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「お願い、ゼネリア……もうやめて……」
そんな
「何を言っているの? ほら、もっとちゃんと見て! あんたの所為で傷付いてる様を見て、苦しみなさいよ!!」
「も……やめ……」
致命傷だけは回避しようと全力で避け続けていた
悲しくて、つらくて、苦しくて。
悪魔が実体を保つのに必要なのは生命エネルギーだが、生まれ出る本来の要因は人間の負の感情だ。
「大丈夫だよ、
「ごめ……なさい……」
「大丈夫だから」
ゼネリアの攻撃をかろうじて避けながら、
その隙が命取りになった。
ザシュッという鋭い刃物で肉と骨が断ち切られた音と同時に、ゼネリアの右手が
(しまった……!)
ごぽっという音をさせながら
支えるものが無くなった
その体を中心にじわじわと血だまりが広がっていく。
「随分と頑張ってくれたけど、ここまでのようね。行くわよ、
両腕を五指の状態に戻したゼネリアは、浅い呼吸を繰り返す
その時微かに、パリッと何かが爆ぜる音がした。
怪訝そうな顔をしたゼネリアが後ろを振り返ると、その目に映ったのは信じられないものだった。
たった今、ゼネリアの右手でお腹に風穴を開けられて、死は目前という状態で道路に倒れ伏していたはずの
「まだ、終わらないよ」
誰がどう見ても瀕死の重傷な
さすがのゼネリアも動揺を隠せずうろたえる。
「……坊や? 今の攻撃でどうして生きているのかしら?」
「俺が特別だから、かな?」
「答えになってないのだけれど!?」
疑問に疑問で返されたゼネリアは苛立ちを隠すことなく、掴んでいた
そして再び両手を刃へと変える。
「今度こそ、息の根を止めてあげるわ!」
「そういう訳にもいかないんでね」
駆け出したゼネリアの目の前で、
パリパリと外へ向けて爆ぜる光の中から
「お姉さん達悪魔と違ってさ、俺達は人間として生まれてくるんだ。天帝の命を帯びて新たなる天使として、ね」
この世には人々の暮らす現実世界の他に、知られざるもう一つの世界が存在している。
天界と呼ばれるその場所は、天帝と呼ばれる王が君臨し天使達を従えている。
ここまでは神話などとさほど変わりはない。
違うのはここから。
天使は人間を親とし、人間として生を受ける。
成長と共に天使としての力に目覚め、天界と天帝の存在を知ることとなるのだ。
力に目覚め、天帝より階位と名を冠された天使達は人として生活しながら魔を払う。
そう、かの有名な悪魔を。
自らの欲望のままに人を傷つけ、時には殺めることもある悪魔を退治するのが天使達に与えられた使命であった。
そして、
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