【第四章】まとめ・解説

 ここまで読んで頂き、ありがとうございました。


 この第四章では、この異世界での国の事情や、国同士の関係、そして新キャラがたくさん登場したので、ちょっと詰め込んだ感がありますね。

 あと回想シーンが多く、時系列も分かりづらいかもしれません。


 とりあえずストーリーを簡単にまとめ、キャラの解説や詳しい説明をしていきます。


  *


【エスタミア王国】

 秋人が転生した場所、それがエスタミア王国内の村です。


 この国は古来より保守的な政策を取っており、隣国のギラフィスに対しては貢ぎ物を送って媚を売り、戦争にならないよう気を付けていました。

 そんな政策を国民は支持し、平和に暮らしていました。……が、それはあくまでも都内に限った話。


 国民の支持を得る為に平和を謳うこの国は、兵力を必要最低限しか育てていません。

 そして資金や資源の使い道は、主に都内と貢ぎ物。都外の村々には全く手を回しておらず、王都ばかりが満たされていました。


【三龍剣】

 国王直属の護衛。かつて龍を倒し国を救った3人の英雄を称え、その偉業を後世へ伝えて行こうと制度化されました。

 兵士を育てる学園では、卒業時に魔物を倒して王へその実力を示しますが、龍を単独で討伐した者の中から上位3人が、三龍剣となります。


【ギラフィス王国】

 エスタミア王国の隣にある王国。

 結構な兵力を有しており、エスタミアとは昔から仲良くしています。……というのは表向きの話。

 広い土地と豊かな資源のあるエスタミアは、利用価値が高いです。そして平和主義ゆえに下手に出てくれるので、良いカモとして見ています。


  *


 ではストーリー解説。

 カストロ=エディスは幼くして、この国のやり方に不満を持っていました。

 そんな彼は剣を振り、兵士を育成する学園へ入学。そこでレイン、ソーマと出会います。


 カストロはトップクラスの実力でしたが、ソーマとレインは更にその上を行っていました。カストロはそれに劣等感を覚えます。

 カストロは三龍剣になり、この国を護りたいと思っていました。加えて、国のやり方そのものも変えたいと。


 そんな不安を消したのが、当時唯一の三龍剣、ログヴァナ。彼はカストロ達3人をも上回る実力で、かつて倒した龍も、龍の中で上位種である黒龍。

 ログヴァナの圧倒的な力を見たカストロは、彼が居れば安心だと思います。しかしログヴァナは強い剣士を育てたく、3人を目に掛けて修行をつけます。


 そして3人が学園卒業後……ログヴァナは王都を去ってしまいました。

 三龍剣の3つの席の内、1つがログヴァナ、残り2つにレインとソーマが入る予定でしたが、ログヴァナの空席をカストロが埋める事になります。

 頼りにしていたログヴァナが居なくなり、再び不安に駆られるカストロ。王都の周辺を監視する部隊の隊長も務め、日々見回っていました。


 そんなある日、強力な魔物が現れたとの事で向かい、その魔物と戦って崖から落下。魔物は倒したものの自身も怪我を負って気絶しました。

 そんな彼を、近くにあった獣人の里が保護します。カストロは獣人と交流を深め、彼らが厳しい生活を送っている事に憤りを覚えました。この出来事もまた、国を変えようという想いを強めます。


 それから少し経って、カストロは隣国のギラフィスへ招待されました。しかし、表向きは『新たな三龍剣を一目見たい』との事ですが、実際はカストロを利用しようとしています。

 三龍剣最強のログヴァナが居なくなった今、エスタミアを攻めるのは容易。そして偶然にもカストロが自国へ不満を持っていそうだったので、ギラフィスはクーデターを起こさないかと、ダメ元でカストロに提案します。

