ウェルスィーとしおり


       1


 ウェルスィー・ワントは映画館内に入ってしおりに近づき、失神させてエレベーターに乗り込む。勇人と真輝は館内の椅子に座り込んだ。


 アウグストの肩を母マルゴットがたたき、「You have to help her」と声をかける。

「Yeah. Let's go」アウグストはしおりのコートを防水のリュックサックに入れ、

勇人や真輝たちと映画館を出た。


      2


 しおりは倉庫の2階で目を覚まし、ウェルスィーによって口に粘着テープを三重さんじゅうに巻かれていた。濁流だくりゅうに流される彼女に、ウェルスィーが「Wait! Where are you going!?」と怒鳴っていた。


 ゴムボートに乗っていたアウグストは全裸の女性に気づいて抱きかかえ、ゴムボートに乗せる。しおりだった。

 「しおり」とこえをかけると、「んんんんんんん!(アウグストさん!)

と言いながら彼から離れようとする。「粘着テープをはがさせてくれ。着替えも

用意してるから」と声をかけると、しおりはゴムボートの中に座った。

 粘着テープをはがし、母マルゴットから渡された冬用の衣服を渡してしおりが

着替え終わるのを待つ。


      3


 黒のボマージャケットとコート、タイツに茶色いブーツを着たしおりは「ごめんなさい」と恥ずかしそうに言った。アウグストは彼女に、保温袋に入れていた熱いトマトスープを渡した。

 

「I found you!」ウェルスィーが二人をにらみつけ、銃を向ける。「I won't forgive you. You tried to kill my son and his loved one」マルゴットが大きな鍋をヘルメット代わりに頭にかぶり、銃を川へと流した。

 アウグストはしおりと一緒に勇人や真輝たちのところへ急いだ。


 「兄さん、父さん」「しおり、無事でよかった」勇人と真輝はしおりに毛布をかけ、アウグストに「ありがとう」と言った。(ウェルスィーは怒鳴り続けていた)。


 「アウグスト、しおりが着てるコートやジャケットって誰のなんだ?」「僕の

母が17歳の時に着ていたんだ」と答え、アウグストはウェルスィーをちらりと

見てため息をつく。


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