ハッピーハロウィーン

わさびきい

とりっくおあーとりーと

今日はハロウィンらしい。

この素晴らしい会社ブラック企業楽しい毎日くそみたいな日々を過ごしていると月日なんかどうでも良くなってくる。

どうせ何月何日だろうと仕事だし…


今日は、体調が悪化したので残業なしで帰ることができた。

さっさと帰ってメシ食って寝たい気分だ。


「とりっくおあとりーと。おかしくれなきゃいたずらするよ。」


下から声がした、そこには魔法使いの格好をしたロリっ子がいた。

恐らく小2か小3ぐらい、面識は一切ない。


「ガキが出歩いちゃいけない時間なんだよ。ガキは家に帰れ。」


「ガキじゃないもん、ちゃんとひなって名前あるもん、あと私、魔女だから家何てないもん。」


魔女だとしても家はあると思うんだけどなぁ。


「ガキ、お母さんは心配しないの?」


「だからガキじゃない!!お母さんはもういないんだ…前にいなくなったんだ…」


「なんか…ごめんな。」


「何が?」


「辛いこと思い出させたからな。」


「大丈夫だよ~。」


「そっか…」


この話を振るのはやめておこう。


「家の人はお前が外で遊んでいることは知ってんのか?」


「お父さんは仕事で帰ってこないから知らないと思う。」


流石に、それはヤバくないか?一人で歩いて家に帰すのは危ないから論外だし。

家まで付いていっても家に一人は淋しいだろうし。

それなら…


「俺の家に来るか?俺の家ならカボチャタルト作れるし、なんか遊ぶ物もあるし。」


この子は何があっても護らなければ、それしか俺は考えられなくなっていた。


「おじさんカボチャタルト作れるの?」


「一時期パティシエになりたくなっていろいろ調べて、買い漁ったことがあるからな。」


「じゃあ、行く~。」


「じゃあ、その代わり、親に連絡しろ、携帯電話は貸してやるから。」


「わかった。」


「後、東京都■■市の■■町の■■■■■■マンションの■■■号室に住んでる。ゆうきって人と一緒にいるから何があったら訪ねてくださいって伝えてくれ。」


「わかった。連絡してくる~」


これで大丈夫だろう。まあ、監禁とかしないけど。ロリは趣味じゃねえしな。一応ストラップ式のGPS渡しておくか。電池式だから一日で役目を終わるけど。


「留守電に残してきたよ。行こっ。」


「走るな、走るな。しかもお前、俺の家わからないだろ。」


「そうだった!!知らないんだった。おじさんはやく行こっ。」


「そんなに焦っても、カボチャタルトは逃げねぇぞ。」


やっぱ子供は元気だな…つーかまだ俺は、30だぞ。子供にはおじさんに見えるのか…ちょっとショック。


************

「おじさん、カボチャタルトどのくらいでできる?」


「後、焼くだけだから少し待ってろ。」


「わかった~。焼けるまで一緒にマ〇オパーティーしない?」


「お、いいぜ俺は強いから、勝てなく泣くんじゃねえぞ。」


当然泣いてしまった。まじで一方的なんだ。力の差がありすぎた。

一応戦績を記しておく。

俺¦雛=0¦15


「おじさん、さっき本気出すって言ってからなん試合かしたけどまだ本気出せないの?」


「いや、本当に本気出したら一方的になっちゃうからな。まあ、俺に連勝できた記念のストラップやるよ。」


「やった!ピカチュ〇だ‼ありがとう。」


これで誘拐されても大丈夫だ


「カボチャタルトができたみたいだから食べようぜ。」


「うん。食べる。」


うん、うまそうな見た目だ、最後に小麦粉でジャックオーランタンを書けば完成だ。

ハロウィン仕様のカボチャタルトの完成だ。


「おじさん、まだ?」


「後、切り分けるだけだからちょっと待ってろ。」


「わかった。フォークとか準備する?」


「全部、俺が準備するから座っていてくれ。」


客人に準備させるのは失礼だしな。


「はい、どうぞたーんとたべな。」


「「いただきます!!」」はむ…おいし~!」


「ん、うまいな。」


我ながら旨く焼けたみたいだ。こんなに美味しく焼けたのは久しぶりだ。


「おじさん、お代わりある?」


「おう、あるぜ。食うか?」


「うん、食べる。こんなにおいしいものいくらでも食べられるよ。」


「うれしいこと言ってくれるじゃねえか。ちょっと待ってろ、いま取ってきてやるから。」


