悪魔たちを手下にしました、普通からどんどん遠ざかってる気がしますが俺は気にしません
〈深山凛視点〉
「改めて自己紹介をしよう、俺は異世界に来たばかりの普通の一般人、深山凛だ」
いかつい悪魔たちを目の前に俺は自身の無害さをアピールする。
(貴様のような化け物が普通の一般人な訳があるか!)
という思いが飛び交ったのはご愛嬌ということで。
「君たちは……このまま返すつもりだったけど気が変わった」
その言葉と同時に大悪魔たちはビクッと肩を震わせた。この化け物に一体何を要求されるのか不安になったのだ。
「君たちには人を二度と傷つけないように僕と契約をしてもらおう、対価は………死後、俺の魂を七等分にして君達に一つずつあげよう」
「!?」
それは悪魔にとってまたとない機会であった、魂は暗いが高ければ高いほど美味い、自分たちを圧倒するような力の持ち主の魂ならば格別の旨さであることは間違い無いだろう。だが、一つの問題点は……
「お言葉ですが、それは魂を喰われるともう転生の輪廻に交わることができないことを承知でおっしゃっておられるのですか?」
と、【嫉妬】が発言する。
「もちろん知っている、俺の手はもう汚れきっている、こんな最後になることは覚悟していた、今更だが人のためになるのなら本望だよ」
そこで悪魔たちは彼の覚悟の重さを知った。
「………深山凛……いえ、ご主人様。【嫉妬】はあなたを契約者として認めます」
そういうと、嫉妬は片膝を跪いた状態で深々と頭を下げた。
「私、【強欲】もあなたを契約者として認めます」
「僕、【怠惰】も契約者として認めるよ」
「儂、【暴食】は貴方を契約者として認めよう」
「ふん!いいわ!ワタシ、【色欲】もあなたの事認めてあげるわ!」
「ぼ、ボク、【憤怒】もあ、あなたの事を認めます!!」
嫉妬が認めると次々と悪魔たち俺のことを認めてくれる。
「わ、我は認めんぞ!こんなニンゲンが!下等種族が我の契約者など!!」
「黙らんか傲慢!!貴様その発言は我々をも侮辱しているものと同じぞ!!」
傲慢が契約を拒否していると耐えかねたように強欲と呼ばれる悪魔が傲慢に叱責した。
「まぁ、君のせいで彼らにも契約してもらうことになったんだから君だけ逃れるなんてことがあっちゃ……ならないよね?」
ゾクゾクッ
その場に冷たい空気が走り凛の冷たい満面の笑顔がその場を支配した。
「ちょっと更生してもらおうか、【暗黒空間ブラック・ルーム】」
と、俺が唱えた途端、現れた黒い亀裂に傲慢は吸い込まれていった。
「あの……お殺しになられたので?」
「ん?君は…確か嫉妬だったね、心配なのかい?」
「はい………あれでも生まれてからずっと一緒に過ごしてきた腐れ縁ですので……」
「はは、安心していいよ、俺は優しいんだ、殺したりなんてしてない、ちょっと別の空間で反省してもらうだけさ」
この魔法はあの老人の知識の中でも最も辛い拷問用の魔法だ。太陽の光もない真っ暗な空間で長い時を過ごし、使用者に対し敵対心がなくなると解放されるという悪魔のような空間なのだ。まさに悪魔を閉じ込めるには適した空間だね。ちなみにその空間と現実の時間の流れは違い、こちらで1分だとしても暗黒空間の中では100年過ごしたのと同じらしい。まるで竜の球のマインドとタイムの部屋だ。
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〈一時間後〉
俺の前に再び黒い亀裂が生まれ、中から出てきたのは、
「…………ん?誰?」
「私でございます、愚かにも貴方様に歯向かった傲慢の悪魔でございます」
中から出てきたのは白髪の美少年、はて?閉じ込める前は白髪の老人だったはずだが?
「悪魔は自由に姿を変えることができるのでございます」
「あー、なるほど……で、なんでその姿?」
「はっ、主に迷惑をかけることがなきよう、全盛期の力を保てるこの姿にしております!」
「うん……それはいいんだけど……君すっごく性格変わったね?大丈夫?」
「大丈夫です!」
俺を見つめる目が狂信者そのものなんだよ……チョットコワイ。
「それでは……全員揃ったので、ご主人様、名付けの儀をしてもらいたく存じます。」
「名付け?」
「はい、今は名をもらっていないので仮契約の状態なのでございます、主人に名をつけてもらえれば我々は更なる力を発揮することができます。」
理屈としては主人にもらった魔力……ああ、魔法を使うときに使う力なんだけど、その魔力を使って体を強化するらしい。
「わかった、順番に名付けしていくね、【嫉妬】君の名前はレヴィ・ミヤマだ」
「ミヤマ……ご主人様の性ですね、ありがたくなを受け止めさせてもらいます」
「【強欲】、君の名前はマモン・ミヤマだ」
「その名、しかと心に刻み込みます」
「【怠惰】君の名前はベルフェ・ミヤマだ」
「ふーん、いい名前じゃん気に入った♪」
「【色欲】君の名前はアスモ・ミヤマだ」
「ふ、ふん!なかなかいい名前じゃない!褒めてあげるわ!」
「【暴食】君の名前はベルゼブブ・ミヤマだ」
「ホッホ、良き名ですな」
「【憤怒】君の名前はサタン・ミヤマだ」
「あ、あああ、ありがとうございます!えへへ」
「【傲慢】君の名前はルシファー・ミヤマだ」
「ルシファー!なんとも表現し難いこの名!このルシファー感慨の極みにございますぞ!!」
名付けの所以は元の世界で大罪悪魔と呼ばれた悪魔たちを引用した……うん?大罪悪魔ってもしかしてこいつらのことか?
「それで……ご主人様我々は今からどうすれば良いのですか?」
と、悪魔を代表して嫉妬…もとい、レヴィが尋ねてくる。
「そうだなぁ……好きにしていいよ」
「………好きに?」
「なんだよそんな拍子抜けしたような顔して、俺は別に何かを強制しようとしたわけじゃないよ、別に無害な人間を傷つけなければ魔王でもなんでもやればいいさ、向かってきた人間は殺してもいいし、ただし……真面目に生きてる人間の日常を壊すような、そんな理不尽な真似をした際には……わかってるね?」
「も、もちろんでございます!」
「じゃあもう行っていいよ」
そういうとゾロゾロと悪魔たちはそれぞれ違う場所に向かって飛んでいった。しかしその中で嫉妬の悪魔、レヴィだけはその場に留まった。
「どうしたんだい?レヴィ、君は行かないのかい?」
「わ、私は………」
少し間を開けて彼女は言った。
「私は!あなた様とともにまいりたいと思います!」
「ん?ああ、別にいいけど……」
チラリと彼女を見る。
透け通るような綺麗な桃色の髪色、顔はもちろん数百年に一人の美人、体も出るところは出過ぎているボンッキュボンの体型………ああ、街についてもこれめんどくさいことになりそうだなぁ。まぁ今更か。
「それじゃあ行こうか」
「はい!」
元の世界に戻れないのであればしょうがない、この世界で快適に暮らすために俺たちは人の集う、街へと職を求め旅立った。
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