第11話 次元警察官職務執行法大全(全7巻)
「またサボりか。私を待たせるな召喚士!」
はぁ、落ち込む私に話しかけるのはコイツしかいないのか……
次元警察で宇宙人のモッチャリロウスァ。
「おはようジゲン。召喚士じゃなくて高橋莉子よ」
「ジゲンじゃない! モッチャリロウスァだ! いい加減覚えろ!」
「私だって召喚士じゃないわよ。名前を間違えられる気持ち分かった?」
「くっ、それなら高橋莉子と呼べば良いか?」
「フルネームは止めて欲しいかな」
「我儘だな。高橋なら満足か?」
「それでいいわよ。じゃぁ、またね!」
ガーン!! 激しい金属音がなる。
なんだか慣れてきたな……銃撃されたのだと直ぐに分かってしまう。
怪我がないのはアレクシスのお陰だろう。
さすが勇者ね。
「危ないじゃないですか! いきなり攻撃するのは失礼ですよ」
「貴様、本当に警察官なのか? 警察官は逮捕するのが仕事だろう」
アレクシスと
あれっ、珍しく晦冥がまともな事を言ってる!
「シッカリ守ってるから攻撃してるんだよ! 召喚士には銃撃が基本だろうが!!」
「そんな法律どこにあるのよ! 日本どころか世界中探してもないわよ!!」
「ここにあるだろ! 私の愛読書の『次元警察官職務執行法大全』……全7巻だ!」
モッチャリロウスァが背中の4本の腕を使い分厚い本を取り出した。
何処にこんな分厚い本を隠し持ってたのよ。
しかも、タイトルが長くて聞き取れなかったわよ。
「次元警察……何だっけ?」
「聞いた事ないけど
「知らんよ。でも現物が目の前にあるのだ。内容を教えろモッチャリロウスァ」
晦冥がモッチャリロウスァに謎の本の内容を問う。
モッチャリロウスァが子供が宝物を披露する様な自慢げな顔している。
「知らないなら教えてやろう。第1巻は次元のゆがみを生み出す召喚士の抹殺方法が書かれている」
いきなりヤバいのきたぁぁぁぁっ!!
「ちょちょちょっと! いきなり抹殺って法律関係ないよね!」
「私が法律だ! ついつい言ってしまったが、今のは6巻の重要な内容だ。2巻はいかに召喚士が悪い存在か説明されている」
「何で召喚士ばかり悪く言うのよ。次元を乱しているのはモッチャリロウスァも一緒でしょ。背中に腕が4本も生えてるし、何もない所から銃を取り出すなんて世界観崩壊してるでしょ!」
「それを解決してくれるのが7巻だ。次元警察は全てを差し置いて正しい! 私が次元警察を目指した切っ掛けだよ」
元々危ない存在だと思っていたけど、話を聞いたら激しく危ない存在って分かったわね。
さっさと逃げよう。
今日は早く仕事をしたい気分だわ。
「逃げるわよ!」
「逃がさん! まだ3,4,5巻の説明をしてないだろうが!!」
「それは出来ないな。僕で我慢してもらうよ」
私達を追おうとするモッチャリロウスァの前にアレクシスが立ちふさがる。
なんだか前にも見た事があるような気がするけど……気のせいかな。
「邪魔だ! 吹き飛べ!!」
モッチャリロウスァが巨大ハンマーでアレクシスを攻撃する。
「効かないよ。同じ手が何度も通用すると思ったのかい?」
聖剣で巨大ハンマーを打ち返したようだ。
モッチャリロウスァは攻撃を跳ね返されても動じない。
そして、筒状の物体を取り出した。
あれは……
「飛んで
危険を感じた私は
直後、モッチャリロウスァが手にした筒から大きな『金属の塊』が発射される。
「そんな大きな物体、狙いを外すかよ!」
アレクシスが振る聖剣と『金属の塊』が接触した途端に大爆発が発生した。
「エェーブリィィィィィィン!!!」
恋人の名前を叫びながら、爆風で吹き飛ぶアレクシス。
ロケット弾は刺激しちゃだめだよ。
でも時間稼ぎは出来たから上出来ね。
グッジョブ、アレクシス!!
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