 実質脅しであるそれを、カストロは素直に受け入れました。国を変えるという願望を達成し、より強い国にして、ギラフィスを返り討ちにしようと考えたのです。


 ──というのが、回想シーンのまとめです。

 後は読んでの通り、クーデターを止めるのに秋人達も参戦。レインはカストロに倒され、そのカストロを秋人が止めようとするも敗北。

 そこへ触手の魔物が乱入し、三龍剣が総出で倒しに掛かり、カストロが死亡──何とも後味が悪い結果となりました。


◇◇◇◇◇◇◇◇


レイン=ルルセイナ 女

 三龍剣の一人で、“飛龍”の異名を持つ女性。

 性格はとても優しく、初対面の相手にも気兼ねなく話し掛けるとフレンドリー。

 天然なところがあり、話が噛み合わなかったり、同じミスを繰り返す。作中ではハンカチを忘れて手を洗った後に困り、初対面のソーマに借りた。そして秋人と出会った時も同じ状況で、秋人からハンカチを借りる。

 跳躍力が高く、空中戦を得意とする。全身のバネが強く、空中でも関節の捻りによって自在に体を動かす。

 卒業時には、空を飛んでいる巨大な龍を討伐した。


 ──という感じです。書いた私自身、とても好きなキャラ。


 美人で強い女剣士……ですが、色々と残念なところが多いです。

 そして信じていた親友に裏切られ、心が傷付けられてしまうのが可哀想ですね。

 ソーマは厳しいので、あまり優しい言葉は掛けて貰えないでしょう。秋人との交流は、彼女にとってかなり救いとなりました。


◇◇◇◇◇◇◇◇


ソーマ=スペシオス 男

 三龍剣の一人で、“臥龍がりゅう”の異名を持つ男。

 性格は真面目で厳しく、少し女嫌い。堅苦しい話し方をし、一人称が『余』、二人称が『貴様』となっている。

 気に入った相手は『お前』と呼ぶようになる。カストロは出会ってしばらくして呼び、女性であるレインは少し遅れて呼び始める。

 ログヴァナもお前と呼ぶようになり、秋人達も最後にはお前と呼んだ。

 優しいところもあり、カストロを相手にはレインは戦えないだろうと考え、彼女には警備を任せ自分がカストロを倒そうと試みた。


 ──という感じです。


 真面目ゆえに、レインのような天然キャラやログヴァナのような飄々としたキャラには困らせられてしまう苦労人。

 身長は低く童顔で、美形で実力が高いので女性人気は高く、しかし女嫌いなので逆に困ってしまいます。

 責任感が強く、親友でありながら裏切ったカストロを、即座に斬り捨てると言い放ちました。しかしその実、本当は斬りたくないと悲しみも露わにしています。


◇◇◇◇◇◇◇◇


ログヴァナ=キリュウ 男

 元三龍剣で“驪竜りりょう”の異名を持ち、レイン、ソーマ、カストロをも上回る実力である、三龍剣最強の男。

 3人が卒業してすぐに、王都を出て行ってしまった。

 面倒見の良い性格で、3人を目に懸けていた。劣等感を覚えていたカストロには特に構っており、卒業時の魔物討伐にも付き合っている。


 ──という感じです。


 現時点では謎多きキャラ。この第四章では回想シーンでしか登場していません。これから先の登場をお待ち下さい。


◇◇◇◇◇◇◇◇


カストロ=エディス 男

 三龍剣の一人で、“雲龍”の異名を持つ男。

 聡明で、幼い頃から国について勉強。その結果、自国であるエスタミアを変えたいという想いを持つ。

 その後、ログヴァナの後釜として三龍剣となり、ある時見回り中に魔物と戦闘し、崖から落下。その先で獣人に助けられ、獣人達の厳しい生活を見て、自国のやり方へ更に不満が募ってしまう。

