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その間にも
それもそうだろう。あの悪魔が実体を得る為に使っている生命エネルギーは、
(あの顔色、状況はかなり深刻だな)
その為にも、あの悪魔の興味を何とかして引き付けなければならない
「残念だけど、俺は自殺志願者じゃない。お姉さん、あんたを排除対象として消しに来たんだ。だから、謝るのは俺の方だよ。悪いね、最後の晩餐すらさせてあげられなくて」
見るからに気に入らないといった顔で悪魔が右手を前へと突き出す。
「そう、いい度胸ね。でも人間風情が悪魔のワタシに楯突くなんて無理よ。前言は撤回するわ。坊やは死になさい、ワタシの為に」
あっという間に
しかしその程度でやられる
衝撃波をかいくぐり、路地の壁を駆け上がると
パリッという静電気のような音をさせて拳を握り込むと、
本能で危険を察知した悪魔は大袈裟なほど後ろに跳び退き、
耐え切れなくなり、ついに膝をついた
少しでも隙を見せれば、あの女性型の悪魔は容赦なく
だから代わりに敵意を込めた鋭い視線を悪魔に向ける。
「……確かに人間だよ。だけどいくら綺麗なお姉さんの見た目をしてても悪魔にそれを言われると、なんか腹立つな」
「随分と妙な力を持っているのね、坊や。でもその程度じゃ、ワタシは倒せないわよ」
攻撃姿勢を取った悪魔の両の手が、黒光りする鋭い刃物のような形状へと変わる。
(なるほど、あれで今までの被害者は切り刻まれたのか)
冷静に状況を分析しながら、悪魔の行動に注視する。
ギャリンッという音を立てて、両腕の刃で道路を抉りながら
砕けた道路の破片をまき散らしつつ、悪魔が右腕を下方から斜めに振り上げて
それを後方へ二度跳ぶことで避けると、着地したその足に力を込めて身体に左回転をかけながら前方へと跳び出して悪魔の頭目掛けて上段回し蹴りをお見舞いする。
しかし難無く避けられ、代わりに悪魔の右手が刺突を繰り出す。
突き出された刃を足場に
息をつかせぬ攻防で悪魔がエネルギーを消費しているのだろう。
(このままだとまずいな……)
先程までの攻防で、双方共に互いの戦闘力が拮抗している事に気付いているからだ。
それでは本末転倒だ。
(なるべく悪魔にエネルギーを使わせずに戦わないと)
そうは思うが、動けばエネルギーを消費するのは生き物も悪魔も同じ。
しかも
長引けば長引くほど
「どうしたの、坊や? 来ないならこっちから行くわよ!!」
悪魔にとっての宿主は所詮エネルギー源でしかない。
エネルギーが尽きれば宿主を変えればいいだけの事で、
一方
致命傷には至っていないが腕や足、脇腹など身体中のあらゆる所から出血している。
(まだかろうじてそこまで深い傷はない。でも一撃でも直撃すれば失血死しかねないな)
その姿を力なく見つめていた
「お願い、ゼネリア……もうやめて……」
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