第16話 sideエグモンド
黒い。
黒くて見るからに柔らかそうではないもの。
炭……か?
それとも黒炭……かってどちらにせよ一緒だろうが!!
比較的ましなものでも普通に焦げ茶色。
形は歪の一択。
丸の様で四角めいたものがあればだ。
何かでぶっ飛んだ感じの残骸?
そう何か爆発した後の残りカスの様なオブジェって芸術は爆発だぁ……ではない!!
抑々皿へ盛られている時点でどうやら食べ物の様……らしい。
右から左と上に下と斜めから……って角度をどう変えて見回してもだ。
悪いけれどお世辞にも美味しそうとは到底見えないし思えない。
いや本当に食べ物なのかと、出来ればこれを作った人物に問いかけたい。
しかし僕にはそれが出来なかった。
そう何故なら――――。
「さぁたんと召し上がれエグモン。私が頑張って作った〇〇なのよぉ。とーっても美味しいんだからぁ。さあ、さあさあさあさあ早く一口食べてみて!!」
僕の愛しのメロンっぱいんちゃんが超絶怖い!?
笑顔なのに可愛いオレンジ色の目が怖いしって言うか醸し出すオーラが怖過ぎる!!
「は、ははそ、そうだね。エリーゼのお手製……なのだね。で、でも今は真夜中だよ。第一お、男の部屋へ深夜に来ればどうなるか何てエリーゼにもわかるだろう」
そ、そうだ!!
ここは……いやこれは最大のチャンスだ。
今は真夜中でここは僕の寝室。
つい今し方まで僕は寝ていたのをメロンっぱいんのエリーゼに無理やり起こされたのだ。
そして起きてしまったのならば僕の息子もついでに起こせばいい。
今夜こそふわもちムチのメロンっぱいんを、いやそれ以上にエリーゼの全てを堪能しよう!!
ぐふふ、飛んで火にいる夏のメロンっぱいん。
僕のモノでたーっぷりと可愛がって喘がせてあげるよ。
そうだな。
君が作ったらしいゲテモノの存在を忘れるくらいにアンアン啼かせてあげるからね。
「あらどうしたのエグモン?」
僕はそ知らぬふりでそっと立ち上がればエリーゼの背後へと回る。
そうして両手を大きく広げればエリーゼを、彼女のメロンっぱいん迄後1.5m。
緊張しつつも必死に息を殺しその手を静かに縮めていく。
まだだ。
ゆっくりと慎重に慎重を重ねなければ……。
メロンっぱいんまであと1mと少し。
興奮に心臓が煩くなり始めるのと同時に手に、いや手だけではなく全身汗が滲み出す。
すーは―……ってもっと息を殺さなければって、意識をすればする程に鼻息がどうも荒くなってしまう。
初めての夜は特別なのだ。
一生思い出に残るのだから事はスマートに進めなければいけないのに――――。
残り50㎝となった時だった。
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