濁流と父子


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 ほおずき映画館では渋谷美花や橋田章宏、五月雨高校の3年生たちがポップコーンやホットドッグなどをザーラと一緒に売っていた。レオンが館内に入ってきて、勇人

からのメモを美花たちに渡す。

 「アウグストや妹のしおり、マルゴットさんと銀座の宿にいるらしい」章宏と美花たちは安堵のため息をつき、椅子に座り込む。ザーラが「無事なのね」とつぶやいた。


 「銀座の宿に泥水が入って、アウグストとしおりが濁流に流されているらしい。マルゴットさんとアイダたちがタオルを振りながら室内にいる。ザーラ、美花さん、

橋田さん、俺と一緒に助けに行ってくれるか?」「はい」


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 アウグストはしおりをアイダたちがいる室内に連れて行った後、濁流に流されていた。失神しかけた時、ロナウドがコートを着せた。

 「アウグスト。しおりと幸せになってくれ」とつぶやき、ロナウドは泥水に流され沈んでいった。


 アウグストが映画館内で目を覚まし、ホットドッグを食べているとレオンが「ロナウドが遺体で見つかったらしい。メモが残されていた」と言いながらメモを見せる。


 『お前の勇気に驚かされた。しおりと結婚し、幸せになってくれ』と書かれていた。アウグストはタオルで顔をふくと、「レオンさん、ありがとう。母やアイダも

助けてくれたんですね」と笑みを見せた。


 

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