもナイショよ」

 またレイラは唇にシィーッと指を立て、眉をひそませ苦笑した。



「もちろんよ!!」

 レイラから密告があり、夫のノアの浮気が発覚したのだ。


 だから、あの夜、私はノアへ電話を掛けた。



『どこにいるのォ?!』と……。

 



 そのあと軽い接触事故を起こしてしまい、都合よく頭を打った偽装をした。


 そして知り合いの病院で記憶喪失の振りをした。




「厨二病のノアを騙すことなんて、造作もないわ」

 多少、演技もしたが彼は浮気しようとした後ろめたさから私を疑うことはなかった。




「そうね。結局、ノア君はマリアの手の平で踊らされているだけだものね」

 レイラも楽しそうに微笑んだ。



「フッフフ……」

 そう、だって女性はなんですモノ。




 どうか世の男性は、お気をつけあそばせ。








  つづく……





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