第17話  sideエグモンド

 がつん


 ぐふぉっ!?


 目の前にお星様ならぬ黒炭の結晶がチカチカと、そこは多少の幻覚もだが実際にあのゲテモノの粉が思いっきり空中へと舞い上がればだ。

 とある衝撃を喰らいテーブルへと突っ込む形となった僕の目の中にそれらが入り込んで地味に――――痛い。


 ぶっふぁっくしょい!!


 ついでとばかりに僕の鼻の中にも粉は容赦なく侵入すればだ。

 これから甘い時を過ごそうと目論み、イケメンである僕には似つかわしくない下品なクシャミが放たれる。


 びろ~んと透明な鼻水と共に。


「やだ、汚ーい」


 そう言ってエリーゼはそそくさと僕より距離を取っている。

 またその距離は何気に遠い。


 何時も愛してるとか、大好きよって言ってくれているメロンっぱいんがだ。

 僕の心配をする事も無く距離を取っている……ってあれ?


 最近……そう言えばエリーゼが僕へ愛を囁いてくれたのは何時だったっけ?


 うーん昨日……ではない。


 では一昨日?


 いや違う。


 五日、いや一週間前……も言われてはいないぞ。


 あれ?

 あれれ、ちょっと待て――――と言うか取り敢えず落ち着こう。


 

 そう先ずはこの状態を何とかしなければいけない。

 うんそこから始めよう。

 こうして僕は何を思ったのか差し出されたクッキー擬きを一口齧った……ではなくガキンと嚙み切ったのである。


 バリバリ……ごっくん、不っ味ぅ――――からのやはり甘さはなく苦かった。

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