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味噌汁が飲みたい。
しかし。
スープが鍋に溜まり、鍋に食物は残されて、彼らは排水溝に流される。
きみが悪い。
生活感がない故か。
秋は自分で料理を作らなかった。
皿や残飯がなにものか理解できない。
理解できない故に手持ち無沙汰。
秋は家事をしない。
秋は味噌汁を飲みたい。
ときどき定が味噌汁を作ってくれるから、秋の欲望はことなきを得る。
「生きる為には味噌汁を飲まなければならない」
秋は事あるごとにそれを言って、定を呆れさせている。
秋はコンビニによって生かされている。
無ければ死んでいた。
生活とはなんだろう。
文化とはなんだろう。
秋は自宅で一人、『小早川家の秋』を見ながら思う。
自分は日本の文化を引き継ぐことなく生きている。その結果、何を得たのか。
(僕には何もない。有意義なんて一つも。)
未だかつて、有意義は存在したか。
考えれば考えるほど何も無くなってしまう。
だから秋は考えない。
無駄に生活を続ける。
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