第3話 OLは天使?!

「ところで、莉子さんは、お仕事大丈夫なのですか?」


 アレクシスに聞かれて通勤中に引き返した事を思い出した。

 今から出勤するのは難しいので、急いで会社に体調不良で休むと電話した。

 仮病で休むのは気が引けたけど、宇宙人に襲われたとは言えないし……


「莉子殿が何の仕事をしているか知らないが、大丈夫であったか?」

「そう言えばお仕事は何をされているのでしょうか? 僕と晦冥かいめいの職業は勇者と魔王ですけど」 


 落ち着いたところで、晦冥とアレクシスに仕事内容を聞かれる。

 さて、二人にどういう風に説明しょうか。

 二人共ファンタジー風の世界から来ているのは知っている。

 だから、現代社会の仕事内容を教えても理解出来ないだろう。

 そうだ!

 OLって言えばいいじゃない!

 二人だって勇者と魔王って『役職?』みたいな名乗りをしているのだから。


「私の仕事はOLよ!」

「おえっるぅ?」


 アレクシスが舌足らずな感じで言う。

 聞きなれない言葉だったかな?


「違うわよ。オウ、エル」


 聞き取りやすい様にゆっくり言い直した。


「失礼致しました! 王、エルよ!」


 突如、アレクシスが片膝をついて頭を下げる。


「ちょっと何、何と勘違いしたの?!」

「この世界の王に敬意を示しただけです。エル様」


 この世界の王?!

 王ってそういう意味じゃないわよ!


「あのね、OLのOって王様の王じゃないからね」

「そうなのか……なら何の職業なのですか?」

「クツクックッ」


 私とアレクシスの会話を聞いていた晦冥かいめいが突如笑い出す。


「突然どうした晦冥かいめい?」

「アレクシスの勘違いが滑稽こっけいだったからな。魔力を使って、この世界の情報を仕入れている我には分かる」

「勘違い? 滑稽だって?」

「そうよ。勘違いなんだから。アレクシスに教えてあげてよ晦冥かいめい


 流石魔王様ね。

 魔力で世界の情報を入手していたなんて賢いじゃないの。

 無知なアレクシスに教えてあげてよ。


「分かったよ、天使オウエル」


 へっ、天使?

 この世界の情報を入手したのよね?

 なんで私の職業がファンタジーな設定になってるの?


「とぼけなくても良い。ミカエル、ガブリエル、ラファエル、ウリエル……そしてオウエル! 莉子りこが5人目の4大天使だって事は分かっている」


 ハァーッ?!

 何その5人目の4大天使って!

 完全なまがい物じゃない!

 5人目の四天王とかなら聞いた事あるけど……


「あのね。私は5人目の4大天使じゃないからね!」


 5人目の4大天使だって事はシッカリ否定しておいた。

 何で天使は否定しないのかって?

 だって、総務課の天使って呼ばれているのは本当だもん。

 ちょっとくらい天使を名乗っても良いよね?

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