第7話 この食べ物は…辛いよ!
ぐぅ〜〜〜
突然エモリンのお腹がマヌケな音を鳴らした。
「………あれれ?あ、そっか地球に来る準備で忙しすぎて、今日は朝ごはん以外食べなかったんだ」
「…そりゃお腹も鳴るな、夕食にするか。少し待ってな」
エモリンは少し恥ずかしそうに思い出したかのように言う。
それを聞いた球太はそろそろ食事をと思い、台所へ向かった。
(地球の食事か〜…一体どんな食べ物なのかな)
台所に立っている球太の背中を見つめながら、エモリンなりに地球の食事を想像し考えつつ、ワクワクしながら待っていた。
「ほら、できたぞ〜。と言っても昨日作ったカレーを温めただけだがな」
「わお!地球の食事ってこんなのなんだ、予想外〜!」
「そこまで予想外とは宇宙の食事とかけ離れてるんだな」
球太はカレーライスを2人分持ってきた。
初めて見る地球の食事にエモリンは、大きな目を更に丸くして驚く。
しかしその見た目に、何故だかとても美味しそうだと感じていた。
「うん、宇宙の食事はさあ…こんなのだよ!味は色々な種類があってね」
そう言いながら、自分の故郷である宇宙の食べ物を指で表現する。
片手の人差し指と親指で円を作る大きさだった。
「…小さいな、食べた気がしなさそうだ」
「う〜ん、だけどお腹1杯にはなるし毎日満足してたよ」
球太は宇宙の食事の大きさが地球の食事より小さすぎて、理解はできない不思議な物だと思った。
「いただきます」
「地球の人って食べる前にそう言うの?じゃあ私も…いただきます!」
球太とエモリンはそれぞれカレーライスを口に運んだ。
「辛〜い!これ宇宙の食事の辛い味の種類みたいなやつだ!私の年齢より上の人が食べるの」
「え、これ中辛なんだがエモリンには辛いのか…」
「うん、宇宙の子供はこの辛さは厳しいから選ばないんだ」
エモリンはワクワクしながら口に運んだが、予想外の味であった。
中辛でも辛いからか、エモリンはコップについである水を必死に沢山飲む。
「すまんな。他に食事にできそうな物あるかどうか、ちょい冷蔵庫を見てくる」
「ううん、今日はいいよ!これも地球の勉強だと思って食べるからさ」
「いやいや、地球に来て最初の食事が食べにくい物って嫌だろ…とにかく探してくるからな」
出されたから申し訳なく無理に食べようとしてるのを止め、球太は台所の冷蔵庫へ向かってその扉を開いた。
そしてある物を取り出してフライパンで調理を始めた。
(なんか作業してる…宇宙じゃあんな事しなかったし地球ってすごい!)
調理をしている球太の後ろ姿を見つめ、エモリンはそれに感動していた。
「…タイミングが悪く冷蔵庫の中がほぼ空だったから、こんなのしか作れなかった」
球太が持ってきたのは卵焼きと納豆だった。
冷蔵庫の中には飲み物と調味料以外は、卵と納豆ぐらいしかなかったのだ。
「辛くなかったら大丈夫だと思うよ〜。また新たに地球の食事を見れた事だし、用意してくれてありがとう!」
「そう言ってもらえると助かる」
「じゃあさっそくいただきます!ってこの丸いの匂いがすごいね」
「納豆だからな。食べてみて無理なら残していいぞ」
球太が食事を用意してくれて、エモリンはとても感謝していた。
だが納豆の匂いはやはり、初めて嗅いだ人にとっては特殊な匂いだった。
警戒しつつもエモリンは口に運んだ。
「………こんな匂いなのに美味しい!…こっちの黄色いのも最高!」
「それなら良かった」
(…付属のからしを入れたら、さっきのカレーみたいに食べれなくなるんだろうな。エモリンにとっては納豆にからしなんて不要だな)
納豆と卵焼きの美味しさに感動している横で球太は見つめて嬉しくなりつつも、納豆のからしとカレーを連想して考えていた。
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