アイダとカトリーナ


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 カトリーナはウォームとその妻アンと一緒にコンビニエンスストアでオレンジジュースやイクラのおにぎりを作り、人々に渡していた。アイリーンとエマも、店員たちとおにぎりを握っている。

 「おにぎり、あと10個で売り切れです!」カトリーナが言うと、アメリカ出身で

プロバスケットボールプレイヤーのレオンがイクラのおにぎりを渡し終えた。

 

 「エマ、アイリーンさん、レオン。ありがとう」「おうよ。アイダが俺にメモを

渡していった。『勇人やアウグストさんたちと行動して、ウェルスィー・ワント

がマルゴットさんと戦い銃を流された』と書かれている」

 「全員、無事なのね」カトリーナは宿でパソコンのズーム画面を開き、勇人たちと

話す。

 「ハロー。勇人、アウグスト、しおり、アイダ」『カトリーナさん、こんにちは!」『姉さん、後ろにいるのって大統領夫妻?』「うん。ウォーム大統領とアン夫人」濃い緑と薄い黄色の着物をそれぞれ着たウォームとアンが、勇人たちに「ハロー」と手を振りながら笑みを見せる。


 『ウォーム大統領、アン夫人、はじめまして。勇人とアウグスト・ジュエリーです』アンは勇人たちに「はじめまして。私は夫やアイダたちと日本で救助活動をしているわ」と言いながら足を伸ばしてあくびをした五月雨に「It's cute!」と言った。


 「アイダ、ウェルスィー・ワントはしおりを追い続けてる。勇人やアウグストと

一緒に彼女を守りながら移動して」『姉さん、泥水は引いてきてる?』

「コンビニエンスストアや駅のほうでも少なくなって、通れるようになってきてるよ。気を付けて」カトリーナはズーム画面を閉じ、ベッドに入る。



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 アイダは「ウェルスィーはまだ追ってきてる。姉さんは彼を殺そうとしてるの」

と勇人たちに言った。不安そうな顔のしおりに、マルゴットが毛布をかける。

 「私もアウグストも、あなたを守るわ」しおりの目から、涙が出て止まらなくなった。マルゴットはしおりの肩を軽くたたきながら、落ち着くまで待っていた。


 宿で入浴を終えた勇人と真輝、アウグストは3階でラジオを聴いていた。アウグストが好きな大阪のラジオ番組だ。

 「これを聴くと落ち着くよ。小学1年から好きな番組なんだ」「道頓堀から放送されてる。あそこでは市民がたこ焼きや水、焼き鳥などを配りながらラジオで音楽番組

を流してるんだ」

 「大阪は勇人も5歳の時、俺と一緒に行ったなあ。たこ焼きを落として泣いてた」

と笑う父に、勇人が顔を赤くする。アウグストも噴き出し、大阪での思い出について

勇人と真輝に語った。


      

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 しおりは宿の2階でアイダ、マルゴットと小説を読みながら過ごしていた。アイダは姉から渡されたコミミズクの形のネックレスを机の上に置き、「姉さんは私の育ての親なの。私が13歳の時に父さんと母さんが亡くなってから、日本語や英語を教えてくれたり、みそ汁やお寿司などの和食を作ってくれてた。

 陸軍に入ってウォーム大統領とアン夫人の護衛になってからも、ウェルスィー・ワントを憎み続けてる」アイダはネックレスを握り、タオルで顔をふいた。 



 

 


 

 

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