第2話 これから仲良くしよう

 笑顔で挨拶をする少女はとても可愛くて綺麗だった。

 ピンク色のボブヘアに整った顔立ち。

 痩せているという程ではないが、無駄な肉がついておらずバランスのいい体型。

 おそらく誰が見ても素敵だと思うだろう。球太は笑顔の少女を見てそう考えていた。


(…って、そうじゃない。えっと、宇宙人?そんな非現実的な存在が本当にいるのか?)


「宇宙人って…キミどう見ても俺と同じ普通の人間にしか見えないけど」


 見た目はどう見ても地球にいる人間と変わらない事を少女に指摘した。


「それはそうですね〜!地球に来る為に見た目は不思議な力を使い変化させて来ましたので。本当の姿はこの見た目とは全然違うんです」

「なるほど…本当はそういう見た目ではないんだな。まあ宇宙人なら不思議な力は持ってそうだし、そんな事は簡単にできそうだよな」


 見た目を変えているらしい少女に、宇宙人という存在ならできそうだと球太は納得した。

 宇宙人の本来の見た目はやはり、テレビのフィクション上のイメージ通りなんだろうかとも考えた。


「ここには地球の勉強をしたいからやって来たんです。宇宙人の姿だと騒がれて何も得れなさそうなので。どこからどう見ても地球人なら変化は成功ですね!」


 少女は見た目が完璧に地球人になりきれている事に対して、喜びはしゃいでいた。


「ははっ、そうだな。宇宙人の姿だと地球人は驚き逃げたり、場合によっては警察や国にキミは攻撃をされるかもしれないからさ。勉強したいなら懸命な判断だよ」


 はしゃいでいる少女を見て少し面白く思い、この姿だから、自分も警戒する事無く楽しく話せてるのかもしれないからよかったと思う。


「攻撃してくるんですか!?それは怖いです!地球人とは仲良くする為に来たので。変化が解除されないように気をつけますね」


 攻撃という言葉に対して少女はとても怖がっていた。

 危機感を感じ、これから先地球人の姿を維持するよう心に誓った。


「では、名前をまだ名乗っていなかったので改めて自己紹介しますね。私は…宇宙人としての名前もありますが、地球人の名としてエモリンとでも呼んで頂ければ!」

「エモリンか…地球人にはまずいない名前だけどなんだか響きは悪くない名前だな。俺は球太だよ、あと同い年ぐらいだろうからタメ語で話さないか?」


 エモリンとは変わった地球人名だとは球太は思ったが、その整った見た目に可愛い響きが合っていて逆に魅力的だと感じた。

 そしていつまでも敬語の彼女に対して、気を使ってくれなくていいと思いタメ語を提案した。


「あ〜、同い年ですか…」

「え?」


 エモリンは自分の体を見て色々考えながら、気まずそうにそう呟いた。

 その様子に球太は不思議に思った。


「…それもそうですね。………じゃあこれからはタメ語で話すね!」


(…今の間はなんだったんだろう。まあいいや)

「うん、そっちの喋りの方がいいよ。俺も気楽に話せるし」


 考えていたが気を取り直してエモリンはタメ語を球太に初めて使い、明るく言った。


「じゃあじゃあ、地球に来て最初の勉強の第1歩として〜!球太、まずはキミと仲良くしたいな。地球人と親交を深める事が勉強でもあるから、私はキミがいるこの公園を選んで落ちてきたんだ!」

「いいよ、エモリンが地球に来た第1の場所を俺のところに選んだのも何かの縁かもしれないし。俺は友達もそんなにいないから仲良い人が増える事は嬉しい」


 地球上に人間はごまんといる中、エモリンが自分がいる所を選びやって来て仲良くしたいと言われ、球太は内心はしゃぎたいと思う程嬉しかった。

 今までの日々にどこか退屈をしており、生活が変わる予感にワクワクしていた。

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