#13 お喋り
勉強しながらだったけど、今まで話したことが無い話を色々聞けた。
前の中学では、バスケ部だったこと。
レギュラーになれたけど、お母さんが倒れてからは看病に忙しくなり、レギュラーからは落ちて結局最後の大会も休んで出れなかったこと。
試験では前の学校でも学年1位だったこと。
でも、勉強が好きなわけではなく、家に娯楽が無かったし、友達と遊ぶ機会もほとんどなくて、勉強しかすることが無かっただけだったこと。
前の学校では生徒会とは無縁だったこと。
実は今もそんなに興味がある訳では無く、選挙もなんとか引っ掛かって下っ端の役職でも良いと思って出たら、1位になってしまい自分でも驚いたこと。
そして今まで恋愛経験は無いこと。
これは私がどうしても知りたくて、なんとか聞き出した。
『ソウジくんって、前の学校に彼女が居たりするの?』
「いえ、お付き合いしている女性は居ませんでしたよ」
『でも、凄くモテたでしょ? 今だって凄い人気だし』
「そんなことは無いですよ。 僕はお金無くておしゃれとか無縁で、会話も面白いこと言えないですし、女性からみたら退屈するだけのつまらない男ですよ」
『そ、そんなこと無いよ! 今だってお喋りしてて楽しいですよ? ていうか、ソウジくんがつまらない男なら、他の男子とかどうなっちゃうんですか』
「はぁ、そうなんでしょうか」
『そうですよ』
「僕のことよりも、アミさんの方はどうなんですか?」
『え?わたし?』
「はい」
『えーっと・・・男の子とお付き合いしたことは、無いです・・・』
「はぁ」
『でも・・・告白されたことなら、何回かはあります・・・』
「凄いですね。 モテるんですね」
『いや、モテるっていう訳じゃないと思うんだけど・・・って私の話は止めましょう!』
「はい、わかりました」
ソウジくんが私の事を聞いてくれて「興味あるのかな!?」と内心嬉しくなったけど、止めましょうと言うとあっさり引き下がる辺り、本当はそんなに興味は無いんだな、と思えた。
その後もちょくちょく会話したり、宿題で分からないところを教えて貰ったりしながら、楽しい時間を過ごした。
夕方、ママたちが帰ってくる前には片づけて、自分の部屋に戻った。
テーブルは、そのままソウジくんに使って欲しいと置いてきた。
自分の部屋に戻ると、スカートを脱いで部屋着に着替えて、少し冷静になった。
今日の私は、明らかに舞い上がっていた。
普段なら男子と二人きりでお喋りしたり勉強したりなんて絶対しないのに、ドキドキ緊張しながらもいっぱいお喋りした。
ずっと敬語だったけど、それでもたまに砕けた口調にもなったりした。
ソウジくんは、ずっとニコニコ機嫌が良さそうだった。
学校では見たこと無い感じだったし、ソウジくんも楽しかったと思ってくれてたらいいな、とソウジくんの笑顔を思い出しては自然と頬が緩んだ。
やっぱり私はソウジくんのこと、好きなんだ、と改めて自覚した。
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