家族の愛は、時として理不尽であり我儘なもの。
そして、人は誰しもが何かしらの理由を探し出し、錦の御旗を立てるかのように己の行動を肯定するもの。その人間臭さが人としての本能ではないかとも考える。
作中の主人公は、家族の諸事情も知らないまま実家を抜け出した。しかし、いつかは知らねばならない時が訪れるもの。その衝撃があまりにも大き過ぎて、受け入れるのには時間のかかるものだったが、知らされた家族の絆に心を動かし、新しい人生を自分で決めることができた。
そこまでに至る重苦しい展開にはリアリティが溢れ、実体験が無くても読んでいて不思議と感情移入ができる。これも、作者さまの丁寧で重厚な筆使いによるものと言えよう。
ドラマや映画でも取り上げて良いくらいのクォリティだと思います。
なんだか「泣きたいなぁ」と思う時に、読んでみるのも良いかと思います☆