ウェルスィー、激怒
1
「ロナウドは流されていたお前を助けるため、濁流の中に飛び込んだんだ。マルゴットも驚いていた」レオンは黒コショウを入れたトマトスープとスプーンをアウグストに渡し、「銀座は小雨だ。吉五郎さんも寿司を作っているぞ」と言った。
館内に入ってきた吉五郎がアウグストを抱きしめながら、「元気だったか」と聞いてきた。「はい。無事でよかったです」と答え、クーラーの空気で冷やされた座席に座ってマグロの寿司を食べる。
マルゴットが息子を抱きしめ、泣き出した。
「無事でよかった。しおりや勇人も、あなたが目を覚ました後、2階にいるわ」
アウグストは母と一緒に、2階へと向かった。
2
ウェルスィーは激怒しながら、吉五郎の座席に銃弾で穴を開ける。「しおりはどこにいる」「言うわけがねぇだろう、金持ち」ウェルスィーは吉五郎の背中に頭突きをし、2階へ向かった。
「吉さん」「平気だ。ありがとう、レオン」二人は勇人たちのところへ行った。
「ウェルスィーが館内にいる。アウグスト、勇人、しおりを傷つけさせるな」
美花と章宏は7階へと上がり、レオンとザーラと通りへと出た。
銃を持ったウェルスィーがしおりに向かって「人質になるのだ」と言った直後、
金色のネクタイが地面に落ちた。カトリーナの銃により丸い穴が3つ開いている。
ウェルスィーはカトリーナに暴言を吐きながら発砲し始めた。勇人はしおりと
手をつなぎ、コンビニエンスストアに入った。
カトリーナは号泣しながら、「私とアイダの両親は寿司と日本の漫画が大好きで、
日本に行ってみたいと言っていた。二人は銃弾を腹に5発受け、死んでた。
強盗になったあんたを、殺す!」と絶叫しウェルスィーの腹をブーツで蹴った。マンホールから噴き出した水が、ウェルスィーと銃を押し流していく。
「姉さん」コンビニエンスストアの駐車場で、アイダが姉にタオルを渡す。「ありがとうアイダ。勇人たちも無事ね」「はい」勇人とアウグストはしおりの肩に手を置き答えると、店内で買ったオレンジジュースを飲んだ。
ウェルスィーの遺体は銀座駅の階段前で見つかり、火葬された。
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