3
昼休みが終わり、残っていた二時間分の授業も全て終わって下校時刻になった。
皆それぞれの部活動や帰路へと向かおうとする中、善は急げと
「
「誰?」
「
「知らない」
突然の呼びかけに訝し気に問いかけた
「ちょっと待って」
「触らないで! 私は、私の左腕は、私の物じゃないの!! お願いだから私に関わらないで!!」
「えっ!? ちょっと待ってよ、
初めて聞いた
「俺が呼び止めた女の子に逃げられるなんて……。それにしても、私の物じゃないってどういうことだ?」
(掴んだ左腕の感触は確かに人間の、
呆然としながら
(それなのに自分のものじゃない?)
百戦錬磨のモテ男は女の子に逃げられたことよりもそっちの方が気にかかっていた。
「なあ
「さっきのか? 気にするだけ無駄だろ?」
しずしずと自分の席に戻った
体半分振り向いて答えた
「なんか、えらく落ち込んでるな……。そんなに逃げられたのがショックだったのか?」
「それもあるけど……」
(……少し真面目に考えてやるか)
煮え切らない
出会って三日。
いつも自信に満ち溢れていた
元よりお人好しな性格の
「ま、単純に考えると何か別のやつの物って事だよな。例えば他の腕を移植したとかさ」
「移植……」
「……お前、今日初めて会ったのにそんなに
少しでも
一目惚れだとかそういった回答があると思っていただろう
「
「は?」
「俺の手を振り払った時、涙目だったんだ」
走り去る
だからこそ余計に女の子が泣くのは苦手で、泣かせるやつは許せなかった。
「……助けたいな」
ぽつりと零れ出た呟きは誰に届く事もなく消えた。
何が原因なのか、聞いたところであの反応を見る限りきっと
(
ぼーっと窓の外を眺める
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