第5話:愛してる
「ルクス、おいで」
風呂を済ませると、エトワールはベッドに寝転がり手招きをします。部屋の外には騎士が待機していますが、中には居らず、二人きりです。
「お、俺……床で寝ても……良い?」
「いや、普通に隣来いよ。何もしないから」
「……えっ。しないの?」
「……して良いなら遠慮なくするけど」
エトワールがそう言うと、ルクスは顔を真っ赤にして目を逸らしました。
「……エト、そういう経験ある?」
「無い」
「ないのに何でそんな堂々としてんだよ……」
「ルクスの反応が可愛すぎて緊張なんて吹っ飛んだ」
「は、はぁ!? な、なんだよそれぇ……」
「はははっ。もうすっかり敬語も忘れてるな」
「う……す、すみません」
「いや、良い。その方が良い。ほらルクス。隣、おいでよ」
とんとんとエトワールが敷布団を叩くと、ルクスはため息を吐いて遠慮がちにベッドに入りました。
「もっと近くに来いよ」
そう言ってエトワールはルクスを抱き寄せ、自分の胸に彼の頭を抱きました。
「……ありがとね。俺の想いに応えてくれて」
「……お礼を言うのは俺の方ですよ。君が想いを打ち明けてくれなかったら、俺からは絶対に言えなかった」
「……言ってみるもんだな。俺、お前に対する恋は絶対叶わないって思ってた。俺は女性と結婚するしか道はないって、諦めてた」
「俺もですよ」
「……好きだよ。ルクス」
「……うん。俺も」
「……好きだ」
繰り返し、エトワールは自分の胸に埋まっていたルクスの顔を上げさせ、唇を重ねました。そしてそのまま彼の身体を押し、上に乗り上げます。
「……良い?」
エトワールがルクスの頬を撫でながら問うと、ルクスは目を逸らしながら小さく頷きました。それを合図に、エトワールはもう一度唇を重ねます。熱に浮かされたような声で名前を呼びながら、何度も。ルクスも応えるように何度も名前を呼びました。
「エトワール……」
やがてルクスは感極まって、涙を流し始めます。エトワールはそれを見て、優しく笑い、彼の涙を指で拭い、何度も愛を囁きました。
「愛してる。ルクス」
「っ……はい……俺もです……愛してます……」
「必ず幸せにするからな」
「はい……」
そうして二人が部屋の中で熱い夜を過ごす中、騎士達は交代しながら夜通し部屋の外を見張り続けましたが、特に怪しい行動をする人物は居らず、何事もなく夜は明けました。
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