ウェルスィー、激怒

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「ロナウドは流されていたお前を助けるため、濁流の中に飛び込んだんだ。マルゴットも驚いていた」レオンは黒コショウを入れたトマトスープとスプーンをアウグストに渡し、「銀座は小雨だ。吉五郎さんも寿司を作っているぞ」と言った。


 館内に入ってきた吉五郎がアウグストを抱きしめながら、「元気だったか」と聞いてきた。「はい。無事でよかったです」と答え、クーラーの空気で冷やされた座席に座ってマグロの寿司を食べる。

 マルゴットが息子を抱きしめ、泣き出した。


 「無事でよかった。しおりや勇人も、あなたが目を覚ました後、2階にいるわ」

アウグストは母と一緒に、2階へと向かった。


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 ウェルスィーは激怒しながら、吉五郎の座席に銃弾で穴を開ける。「しおりはどこにいる」「言うわけがねぇだろう、金持ち」ウェルスィーは吉五郎の背中に頭突きをし、2階へ向かった。

「吉さん」「平気だ。ありがとう、レオン」二人は勇人たちのところへ行った。


 「ウェルスィーが館内にいる。アウグスト、勇人、しおりを傷つけさせるな」

美花と章宏は7階へと上がり、レオンとザーラと通りへと出た。


 銃を持ったウェルスィーがしおりに向かって「人質になるのだ」と言った直後、

金色のネクタイが地面に落ちた。カトリーナの銃により丸い穴が3つ開いている。

 ウェルスィーはカトリーナに暴言を吐きながら発砲し始めた。勇人はしおりと

手をつなぎ、コンビニエンスストアに入った。


 カトリーナは号泣しながら、「私とアイダの両親は寿司と日本の漫画が大好きで、

日本に行ってみたいと言っていた。二人は銃弾を腹に5発受け、死んでた。

 強盗になったあんたを、殺す!」と絶叫しウェルスィーの腹をブーツで蹴った。マンホールから噴き出した水が、ウェルスィーと銃を押し流していく。


 「姉さん」コンビニエンスストアの駐車場で、アイダが姉にタオルを渡す。「ありがとうアイダ。勇人たちも無事ね」「はい」勇人とアウグストはしおりの肩に手を置き答えると、店内で買ったオレンジジュースを飲んだ。


 ウェルスィーの遺体は銀座駅の階段前で見つかり、火葬された。





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