切り分けて見たんだか…二人で食べきるのは無理か…冷凍するか。


「後どのくらい、食える?」


「う~ん、あと2、3切れかな?」


「わかった。」


うん、どう足掻いても三切れ残るな。冷凍しとこ。


「はい、どうぞ」


「ありがとう。いただきます。…おいしい!」


「本当にうまそうに食うな。作った者としてうれしいよ。」


「こんなにおいしいのはじ……え…」


「ん?どうした?」


「…なんでもない…ごめんフォークおとしちゃた。取ってくれるとうれしいな。」


「落ちたフォークなんて使わせねえ。新しいフォーク持ってきてやる。」


「…ありがとう。」


まじで、どうした?まるで人が変わったみたいだけど。


「はいどうぞ。」


「ありがとう…」


「ねぇ、おじさん、あのさ…今日はいろいろさ、ありがとう、おいしいカボチャタルトを食べさせてくれたり、一緒にゲームしてくれたりさ…そして、突然、押し掛けてごめんなさい…やりたいこともたくさんあったみたいだけど、全部潰してごめんなさい…」


「おいおい、いきなりどうした?なんか気にくわなかったか?」


「…そして、これからの予定潰してごめんなさい…」


「は?まじでどうした?」


「…あと、最後に、…おじさんのこと殺してごめんなさい…」


「…は?何を…い…って……」


ダメだ…いきなり…力が…入らなく…なってきた…眠気…に…抗えな…い…目蓋が…だんだん…閉じてく…る…


全てが暗くなってくる中で雛が泣いてのを見て意識が途切れた。
















************

またやってしまった。これで9人の命を奪ってしまった。

実は私は、巫女とヴァンパイアの子供だ。

お母さんとお父さんは、能力を持っている。

お母さんは、周りの人を治して、完全な状態にするというもので、心の傷でも治すことができるらしい。


お父さんは、一人の相手を眠らせて魂を喰らって相手を殺すというもので、能力を使ったら最後何をしても助からないらしい。


その2つの能力が混ぜ合わさった結果が私の周りの人を殺すという単純明快で最凶の能力になった。

それでいて、上手に制御が出来ない。

最近、2人ぐらいと話しても発動しなかったから制御できてると思って外で遊んだらこの様だ。

こんな能力を持っている代わりに私自身の傷の治りは、めちゃくちゃ早い。

つまり死ねないのだ。


「ただいま。って言っても誰もいないけど…」


お母さんは、巫女の敵であるヴァンパイアと結ばれた罪で、処刑されかけたが、再生力が強すぎて、殺せなかったから数えきれない程のヴァンパイアが封印されている、封印の地にいるらしい。

封印の地は、一度入ると出ることが出来ないらしい。

お父さんはお母さんを救うために動いているらしい。

私には、仕事って言ってるけど…


「お帰り。」


「あれ?お父さん!?仕事は?」


「全く進まないから帰ってきた。」


「え?それっていいの?」


「いいんだ、雛ちゃんは気にしなくて」


いい加減ちゃん付けやめてほしい。


「雛ちゃん、どうしたんだい?浮かない顔してるけど、何があったんだい?」


「また能力が発動して、一人殺しちゃった…」


「なんだそんなことか…どうでもいい。」


「…どうでもよくない!!」


「人間なんて、腐るほどいる…その中のたかが一匹が死んだからどうなる?人間が滅ぶのか?滅ばないだろ。そんなことで悩んでたら生きていけないぞ。」


「そういう、問題じゃない!!」


「じゃあ、どういう問題なんだ?」


「…お父さん大っ嫌い!!もう、知らない!」


「雛ちゃん待って、いいす…」


お父さんのこの考え方が嫌いだ。ヴァンパイアの価値観だから仕方ないかもしれないけど、やめてほしい。

今日は疲れたから、もう寝よう。おやすみなさい。







************

「…きて、…ゃん起きて、雛ちゃん起きて。」


「んー?なにー?」


「雛ちゃんに、お客さんが来てるよ。」


私にお客さん?誰だろう?


「いまいくー」


《少女移動中》

「はーい、誰ですか?」


「ガキ。勝手に帰るのはいいが、携帯返せ。」


「………え?…なんで?」

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