勇人としおりの父、賢人


 勇人たちはアウグストとマルゴットが暮らす一軒家の2階でロールキャベツと豚汁を食べながら、アウグストの父でロシア大統領のロナウドについて聞いていた。

 「私は30歳の時に夫と離れ、8歳だったアウグストと一緒に日本に来たの。銀座にある『ほおずき映画館』で働きながら寿司店でも漢字を勉強して、吉五郎さんと

マグロや炙りサーモンの握りを食べた。


 夫は私を憎んでいて、殺そうと狙っている。アウグストは小中学校で同級生4人に給湯器のお湯を腕にかけられ、やけどをした」

 アウグストはしおりと勇人に腕のやけどを見せ、「『転校しろ!』と言われ続け、

図書室で本を読んで過ごしていた」と言って濁流を見る。勇人としおりの父で51歳の男性、賢人が濁流に流されそうになっていた。


 「父さん!」勇人としおりはマルゴットから渡されたロープを父に向かって投げる。賢人はロープを握り、アウグストに手を引っ張られながら地面に座り込んだ。

 「ありがとう」賢人はアウグストとマルゴットに笑みを見せ、一軒家の2階で

シャワーを浴びた。


 「しおり。ワクチン接種に反対するアメリカ人たちが、お前を捕らえようとして

いる」緑色の冬用シャツとジーンズを着た賢人が牛丼弁当を食べながら言った直後、

ほおにアメリカ国旗のペイントをした短髪の男性がしおりを失神させ、倉庫へと連れて行った。

 


 



 


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る