第7話 リア銃も爆発しない

 さて、今日も元気に宇宙人を避けながら出勤よ。

 アレクシスと晦冥かいめいの二人を引き連れて自宅を出る。

 そして、いつも通り近所の佐藤さんと鈴木さんに挨拶をする。


「あらっ、朝から素敵な男性を二人も引き連れちゃって。莉子ちゃんモテモテね」

「私も後10年若ければねぇ」


 はいはい、そう見えますよね。

 でも、二人共リア充で、私には興味ないんですけどね。

 それでも嫌な気分にはならない。

 だって、佐藤さんと鈴木さんはリア充じゃないと思うし。

 自分一人じゃないって良いよね!


「こちらのアレクシスは恋人がいるし、こっちの晦冥かいめいは結婚しているんですよ。だからお二人が想像する様な関係じゃないんです」

「そうなのね、お二人共素敵だからお相手がいても当然よね」

「どんなお嬢さんとお付き合いされているの? お二人みたいな素敵な男性とお付き合いしてるなんて気になるわねぇ」


 あれっ、リア充のイケメン二人を前にしても、佐藤さんと鈴木さんに劣等感はないようだ。

 積極的にリア充話を聞こうとしている様に見えるのは何故なの?!


「えっと、無理して聞かなくても大丈夫ですよ。他人の幸せそうな話聞かされても困りますよね」

「そんな事ないわよ、幸せなのは良い事じゃない。おばちゃんだって若い頃は色々あったのよぉ」

「そうよね、若い二人の恋愛話は刺激になるわぁ。今日の夕食時に旦那に話しちゃおうかしら」


 二人の言葉を聞いて愕然とする。

 そうだった……おばちゃんズは結婚していたのだった……

 おばちゃんとは恋愛をして、結婚をして辿り着く境地。

 リア充の更に先の未来……最終進化形だったのだ。

 くっ、リア充どもめ。

 私だって……


「何をしている召喚士! 何時もの路地裏に来ないから何をしているのかと思えば、こんな処で雑談しているとは。仕事はどうした?! 早く出勤しろ! そして私に倒されろ!」


 いつもの紺色の警察服が視界に入る……次元を守ってる警察官のモッ何とかさんだね!

 でも普通に相手をしてあげる気分にはならない。


「どうせアンタもリア充なんでしょ!!」


 投げやりに怒鳴りつけた。


「当たり前の事を聞くな! リアに決まってるだろう!」


 そうか……こんなメタリックな宇宙人ですらリア充なのね。


「何で私以外は全員リア充なのよ!!!」

「何だと! 何で貴様ら全員リアを保有しているのだ!!」


 突如、宇宙人警察官が驚きの声を上げる。

 えっ、保有? リア充を?


「ねぇ、貴方は何でリア充なの?」

「次元を歪める犯罪者を取り締まる為に決まっているだろう! この銃がエアガンに見えるか?! 撃たれた事あるだろう!!」


 えーっと、リアルな銃だからリア銃?

 そうすると……


「モッ何とかさんは私生活充実してる? 恋人は?」

「そんなの知るか! 私は仕事が全てだ! それなのに貴様を取り逃して、仕事も滅茶苦茶だ! 充実している訳ないだろう!!」

「仲間がいたぁ、リア充は爆発した方が良いよね」


 メタリックな宇宙人の手を握って同意を求める。

 だが、


「バカもん! 暴発したら私が死ぬだろうが!」


 あっ、その通りだよね。

 リアルな銃だったら爆発したら危険だよねっ。

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