第14話 竹箒で始める悪法改正
「おはようございます」
「おはよう、莉子ちゃん。今日も3人で出勤?」
「おはよう。今日も仲良しで良いわね」
今日もご近所の佐藤さんと鈴木さんに挨拶をする。
家を出ると必ず会うけど、毎朝何時から掃除してるのだろう?
「不審者が出るので護衛が必要なのですよ」
「まぁ、俺達がいれば問題ないのだがな」
勇者アレクシスと魔王
次元・警察・宇宙人なのに不審者か……間違ってはいないわね。
「何てこと! 私達の町に不審者ですって!」
「佐藤さん、すぐに町内会で対策しましょう」
佐藤さんと鈴木さんが『不審者』に反応する。
でも対策って言っても、相手……銃使いますよ!
有難いけど、おばちゃん二人でどうにか出来る相手じゃないのだけど……
「序列1位と2位の佐藤殿と鈴木殿が対策するなら、アイツも終わりだな」
「ちょっと悔しいけど、お二人に譲りますよ」
貴方達、勇者と魔王だよ!
勇者と魔王が倒せない相手を倒せると本当に思っているの?
「なぁーにしてるぅ! この私を待たせるとはいい度胸だ!」
あーっ、話してたらモッチャリロウスァ来ちゃったじやない。
「あれね、不審者は!」
「なによ、警察官のコスプレなんてして!」
「ちょ、ちょ……」
佐藤さんと鈴木さんがモッチャリロウスァに駆け寄る。
銀色の肌に、背中に4本の腕が生えた化け物なのに平気なの?!
「なんだ貴様らは! 用事があるのはあの女だけだ!!」
「何で莉子ちゃんを付け回すの! この変質者!」
佐藤さんが竹箒でモッチャリロウスァの足を払う。
「誰が変質者だ! 私はこの次元を守る警察官だ。君たちを異世界からの召喚者から守っているのは私なのだぞ!」
「そんなの知らないわよ。不審者として張り紙を町中に配るから覚悟しなさいよね」
「貴様らは召喚された奴らがどれだけ危険な存在か知らないのだ。次元警察官職務執行法大全 の3巻に過去の事件が書いてある。字くらい読めるだろ!」
「何よこんなふざけた法律は! 改正よ、改正!!」
「一般人に何が出来る? 我が宇宙の法律を改正など出来る訳ないだろう」
「鈴木さんお願い」
体格が良い鈴木さんがモッチャリロウスァの背後からガッシリと抑え込む。
「何をする!」
「佐藤さん! 老人会にも連絡をお願い!」
「分かったわよ! そのまま公民館に連行するわよ!」
鈴木さんがモッチャリロウスァを公民館の方に引きずっていく。
抵抗する度に佐藤さんが竹箒で叩きながら黙らせている。
遠ざかる「悪法改正!」の掛け声と共に、次第に見えなくなっていく3人……
『宇宙人がアブダクションされた!!!』
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