ロナウドとアウグスト
1
「力が欲しいんだな、あの男は」とつぶやき、アウグストはにらみ合う母とウェルスィーを見つめる。ウェルスィーはマルゴットに向かってナイフを振り下ろそうとしたが、鍋に当たって折れる。
濁流で流されそうになった30代の父親と5歳の娘を、防水のジャケットと長靴姿のカトリーナと妹アイダ、ウォームが助け着替えやドライフルーツ、乾パンなどを渡している。親子はザーラのゴムボートでコンビニエンスストアの前に行き、中に入っていった。
2
ロナウドは激痛が残る片足に包帯を巻き、転びそうになりながら流されてきた猫をタオルで包んで拭く息子の姿を見つめていた。猫にお腹に乗られ笑みを浮かべている。
大砲や銃、護衛、金。ロナウドにとって当たり前にあったものだ。それがなくなった今、流される人たちを助ける気にもならず過ごしている。
息子は母や高校の同級生たちと一緒に、泣いている人や不安そうな人に声をかけ続けている。
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