新雪の巫女

2章 第1話『ノゾキ』

ちなみに、黒川沙耶香には、能力者についても教えてもらった。

紗耶香曰く能力者というのは、天才『天上 才気』によって開発された薬を飲むことによって、人間に隠された潜在能力を引き出すものらしい。

『薬を飲むだけで、お前みたいな化け物を生み出すなんてあるのか?』って聞いたら化け物という言葉と疑いのまなざしを向けたこと二重の意味で怒られた。どうやらこの島では、薬を飲むと潜在能力が開花するというのは当たり前のことのようだ。

『そんなのも知らないの?馬鹿ね。私の…』

化け物って言ったことに対しての説教が2時間近く終わらずに寝そうになってそのことについて3時間近く説教を聞いたのは思い出したくもない思い出だ。


だが、能力者についてはしっかり説明してくれた。薬飲むだけで…という疑問についても答えてくれた。

彼女曰く『手術でもするとでも思っていたの?バカね。細胞レベルで潜在能力を引き出すんだから薬の方が遥かに効率がいいのよ』だそうだ。『薬で人体改造しているとか、やっぱり、怪物じゃん』って言ったら、猫の甘嚙みみたいな感じで軽く殴られた。

その後、『薬を飲んで能力を手に入れた私に対して喧嘩売っているのかしら?』とエメラルドを思わせる瞳で睨みながら、言われてしまった。


こんな時に甘い言葉を言ったらどんな反応をするだろうという好奇心で『睨んでいる姿もやっぱり綺麗だな』って反応を見たくって言ったら更に殴られた。顔を真っ赤にしながら。

この子は、まじで典型的なツンデレ見たいな反応をするな。面白れぇ。


そんなわけで、この学園は例の天才によって、能力が使える人が多数いるらしい。(能力がない無能力者というのもいるらしいが)

その話を聞いて、俺は、あの白髪頭の天才をぶん殴ってやることを固く決意した。

勝てたとはいえ、能力者を知らなされなかったという事実は勝負を紙一重のものにした。

だから、政治家に必要な説明責任ってやつを白髪の天才兼科学者兼政治家にしっかりと求めた。


『もしも、負けたらどうしてたんだよ。まったく。教えてくれりゃ、もっと確実に勝てたものを』

そういう文句を言おうと決意し、紗耶香の話を聞いた直後に「今週末会えないか?」と白髪頭の天才にメッセージを送ったら


「無理。僕って、天才だから、怒られ慣れていないんだよね!」と、返ってきた。

どうやら、ナノカメラだかなんだかで事の顛末を見ており自分にとばっちりがくることを悟ったらしい。

天才の上機嫌と反比例して、俺の怒りは腹の底でぐつぐつと煮詰まっていった。

『絶対にこの恨みは忘れねーからな。』

天才の凄さを意識しながら、俺は、そう独り言ちる。

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