第16話 ポエミーになった次元警察の法律
さて、今日も元気に宇宙人を討伐……じゃなくて出勤よ!
いつも通り勇者アレクシスと魔王
佐藤さんと鈴木さんに挨拶して、モッチャリロウスァの横を素通りして……んっ?
いま横を素通りした相手は、次元・警察・宇宙人なモッチャリロウスァさんだよね?
いつもなら召喚士だとか難癖つけて襲ってくるのに、今日は何故か大人しいわね。
でも良いかな。関わらない方が楽だし。
「おはようございます。モッチャリロウスァさん。今日は元気ないですね!」
あ゛ーっ、なんで話しかけてるのよ天然勇者!
なんで素通りしないのよ!
「そうだな。いつもなら召喚士とか言って襲ってくるだろう。何を企んでいる?」
いかれた法律に従っている
「皆さんが召喚士だったら良かったのにな……攻撃したら良いと思う私は罪深いでしょうか?」
「誰よアンタァァァァッ!! おちょくってるの?! 私忙しいんですけどっ!」
はぁはぁ、思わず叫んでしまった。
目の前でしおらしく話すモッチャリロウスァさんみたいな奴は一体誰なのよ!
こんな性格の宇宙人……知り合いじゃありません!
「私だってこんな事言いたくねぇぇぇぇんだよぉ! 全部こいつが悪いんだよ!」
あっ、切れた。
モッチャリロウスァさんが投げつけた分厚い書物を、アレクシスと
いつものモッチャリロウスァさんで合ってたけど、どうしたのだろう?
あの書物は彼の宝物の『次元警察官職務執行法大全』だったよね。
投げつけるなんて信じられないわ。
「なになに、召喚士が悪い存在だったらどんなに良かっただろう。きっと初恋で感じた心の揺さぶりの様に、僕らの次元を揺さぶる存在でいてくれたのだろう……こんな内容だったかな」
なんでポエミーな感じになってるのよアレクシス!
中途半端にモッチャリ節が混ざって、気持ち悪い内容になってるわよ!!
「いつから私が正しいと思っていたのだろう? 正解なんて誰にも分からないのに。誰もが納得する正義が無いなんて……僕は知りたくなかったよ! なんだこれは!」
それはこっちのセリフだよ!
いつもの冷静さはどうしたの?
晦冥に黙って本を渡されたので読んでみる。
「第1巻『召喚士の抹殺方法』。あらゆる武器より響く言葉がある。あなたの愛は銃弾より速く心の奥底に辿り着くよ。だから、ためらわず歌って……あなたの愛を!」
なんじゃこりゃぁぁぁぁっ!!
まさか、まさかですけど、まさかですか?
本当に町内会の圧力で法改正させられたの!?
佐藤さんと鈴木さんって何者よ!
「こんな物いらない……」
モッチャリロウスァが泣きそうになりながら、元『次元警察官職務執行法大全』を捨てようとする。
あっ、今日は駄目っ!
「今日は不燃ごみの日よ! ごみの日くらい覚えなさい!!」
「不法投棄は許しませんよ!」
佐藤さんと鈴木さんが召喚されたぁ!
竹箒で追い払われる宇宙人……少しだけ可哀そうだと思った。
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