 そして隣国のギラフィスに利用され、クーデターを起こす。あと少しで成功していたが、乱入した魔物と戦って命を落とした。


 ──という感じです。


 ある意味、ソーマよりもずっと責任感の強いキャラと言えるでしょう。今の生活が問題ないから大丈夫、と普通は考えるところを、彼は幼くして国の未来を心配しました。

 子供の純粋さゆえに、その気持ちをずっと引きずり、今に至ります。


 ログヴァナの存在によって、一度は気持ちが変わりました。彼のような強い人が居れば、少なくとも今は大丈夫だと。

 しかしログヴァナが居なくなった事で、再び不安が戻ります。


 自分の想いを何度か打ち明けたものの、王は聞き入れず、レインは特に考えてくれず。唯一ソーマは真剣に考えてくれたものの、やはり実行に移すほどには至らず。

 そんな不安が、的中してしまいました。ギラフィスへ呼び出され、国を落とせと実質的な脅しを受けます。


 そしてクーデターを起こすも、彼は民間人を傷付けず、兵士にも必要最小限の傷しか負わせません。戦ったレインと秋人も、戦闘不能になれば即退散。

 そして最後には、クーデターを止めて魔物を倒しに向かい、相打ちとなりました。


◇◇◇◇◇◇◇◇


モルガン 女

 秋人へ語り掛けた天使。秋人が最初に出会った天使とは別人。

 魔力の核を破壊し、そのエネルギーを体へ流し込むという技を、秋人へ教えた。


 ──という感じです。


 第二章の最後に、秋人達を上空から見下ろす謎のキャラがいましたね? それが彼女です。その時に「使えそうね、彼」と発言しており、今回はわざわざ秋人へ接触したので、『彼』というのは秋人の事でしょう。


◇◇◇◇◇◇◇◇


触手の魔物 性別不明

 ギラフィスの国王、その側近らしき七人の内、魔物を使役できる少女が連れて来た。

 カストロのクーデターを手伝う……はずが、敵味方関係なく攻撃する。

 触手はたくさん生えており、鞭のように長く伸びてしなる。触手を編み込んで翼を作り、空を飛ぶ事も可能。

 何やら人間を恨んでいる様子……?


 ──という感じです。


 第二章の最後に、“災害”と比喩された魔物の集団がいましたね? その中の一匹がこいつです。

「零へ還す」という同じ発言がありました。


 単純な強さはもちろん、とにかくしぶといですね。

 痛みを感じておらず、斬られても問題なく動きます。出血もしません。

 真っ二つにされたものの、意識を失いながらも攻撃を続行。むしろ意識を失う前よりも速度が上がり、三龍剣を圧倒しました。


 裏話をしますと、本当はここでは死なず、逃げて生き残るはずでした。

 しかし、既に狩野晃が同じ事をしており、逃走キャラが二人目になってしまいます。

 そうなると流石に読者の皆様も飽きるかと思い、話を変更しました。


◇◇◇◇◇◇◇◇


ベル=ファルム 女

 城で働く魔法使いで、三龍剣に次ぐ実力者。

 秋人の聞き込みに協力し、有益な情報を与えてくれた。


 ──えーと、まず謝ります。

 初登場は28話なのに、名前が明らかになったのが32話。


 何故そうなったのかと言いますと、三龍剣という重要キャラが登場したばかりの中で、更に新キャラが出ると覚えるのが大変かと思い、名前無しのモブキャラとして扱っていました。

 同様の理由で、王の名前も後に明らかにしています。

 しかし実際、名のある魔法使いであり、秋人に有益な情報を与えてくれた人物。なので戦闘にも参加すべきだと思い、急遽名前を出しました。


 髪はボサボサで部屋は散らかった、ダメな女性。

 フヒヒ、と怪しい笑い方をし、変態っぽい描写が多いです。

 ミルフィに「君のカラダ、調べさせてぇ」と発言し、後に魔力を調べる為にミルフィの体を撫で回します。

 まあ、良い人です。安心して下さい(笑)。


◇◇◇◇◇◇◇◇


 大体、説明しましたね。


 終わってからの私自身の反省点は、エルノアの活躍が薄い事です。

 敵兵の剣をたくさん折ってくれて、そのお陰で秋人が戦いやすくなり、被害も抑えられたので、活躍は大きいです。

 しかし私の書き方が下手なせいで、何だか影が薄くなってしまいました。


 最後に……カストロは可哀想な部分も多かったものの、やはりクーデターという罪を犯してしまったので、例え生きていたとしても罪人となっていました。

 なのでどちらにせよ、不幸な未来でした。

 そんな助からないキャラクターですが、それもまた一つの現実として、進んでいきます。


 後味の悪い終わり方にはなりましたが、私はこの王都編を変更はしないと思います。

 あるいはもっと良い話の作り方があるのかもしれませんが、まあ私はアマチュアなので。


 ただ、これからの物語の作りに関して、ちょっと考えどころが生まれました。それについて、次のお知らせにて話します。


 では皆さん、第五章でお会いしましょう。

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