悪魔召喚!してみました

(ヒョヒョ、抵抗しても無駄ですヨォ!)


頭の中で狂気に染まったような声がする、これは幻聴ではない。魔法が使える老人に体を乗っ取られかけてるのだ。


(この魔法で私は他の体に移り、500年ほど生きてきました、体の主導権は精神力が強い者が勝ち取るのですが、十数年ほどしか生きておらぬ小童が儂に勝てるわけがないでしょうゥ!!)


ああ、老人の言う通りだ、俺の精神は闇に消えて落ちていき…………………


なんて結末を俺が認めると思ったか?

(ヒョ?)


たしかにお前は数百年を生きた老人だ、精神力もかなりのものだろう。だがな、こっちは年数の濃さが違うんだよ。


(ば、バカなァ!儂の精神が乗っ取られかけておるだとォ!?)

ああ、逆にお前を乗っ取り、この世界の知識を得るとしよう。


(あ、有り得ぬ……貴様は一体何者…………………………)

その言葉を最後に老人の精神は消え去り、知識は俺のものとなった。


「さて、魔法使いは消えたぞ、お前は……どうする?」

「あ、有り得ぬ……数百年を生きた大魔道士が………我が国の最終兵器が………」

王様はありえぬ光景に現実逃避をし始めた


「現実逃避したって何も変わらないぞ」

「ヒィィ!!」

王様に近寄ろうとすると後退りする王様、しかしその後ろは残念ながら壁だ、逃げ道はない。」


「じゃあね、恨むなら俺を殺そうとした自分を恨むんだな」

「こっこの化け物がぁぁぁぁぁぁ!!!」

ジャキンっと鋭い金属音をたてて俺は王様を切った。


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さて、これからどうするか。

ここにある本でも読もうと思ったがどうやらさっきの老人はここの本を全て読破しており、その知識は俺へと受け継がれてるようだ、さすが異世界。


しかし、得られたのは知識のみであって本当に異世界からやってきた俺にも魔法というものが使えるのかはまだわからない、なので実験してみることにしよう。

「【悪魔召喚サモン・デーモン】」



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〈とある悪魔視点〉


「ふむ、ここは?」

気がつくとそこは暗い書庫のような場所、どうやら自分は1468年ぶりに召喚されたようだ。


「おい、【強欲】の、なぜお前もここにいる」

「む?【怠惰】ではないか、貴様も呼ばれたのか?」


そこにいたのは自分と同じく、最強の悪魔と呼ばれる七悪魔の一人、【怠惰】であった。よもや我ら二人をも召喚するような者が現れるとは………


「僕だけじゃない、周りを見ろ」

「なに?」


怠惰に促されるままにあたりを見回すと信じられぬ光景が飛び込んできた。

「ば、馬鹿な、我ら七悪魔を全員呼び出しただと?」


そこには我と同じく【嫉妬】【傲慢】【暴食】【色欲】【憤怒】の名を冠す大悪魔が集っていた。


「やぁやぁ俺の召喚に応じてくれてどうもありがとう」

「っ!!」

我の後ろから声がし、振り向くとそこにはまだ成人していない少年のような風勢のニンゲンがいた、そう後ろに?

(馬鹿な…我の感知能力には何も反応はなかったぞ!?)

これでも大悪魔、自身の能力には誇りを持っていたのでより一層この事実を我は受け止めることができなかった。


「貴様が我らを呼び出したのか?」

そう目の前の人間に問うのは【傲慢】の名を冠す悪魔、自分の名に相応しい傲慢な態度で目の前のニンゲンに問うた。


「そうだ、君ら悪魔を呼び出したのはこの俺だ」

「ふん!我ら七悪魔全員を呼び出したのはどんな化け物かと思えばただのニンゲンのガキではないか、興が覚めたわ、さっさと願いを言え、復讐か?富か?栄誉か?何でも良い、叶えてやろう、我はすぐに帰りたいのだ」

「えっとね、君らを呼び出したのは……まぁ、いわゆる魔法が使えるかの実験なんだ。だからもう願いは達せているというか?むしろ願いなんてないというか?」

「………………?」


今こいつはなんと言っただろうか、願いはない?実験のために我らを呼び出した?そんなことのためにこの世界で最強の名を冠す我らを呼び出したと?


「ば……馬鹿にするな!!実験!?そのためだけに我、【傲慢】を呼んだというのか!?」

「え……うん。」


ワナワナと震える傲慢、奴は悪魔の中でも最も誇りを持っているからな。なんの大義もなしに呼ばれたのが堪え難いのだろう。


「もう良い、これ以上は我の誇りが傷つけられるだけだ、死ね」

そう言って傲慢は自分の片手に持っていた斧を人間に振り下ろした。


「あっぶないなー怪我したらどうするのさ」

「!?」


傲慢が振り下ろした瞬間には人間の姿はそこには居らず、またもや我の後ろをとっていた。

「あ、有り得ぬ、ニンゲンごときが我の攻撃を避けたというのか!ニンゲンごときが!」

「あーあー呼び出した悪魔が俺の嫌いな自己中心タイプとか、勘弁してくれよ」

「五月蝿い、死ねい!!」


傲慢は姿を解き放ち、ニンゲンに攻撃を仕掛けた。

「とりあえず……【跪け】」

「がはっ!?」


次の瞬間、我らは地に崩れ落ち、ニンゲンに跪くような体勢となっていた。

「これは………重力魔法!?」

「ぬぬわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


傲慢は顔が地面につくまでに強い重力をかけられていた、が、有り得ない、重力の範囲操作など我等大悪魔でも至難の技だぞ?それを難なく実行できるこのニンゲン……何者だ?


「改めて自己紹介しよう、俺の名前は深山凛みやまりんこの世界に呼ばれたばかりの普通の一般人だ」

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